やめとけ!サラリーマンのワンルーム投資、潜むリスクを解説
サラリーマンの不動産投資が一大ブームとなっている今日この頃、流行りに乗ってワンルーム投資に手を出すと”大けが”をすることをここで忠告しておきます。
ワンルーム投資については、それを是とする意見がある反面、大して利益にならない、リスクの割にはリターンが少ないといった否定的な考え方も多く出回っています。「不動産投資やめとけ」の代名詞ですね。
さらには、不動産を所有してどうするんだ?という考え方のもと、所有すること自体が大きなリスクだと唱える人も多くいます。
サラリーマンが手軽にできる投資として今だに根強い人気の『ワンルームマンションへ投資』を解剖していきましょう。
Contents
ワンルームマンション投資はなぜ流行るの?
まずは、ワンルームマンション投資の人気の理由について整理していきます。
『ワンルームマンション投資』とは主に、都心に建つ、新築ワンルームマンションのことをいいます。
自社ブランドの企画・開発・分譲を行っている不動産会社が販売されているマンションを上場・大企業の会社員や公務員、医者などの給与所得者に、資産運用や節税の観点から提案されている不動産投資商品になります。
理由1:資産運用として
一つ目の理由は、資産運用商品としての魅力です。
不動産投資の収益化方法は以下の通りです。
- インカム型
- キャピタル型
一つ目の『インカム型』では、毎月の入居者から入ってくる『家賃』が収益源となります。
ワンルーム投資(特に新築)の場合、『販売会社の家賃保証によって、その安全性が保証される』という触れ込みが多くみられます。
ですが、この点については注意が必要です。
家賃保証額は相場の80%~90%の金額になるので、あなたの収入は近隣相場を下回るリスクがおおいにあります。
つまり、家賃保証を使うことで、投資パフォーマンスを最大限発揮することができません。
リスクを回避する代わりにリターンも小さくなる、ということになります。
また、家賃保証についても、当初締結された保証賃料が未来永劫続くということはなく、市場動向や周辺環境の変化などによって、定期的に見直し(値下げ)される可能性があるということ、を予め理解しておきましょう。
ちなみに、基本的にサブリースの賃料が値上げされることはありません。
近隣相場が上がったとして賃料が値上げされたとしても、サブリース契約については現状の契約がそのまま履行される形になることが一般的です。
また、場合によっては、契約を一方的に解除されることも十分あり得る、ということも知っておく必要があります。
二つ目の『キャピタル型』とは、不動産を売却した際に得ることができる利益のことを言います。
現実的な問題として、あなたが新築のワンルーム投資をした場合には、キャピタルゲインを狙うのは非常に難しいだろうというのが私の考えです。
なぜなら、新築不動産の場合、建設会社などの利益が上乗せされているため、不動産本来の価値よりも高い金額に設定されています。
一度、投資家の手に渡ってしまった不動産は価格が一気に下落してしまうため、一部の例外を除いて、キャピタルゲインを得ることは難しいと考えておいた方が良さそうです。
理由2:税金対策として
サラリーマン投資家の中には、不動産投資を税金対策として検討している人が多くいらっしゃいます。
販売会社の営業でも『税金対策』といったキーワードが何度も持ち出されたり、税金が還付されるという触れ込みによって、投資意欲を高めようと必死です。
税金対策については様々な考え方があると思います。
これは私の持論になりますが、普通のサラリーマンは節税について考えるだけ無駄です。
結果的に、税金が還付されることはありますが、最初から節税目的でワンルーム投資を始めるのはナンセンスです。
「不動産投資をすれば節税になる」という触れ込みを真に受けてはいけません。「支払う税金が少なくて済む」確かにその通りかもしれませんが、安易に乗っかってしまい、逆に投資で損をしてしまうようなことがあれば本末転倒なのです。
実際に投資用ワンルームを購入し運用したら、毎月持ち出し(赤字)が発生しているような状況になっている。
そう気が付いた時点では”時すでに遅し”です。
思いの外、儲からないワンルーム投資
投資用ワンルームマンション販売は、上場企業のサラリーマンや公務員、医者などがターゲットだと言われています。
この理由は、社会属性が高く金融機関のローン審査が可決しやすいという理由があるからです。販売している会社にとっても営業が無駄になるリスクが少ないので当然とも言えます。
私はそれに加えて、不動産や投資に関する知識が薄い、というのも大きな理由だ考えています。
彼らは、日々の仕事に忙しく他のことに目を向けている時間がありません。医者のような専門職に至っては、医学的な知見を得ることに必死です。不動産の勉強をしている時間的余裕がないというのが実情でしょう。
正直、投資用ワンルームマンションの販売会社からしてみれば、お金を持っていて無知な人間ほどオイシイ顧客はいませんね。
投資用のワンルームマンションについては、都心では飽和状態にあります。
一般的な物件であれば、価格が大幅に上昇することは、まずないと思った方がよさそうです。
実際に、私の周りの人間が巻き込まれたトラブル事例ですが、実際の家賃収入よりも、銀行のローンや固定資産税の支払額が上回り、キャッシュフローマイナスに陥るような事例がありました。
このような状況では、所有する不動産を売却して銀行のローンを一括返済し、投資案件自体を”無かったこと”にしたいところですが、そのほとんどは、借金だけが残るという事態に陥ってしまうのです。
これでは、何のために投資を始めたのか分からなくなってしまいます。
悪意のある販売会社になると、不動産投資に関する知識が薄いことを見抜いて、相場家賃よりもローン支払いが少ないから利益が出せるといった触れ込みでセールスしたり、空室リスクについての話や近隣の家賃相場を提示してサブリースの場合の賃料を濁したりしながら、契約をするケースもあるようです。
これは、販売会社に問題があるのは当然ですが、関連知識を高めるための努力をしない投資家にも大きな問題があります。
資産運用目的で始めた、ワンルーム不動産投資のはずが、返って資産を減らしてしまう結果になるというのは皮肉な話ですね。
思いの外、ワンルーム投資は儲からない、ということなのです。
サラリーマンは不動産投資はできないの?
