初心者必見、不動産投資の始め方【失敗回避と収益化】
不動産投資には基本的に逆転が存在しません。投資する物件を間違えたら、何かの奇跡が起きない限り収益がV字回復などしません。人気がない物件が人気になる理由はただ一つ、賃料が安くなることです。それは、オーナーからすれば収益の減少を意味します。初心者であってもベテランであっても、始めに失敗すれば売却して損切しないかぎり、容赦なく金銭的ダメージを受け続けます。
しかし、準備が整った上で始めると、初心者であっても失敗しにくいというのも不動産投資の特徴です。不動産投資というと、「あやしい」「やめとけ」などと聞くこともしばしばですが、実は堅実な部類の投資なのです。その理由やリスクヘッジの心得を、不動産投資をこれから始めたい、始めるかも、という初心者の方に向けてお伝えしていこうと思います。
新築がいいの?中古がいいの?成功の可能性はどれくらい?などと各論の細かい部分は際限がないので、まずは初心者の方が網羅したほうがよい内容を簡潔にポイントだけを解説します。また、初心者の方でも挑戦しやすい、小額からの不動産投資も最後に紹介していますので、興味があればぜひ最後までお付き合いくださいませ。
Contents
不動産投資の初心者は黙々とリスクから調査しましょう
不動産投資で初心者の方々が思い浮かべるリスクといえば、地震、土砂崩れ、洪水などの災害や火事などの発生によって、所有している不動産が大きなダメージを受けることでしょうか。たしかにそういった懸念はあるものの、そういった神のみぞ知る、防ぎようのないリスクはひとまず置いておき、防ぎようのある代表的なリスクを三つ紹介します。
①空室が埋まらずに収入減
初心者の方々にとって、空室問題こそが最大の懸念点です。物件購入の検討時のシミュレーションよりも、空室率が高かったり、空室期間が長引けば、投資計画が破綻してしまいかねません。初心者のうちはどうしても賃貸需要の調査力がベテランに劣るので、シミュレーションが甘くなりがちです。一棟を所有すれば、満室稼働でなくても収入はありますが、区分、たとえば会社員の不動産投資として一時期多く見られたワンルームマンションであれば、入居率が100%か0%です。
なぜその物件に入居者が集まるのか、力説できるレベルに調査しましょう。調査の方法がわからなかったら調査の方法から、あらゆる角度から勉強を始めましょう。ベテラン不動産投資家たちのSNSやブログ、ホームズの見える!賃貸経営など、斜め読みでも大変勉強になります。
②不動産価値が下落して売却益が出ない
2022年現在、不動産価値は緩やかに上がってきているものの、下落する時もいずれ来ることが予想されます。少子高齢化によって物件の需要が減少していけば、それに応じて下落しますし、団塊世代が保有している物件が相続を機に市場にあふれれば、この時も下落すると言われています。また、不動産価格は金利の変動にも影響を受けます。低金利であれば良い条件でローンが組めるので、需要の増加とともに不動産価格は上昇しますが、逆に高金利になれば、ローンの条件が厳しくなるので、需要は減少、不動産価格は下落します。こういった、不動産価値の変動に関しては、初心者であっても危機察知は可能です。不動産の知識というより、ニュースを見たり新聞を読んだりといった、世の中の動向チェックをまめにできているかどうかだからです。
③すぐに現金化できない
端的に言えば、売りたい時に売れないということです。これは初心者ほど実感する悩みでしょう。単純な話、売値が相場より安ければ早く売れるのですが、その物件の魅力、個性を気に入る購入検討者がいれば、相場よりも高く売れることもあります。そもそも初心者には、その価格が相場に対して、どれほど安いか高いかという判断がすでに至難です。安く買いたたかれてしまうのも好ましくありませんが、期待も込めて高い価格設定をしてまったく売れないという事態も避けたいところです。売却すると決めたら、いつまでも売れない物件として認知がされてしまう前に売却することも大切です。早ければ1ヶ月間で売却契約、決済が終わることもありますが、全体を通して数ヶ月かかるのは普通です。売却活動に関しては、初心者ほど期間に余裕を持ち、計画的に始めましょう。
メリットは勝手についてくればいい
これから不動産投資を始めようかという初心者の方には、リスクやデメリットから知っていただきたいのは、もちろんなのですが、当然、リスクに見合ったメリットも多数ありますのでお伝えできればと思います。ただ、リスク回避を入念に考えた結果、メリットが際立った、という状態が理想ですので、ここでお話するメリットを信じすぎないようにしましょう。
①月々の安定収入
