不動産投資をするにあたっての最重要ポイントはこの3つです

不動産投資のメリット・デメリットを語るうえで、実に様々な切り口があるため、どれが正しくてどれが間違っているのかが分からなくなってしまうことがしばしばあるのではないでしょうか。

インターネットの情報や仲介会社からの提案にしても様々な切り口の情報が蔓延していて混乱してしまうかもしれませんが、リアルの世界においても同じ様なことが起こっています。

例えば、最初に不動産投資のための物件を紹介してきた営業マンが謳っているメリットが、別の営業マンからは「それはあなたにとってデメリットである」と言われてしまうと、何だか急に最初に提案してきた営業マンが信用できなくなったりするようなケースです。

不動産投資は様々な側面からアプローチ可能だが・・・

不動産投資は色々な側面からアプローチすることができるのと同時に、色々な事情を抱えた投資家が不動産投資によって問題を解決しようとしているのです。

不動産投資には『不動産』『建築』『設計』『税金』『金融』『法律』『経済』といった様々な要素が複雑に絡み合う、とても難易度が高い投資手法です。もちろん、これら全てをマスターしないと不動産投資ができないことはありませんが、全て不動産投資にとって重要な要素であり、備わっていて得をする知識になります。

不動産投資家や仲介会社の営業マン、コンサルタントに至っても、得意分野や知識の差がありますので、ある人から見ると肯定的な意見が、別の人から見ると否定的に映ることはしばしばあります。

立場によって違った側面から不動産投資を薦めるのは当然です

具体的には、税理士や会計士が資産家に対して不動産投資を薦める場合は『相続税対策』や『所得税対策』といった視点で不動産投資を薦めることが多いです。

建築士の立場であれば、建物のプランや設備のグレード、高品質な素材の提案、どれだけスケール感を出すかといった提案が主流になってきます。逆に、本来は容積率を十分に消化せず小さな建物を立てる方が収支上のメリットは大きいのですが、そのような着眼点を持った提案を行なうケースは極めて稀です。

金融機関の立場であれば、築年数の浅さ、担保評価といった視点で不動産を評価します。さらに、金融機関によっても、評価の仕方が異なり、事実『積算還元法』『収益還元法』の2通りの評価方法が存在するのです。

このように、それぞれの立場や専門分野、持っている知識によって、重要と感じる部分、メリット・デメリットと感じる部分は大きく変わってきいます。

意見の相違や考え方の違いが不動産投資のハードルを高くしている

様々な立場や知識をベースにした情報が乱立しているため、私たちのような個人投資家は、「クリアにしなければならない問題が多すぎる」「必要な知識が多すぎる」と半ば諦め気味になり、不動産投資のハードルが一層高く感じてしまうのです。

もちろん、このような知識のギャップによって生じる”感覚のズレ”を無くすという意味でも、先ほどお伝えしたような知識を吸収することは、決して間違いではありませんし、知らないことをいい事に騙されるようなことも少なくなります。

ですが、ここでは問題をシンプルに考えていきます。複雑な要素が入り交じる不動産投資を3つのキーワードで因数分解することで、あなたも不動産投資に対する心理的ハードルが一気に下ることでしょう。

多種多様な考え方を因数分解してみると不動産投資のポイントは単純だった

不動産投資では、様々な立場の人持つ専門的な知識によって異なる意見が交わることがしばしばあります。専門的な知識が薄い、個人投資家は、様々な意見や考え方に翻弄されてしまい、頭の中が混乱してしまいますね。

不動産投資は奥が深い投資ではありますが、問題はシンプルに3つに分解していくことで非常に分かりやすい投資になります。

その不動産、今の状態で貸せますか?