じゃあ、サラリーマンや公務員、医者は不動産投資をしてはいけないのか!?少々、お怒り気味の声が聞こえてきそうですので、フォローさせていだきます。
「サラリーマンや公務員、医者こそ、不動産投資を積極的に行って下さい」
矛盾しているようにも思えますが、これが正解です。
なにも、不動産投資は現物不動産だけが対象ではないからです。
現物不動産投資には、必然的に入居者という精神的な負担がついてきます。管理面の問題、設備的な問題、近隣クレームなど、多くのトラブルや問題を同時に抱えることになるので、投資家の精神的な負担は決して小さくはありません。
もちろん、管理会社にそのようなサポートを全て一任することはできます。それでもそれ相応の費用が発生しますし、その費用は家賃収入から賄わなければなりません。
そのような経費も考慮した場合、最終的な利益はごく僅かなものになるため、別の選択肢を考慮する余地は十分にあります。
例えば、J-REITなどへの投資は検討されたことはないでしょうか。これも間接的ですが、不動産投資の一つです。
さらに、不動産特定共同事業への投資もアリだと思います。
J-REITや不動産特定共同事業への投資は、少額から始められる不動産投資として、近年大きな注目を集めています。”一口大家”という言葉も出始めていて、少額を様々な不動産ファンドに投資することで、上手に資産形成をしているサラリーマン投資家が増えてきています。
ワンルーム投資をするなら、中古物件を積極的に狙え!
それでも、現物不動産投資が好きで、ぜひチャレンジしてみたい!という方にオススメなのが、中古物件への投資です。
趣味として、不動産投資をしていて損益は一切気にしないという方は恐らくいないはずです。
不動産投資は投資です。投資ということは、一定以上のリスクを背負うことになりますから、当然リターンを期待します。
もしあなたが、ワンルーム投資で大きなリスクをとりたくないのであれば、中古物件を中心に投資先を選定することをおすすめします。
先ほどお伝えした通り、中古物件の場合は建築会社の利益が償却されている状態で販売されますので、築年数の経過による価値の減少カーブが緩やかになるのです。
資産価値が落ちにくい投資やリセールバリューの高い投資先を選ぶことは、不動産投資をする際には大変重要なテーマになります。
投資対象にもよりますが、都心の新築ワンルームマンションを購入するのであれば、地方や郊外の中古アパートを購入することも可能です。それであれば、家賃収入も多く得ることだって期待できますし、より高い利回りも期待できるでしょう。
中古物件は築年数によってはローンが通らないというデメリットもありますが、投資対象としては非常に魅力的です。
新築ワンルームへの投資を検討されているのであれば、比較の意味も込めて、不動産売買事業者や仲介会社などに一度相談をしてみてはいかがでしょうか。
まとめ:ハイリスクの新築ワンルームへの投資以外にも選択肢を
この記事を読んで下さっている方の中には、新築ワンルームマンションへの投資を検討されていて「本当に大丈夫なのか?」とお悩みになっている方がいらっしゃると思います。
私は、新築ワンルームマンションへの投資を全て否定するわけではありません。それでも、一般的な新築ワンルームに関しては、投資商品としては非常に厳しいものがあると思っています。
投資、不動産投資としての選択肢は『新築ワンルーム』だけではありません。現物不動産投資をされたいのであれば、中古物件という選択肢もありますし、不動産に投資したいということであれば、J-REITや不動産特定共同事業への投資、という選択肢もあります。
『新築ワンルーム投資』のリスクについては、不動産投資のリスク回避 | 新築マンション投資のリスクについて考えるでもご紹介していますので、ぜひご確認下さい。
私が一番懸念しているのは、様々な選択肢があるにも関わらず、一つの提案内容(今回のケースでいうと、新築ワンルーム投資になります)を鵜呑みにしてしまい、不動産投資に対する視野を狭めてしまうことです。
どの投資も一長一短あります、それでも、様々な選択肢と可能性をしっかり吟味していただき、あなたにとって最善の選択をしていただきたいと願っているのです。