単純かつ非常に大きいメリットです。保有する収益物件に、入居者が入っていれば月々安定して家賃収入が見込めます。公益財団法人の日本賃貸住宅管理協会が行った調査(2020年12月発表)によると、賃貸物件の居住期間は、単身で約67%が2~4年間居住、家族の場合が4~6年間居住が約61%という結果になったそうです。
初心者目線でも、一般的な会社員、学生であれば、短期間で引越しを繰り返す入居者は稀なのではないかと予想できますが、一般的な契約期間以上に住み続ける方が多いというのは、不動産投資家にとっても朗報です。世の中で不景気が話題に挙がるような時でさえ、「では賃料が安いところに引っ越そう」という方より、「引っ越しは様子を見よう」という方の方が多いのではないでしょうか。引越しにはまとまった資金も必要ですので、そう簡単に決意はしません。入居者さえいれば、それなりの長期間、月々安定した収益が見込めるということです。
②レバレッジ効果で収益性UP
初心者の方の中には、レバレッジ効果について完璧には理解していない方もいらっしゃるでしょう。レバレッジ効果とは、てこの原理にたとえられ、小額の資金で大きな投資効果を得ることをいいます。さらに具体的に言うと、銀行からの融資も受け、自己資金だけでは手が届かない、より収益性の高い物件を購入することです。
経費やその他細かい計算を除いて、レバレッジ効果を利用する場合、しない場合を比較してみます。
(1)自己資金1000万円で、1000万円(年利回り6%)の物件を購入
まずは、レバレッジ効果を利用しない場合です。
賃料収入/年 :1000万円×6% = 60万円
(2)自己資金1000万円+銀行融資で4000万円 (年利回り6%) の物件を購入
次に、レバレッジ効果を利用した場合です。年利回りは同じ5%です。
賃料収入/年 :4000万円×6% = 240万円
ここから、銀行への利息(3%と想定)を差し引くと、
240万円-(4000万円×3%) = 120万円
比較結果
(1)レバレッジ効果なし:60万円
(2)レバレッジ効果利用:120万円
同じ自己資金でも、倍の収入になることがわかります。
自己資金比率が高いほど堅実ではありますが、見方を変えれば全ての自己資金を投与せずに手元に残し、他の物件の購入資金としたり、全く別の投資資金にすることもできます。物件の利回りと銀行の金利のバランスのとり方で、収益は大きくなるのです。
③相続税対策ができる
不動産投資が相続税対策になる理由を簡潔に説明すると、不動産は財産としての評価額が額面の5割、6割程度となるからです。現金は額面通りの評価なので、課税額に大きな違いがでます。この点は資産として現金よりも明らかに得です。不動産投資初心者の方は、「なんで?」となったかもしれません。土地と建物に分け、例を挙げて簡単に解説します。
例)土地を5000万円で購入し、上物で5000万円のマンションを建てる ※計:1億円
土地
土地は、路線価(国税庁が公表した土地価格)によって相続財産としての評価がされます。これは時価よりも2割ほど価値評価が下がります。また、その土地がマンション用地である場合、 事業目的使用の土地として評価され、これもまた評価が2割下がります。
計算すると、以下のようになります。
評価額 :5000万円×0.8×0.8 = 3200万円
→ 1800万円分の評価額が下がった
建物
固定資産税の対象になり、時価よりも4割ほど評価が下がります。また、賃貸しているならば時価よりも3割ほど評価が下がります。これをあわせて考えると、
評価額 :5000万円×0.6×0.7 = 2100万円
→ 2900万円分の評価額が下がった
土地と建物をあわせると
評価額 :3200万円+ 2100万円 = 3300万円
相続税※に大きく差が出ることがわかります。
評価額を下げ、節税する手段として不動産投資は有効といえます。
※相続税=(評価額-基礎控除額)×相続税率
④生命保険代わりになる
生命保険代わりとするメリットは?
初心者の方々の中にも、このメリットを聞いて不動産投資を検討し始めた方は多いのではないでしょうか。不動産投資のため銀行融資を受けて不動産を購入する際は通常、団体信用生命保険(団信)という保険に加入します。これは、契約者である投資家に、不慮の事故や重い病気などの事態が起きてしまった時に備えた保険です。万が一、投資家がお亡くなりになった時、残された家族は、ローンを払う必要がなく月々の賃料収入は継続して受け取ることができます。これが、「不動産投資は生命保険代わりになる」と言われる理由です。
死亡や高度障害が適用の代表ですが、がん、その他生活習慣病が対象となる団信もあります。遺伝的にがんになりやすいかもしれない、悪い生活習慣(飲酒、喫煙、偏食)を長期で続けてしまった、という方は検討してみてもよいかもしれません。
生命保険代わりとするリスクは?