どんなに利回りの高い不動産であっても、空室時に入居希望者に貸すことができなければ、それは”絵に描いた餅”ですしかありません。

仮に『利回り10%』という高利回りの物件を購入しても、空室が目立つようであれば、その『利回り10%』は全くj意味のない数字になります。また、現在の賃料が近隣相場と乖離していれば、現時点で賃料を下げることを検討せざるを得ませんし、将来に渡って、その賃料で入居し続けてもらえるという保証はありません。

シンプルに『貸せるか?』ということは、何にも代え難い非常に重要な要素なのです。不動産投資の世界では入居者(テナント)に借りてもらってナンボだからです。

『貸せるか?』という評価は、今に限った話ではありません。中長期的な視点で判断しなければならず、そのために、地域の人口動態や人口分布の統計データ、周辺環境の動向、競合物件の動向、地域の賃貸需要、需給バランスなどの対象不動産を軸にした周辺情報といったマクロ的な分析、トラックレコードやレントロールなどのミクロ分析などをしっかり行い、その物件自体が、どのような立ち位置にいるのかを把握する必要があります。

対象不動産の情報を分析することで、客観的な立ち位置が確認でき、その物件の強みや弱みが浮き彫りになるため、強みはさらに伸ばし、弱みは改善するといった対策を講じることもできるようになります。

それにより、あなたの不動産が近隣ライバルよりも抜きん出た存在になる可能性も十分にあり、『貸せるか?』という冷静な分析一つで、不動産投資を成功に導く突破口になるかもしれないのです。

100%ということはありませんが、分析をきちんと行なうことで、データに基づいた精度の高い『予測』を立てることは少なくともできるはずです。

自分自身の投資スタンスを確立することは重要です

不動産投資に限らず、投資の正解において『リスクとリターンはトレードオフである』ということを改めて認識する必要があります。『ローリスクならローリターン』『ミドルリスクならミドルリターン』『ハイリスクならハイリターン』このようにリスクの度合いに応じて、リターンが大きくなったり小さくなったりします。

例えば、ローリスクでハイリターンの投資は存在しませんが、多くの投資家は『ローリスク・ハイリターン』の投資を目指します。このように『ローリスク・ハイリターン』を指向するような人は、その投資には”何らかの落とし穴”があることに気づかず、『ローリターン』の投資を行っていたり、『ハイリスク』の投資をしていたりするのです。

特に、投資の初期段階では見えないリスクに気づかないことが多く、不動産投資においても、後から何らかの問題が発覚して「こんなはずじゃなかった・・・」と嘆くようなケースが散見されます。

そうなっても、後の祭り状態です。原則的に『リスクとリターンはトレードオフである』ということを理解して、自分自身の投資ポリシーをきちんと設定しておくことが需要になるのだと、私は考えています。

あたなの不動産投資におけるスタンスでは『リスクの許容度』はどの程度なのか?

  • ローリスク・ローリターン
  • ミドルリスク・ミドルリターン
  • ハイリスク・ハイリターン

あなたの不動産投資におけるスタンスでは『運用期間』はどのように考えているのか?

  • 短期
  • 中期
  • 長期

これには個人差がありますので、どれがいい悪いというのはありません。

ただし例外はあるにせよ、あなたの投資ポリシーのデフォルト設定くらいはきちんとしておくべきではないでしょうか。

ファイナンススキルはこの3つを持っておく

個人投資家が行なう不動産投資では、基本的にデットファイナンス(金融機関からの負債によって資金を調達すること)によって投資をすることになります。

このように金融機関からの融資サービスを利用する以上、最低限のファイナンスリテラシーが必要になるわけですが、この点が欠落してる不動産投資家が非常に多いことが問題になっています。

特に、若手のサラリーマン投資家に流行したワンルーム投資の現場では、知識の欠如が原因でキャッシュフローがマイナスになるような賃貸経営をしているケースが続出していました。

不動産投資を目指している方は、自分自身を守るためにもファイナンスの知識であったりテクニカル的な部分を理解しておくようにしましょう。

金融機関はそれぞれ独自の融資スタンスを持っていることをあなたはご存知でしょうか。都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合、政策金融機関と規模も立場も立ち位置も異なる金融期間では、融資のスタンスが変わってくるのです。