不動産投資を生命保険代わりと考えるにあたり、初心者の方に知っていただきたいリスクもご紹介します。まず一つ目は、「保険料の適用にならないリスク」です。それでは意味がないではないか、というご意見はもっともなのですが、なんらかの原因で働けない状態になってしまったとしても、死亡してはいないし所定の高度障害にも該当しないということで、保険料が支払われないことがあります。いかなる場合も適用されるわけではないということです、
二つ目は、「普通の生命保険よりも保険料が割高になってしまうリスク」です。保有していた収益不動産からの賃料収入が十分でない場合、この懸念が現実になります。というのも、物件を保有すると収入がある代わりに必要経費もかかります。修繕費や設備費、清掃費などが毎月かかる中で、収入が十分でなければこれらの費用は持ち出しになってしまいます。この場合、生命保険に加入しているよりも割高になってしまいます。やはり物件選びは重要です。
不動産の営業マンに頼り切ってしまう初心者
初心者の方は、自分の知識不足を自覚しているのもあり、不動産会社の営業マンの話すことを根拠もなく信じがちです。人当たりが良く、誰にでも好感をもたれそうな営業マンが、自信のある様子で話をしてきたら、任せてしまおうかと思ってしまうのもわかりますが、決してそれはいけません。
自分の知識不足を自覚する謙虚さは大切かもしれませんが、毅然と不明点を質問し、確認をしていく勇気も必要です。根拠は数字で求め、リスクは事細かに聞きましょう。あれは大丈夫かこれは大丈夫かとしつこく聞くことが重要です。その時のためにも、初心者の方は物件に関するヒアリングが正しくできる基礎知識を勉強しておきましょう。
また、初心者の方を騙す悪徳営業マンも一部存在するので徹底して回避しましょう。リスクの説明が雑だったり、根拠もなく断定的な言葉をつかってきたり、早々に契約を迫ろうとしてきたら、相談をやめることをおすすめします。
フルローンで不動産投資をする時に注意すること
フルローンとは金融機関から融資を受ける際に頭金を必要とせず、全額をローンで不動産の購入をすることです。たとえ自己資金がたとえゼロの状態であっても不動産投資が始められるので、初心者の方にとっては渡りに船か?と思いきや、やはりそこにはそのメリットとともにリスクもあります。ここでは要点のみ解説します。
フルローンのメリットは?
結論から言うと、フルローンで不動産投資を始めるメリットは、自己資金を手元に残せることと、レバレッジ効果です。自己資金を手元に残せると、入居者を早く見つけるための広告費用にあてたり、物件の価値向上のためのリフォームをしたりと、様々な観点で有利です。レバレッジ効果に関しては、字面でいうと難しく聞こえますが、端的に言うと手元の資金は極力使わずに収益を大きくすることです。融資を受けられさえすれば不動産投資が始められるので、上手くいけば投資の効率は非常に良くなります。
フルローンのデメリットは?
頭金がいらないならアリかもしれない、と思う不動産投資の初心者の方は一定数いらっしゃるのですが、リスクも考慮しなくてはいけません。リスクの最たるものは逆レバレッジというもので、借入金を返済する際の金利が不動産投資の収益、いわゆる利回りを超えてしまう場合です。金利は社会の状況によって変動しますので、変動の影響を受けた結果、逆レバレッジになってしまう恐れもあります。借入金は持ち出しとなり、事業的には赤字ということになります。借入をする際は、念入りなシミュレーションの上で行いましょう。
少額からの不動産投資「初心者におすすめ」
不動産投資にはまとまった資金が必要、と考える方もいるかもしれません。たしかに、不動産投資には元手、自己資金が必要であり、物件を購入する価格の2割から3割が大まかな目安です。3000万円の物件ならば、購入の際に600万円から900万円が必要であるということです。これは諸々の初期費用を除いての頭金です。初心者の方が尻込みされるのも理解できます。
しかし、実は小額からできる不動産投資もあります。一般的には実物の不動産投資ほど収益性は高くないものの、手軽さ、リスクの低さという点では不動産投資の初心者の方にとって、よいスタート方法でもあります。
REIT(リート)
REITとは、簡単にいうと不動産の投資信託です。数万~数十万と、少ない金額から始められます。投資家の資金を原資として、不動産投資のプロが不動産の運用して、配当を支払うシステムです。物件の取得や管理は全てプロが行い、賃料収入や売買利益が配当として還元されてきます。よって、運用の手間はかかりません。その点、初心者の方でも安心です。マンション、商業施設、物流施設等、投資先の不動産の種類、エリアは様々であり、複数に分散して投資をしているので、元本毀損のリスクヘッジにもなっています。どんな物件に投資をしているのかは、企業のHPから詳細を確認できます。
また、株式と同様に換金もできるので、流動性の高さもメリットです。ただ、利回りは約3%~5%程度なので、多大な収益を得るということは現実的ではありません。経済の情勢、物件の価値変動の影響を受け、利回り、収益も変動するため、場合によっては元本毀損のリスクもあります。値動きに疲れてしまうな、という方にもあまりおすすめはできません。
不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングとは、不動産を小口化し、一口数万円~数十万円からファンドに出資できる金融商品です。REITと同様に、物件の管理業務は事業者が全て行う、ほったらかし投資です。スマホ完結で、簡単な本人確認が終わればすぐにでも出資ができます。特筆すべきはリスクの低さで、元本保証ではないものの基本的には想定の利回り通りに配当が支払われます。
例)利回りが年利で6%、運用期間が1年間、20万円出資の場合
200,000円×6% = 12,000円
このように、簡単にシミュレーションができるというのは大きなメリットであり、投資の初心者の方でも堅実に「いつまでにこれぐらいの額を」という目標どおりに資産運用ができます。近年の不動産クラウドファンディング商品は利回りの平均が高く、6%程度は期待できます。比較的新しい投資ですが、近年市場規模が急拡大しており、人気のファンドは出資申込が募集口数を大幅に上回って、抽選になるケースがあります。抽選の結果、落選してしまい、出資できないこともありえるのがある意味デメリットといえるかもしれません。しかし、度々と募集は出るので、サービスの会員登録(無料)やSNSのフォローなどで情報をキャッチし、時間のある時にトライしていればコンスタントに出資できます。まずはサービスさいとで過去のファンドや運用実績、募集中のファンドを見てみてはいかがでしょうか。
このWEBメディア、大家の教科書を運営する株式会社イーダブルジーが提供している不動産クラウドファンディングのサービスは、TOMOTAQU「トモタク」です。実物不動産投資に挑戦するには今は早いかもという方は、不動産投資の初心者入口としても悪くない選択肢だと考えています。
まとめ
不動産投資自体は、初心者の方であっても、しっかりとリスクヘッジをすれば、効果的にメリットを得ることができる堅実な投資です。
初心者の方が注意すべき代表的なリスクは以下の3点です。
- 空室が埋まらずに収入減
- 不動産価値が下落して売却益が出ない
- すぐに現金化できない
空室リスクは、賃貸需要の調査制度、調査方法に関して、初心者の方は徹底的に勉強してリスクヘッジしましょう。不動産価値の下落に関しては不動産の知識そのものというよりも、社会情勢や政策的な金利の変化が不動産に及ぼす影響、という視点で世の中の動きを追い、危機回避に動きましょう。現金化がすぐにできないことにも注意が必要です。不動産の取引の性質上、数ヶ月かかるのは普通だという認識でいましょう。
上記のようなリスクを最小限に抑えることができれば、逆に、メリットが最大化されます。不動産投資の主なメリットは以下4点です。
- 月々の安定収入(入居者からの賃料)
- レバレッジ効果で収益性UP
- 相続税対策ができる
- 生命保険代わりになる
メリットの方向性は1~4でそれぞれ違いますが、しいていうなら2は攻めのメリット、それ以外は守りのメリットです。ローン金利以上の利回りで、入居者が安定して付いている物件は、強固な収入源となり、かつ、生命保険の代わりや相続税対策にまでなるのです。
とはいえ不動産投資は、資金や知識レベルの問題で誰でも気軽に始められると言うのも無理があります。まずは、知識向上をしながら少額から不動産投資を始められないだろうか、という要望にかなうのが、REITや不動産クラウドファンディングです。実物不動産投資ほど大きな収益性はありませんが、資金的は数万からの少額で、元本割れのリスクは低く、不動産投資ができます。まずは、初心者の方はこういった不動産投資からスタートしてみて、徐々に初心者を卒業し、その後に実物不動産投資に挑戦してみてはいかがでしょうか。