それは、個人の属性を重視する金融機関もあれば、資産残高を重視するところもあります。一方で、不動産が持つ収益性に着目する金融機関もありますし、担保性を重視する金融機関もあるのです。

担当レベルで見ても、不動産投資に対して積極的な人もいれば、保守的な見方をする人もいますし、人事異動のタイミングで急に”シブくなる”ような場合もあります。

半期決算、本決算のタイミングが近づくと、各支店の営業成績を伸ばすためなのか、積極的な姿勢を見せるケースも不動産投資の現場では実際に起こっているのです。

このような背景を知っているか知らないかでは大きな違いが出てしまうのは当然です。少々テクニカルは話になるのかもしれませんが、このようなファイナンススキルを身に付けておいて損はありません。

ファイナンスの世界も複雑に見えるかもしれませんが、ここでぜひ抑えておいていただきたいのはこの基本的な3点です。

  1. 融資の上限は不動産価格の何割までか(自己資金はいくら必要なのか?)
  2. 金利は何%か?
  3. 融資期間はどれくらいか(建物の構造、築年数、投資家の年齢条件)

1については、LTV(Loan to Value)のことで、不動産価格に対する借入の割合のことです。計算式は【負債 ÷ 総資産価値】でLTVが高いほど、負債の元本償還の安全性が低くなるという考え方になります。不動産投資の融資では「物件価格の2割程度の自己資金が必要になる」と言われますが、それはこのLTVを低くして、元本償還の安全性を高めるためなのです。

2の金利については、不動産投資家にとっては金利が低いほど実利回りにいい影響を及ぼします。ですが、投資家の属性や不動産の担保評価にも大きく影響するのが金利です。

また、一般的に審査が厳しいとされる都市銀行の金利は1%前後と低く、地方銀行の方が金利は高い(1.5%~2%台程度)と言われています。信用金庫に関しては、地域密着型ということもあり、親身になって相談に乗ってくれる傾向がありますが、金利は2%台と都市銀行、地方銀行と比べるとやや高めです。

投資対象となる不動産や投資家個人の属性によっても実行金利は変わってきますので、あくまで参考程度にしてください。

3の融資期間も重要なポイントです。融資期間は不動産の耐用年数によって大きく変わりますが、融資満了時点での投資家の年齢によっては期間が短くなる可能性があることに注意が必要です。

話を分かりやすくしますが、通常20年の融資が組める不動産であっても、融資開始時点での年齢が60歳の投資家の場合、満了時点で80歳ということになります。これは素人目でも明らかにリスクの高い取り組みではないでしょうか。この場合、融資期間中に債権者が亡くなる可能性も考えられますし、収入が不安定になりがちな年齢に差し掛かってきます。

潤沢な資産があるか、担保になるようなものがないと難しいと思われます。

とはいえ、不動産投資におけるキャッシュフローの観点から見た場合は、融資期間は長いに越したことはありません。融資期間が短いが故にキャッシュフローがマイナスになるような場合は、投資家自身の持ち出しが発生してしまい、経営的にも厳しいものがあります。融資期間を短くする場合、不動産投資におけるキャッシュフローが成立するのかを見極めながら投資の判断をする必要がありでしょう。

まとめ:不動産投資で重要な3つのポイント

長くなりましたが、不動産投資で重要な3つのポイントを改めて整理します。

  1. 貸せるか?を見極める
  2. 投資スタンスを確立する
  3. ファイナンススキルを身につける

以上の3点になります。

不動産投資では、求められる知識や教養が非常に多いです。ただ単に不動産のことを知っていればいいというわけではないため、それが難しい反面、色々な意味で勉強になる投資です。

これから不動産投資を始めようと考えているあなたも、まずは3つのポイントを理解しながら、関連する知識を上手に肉付けしていっていただければと私は考えています。