長生きはリスク?老後の住まいと資産運用について今一度考える
日本は世界有数の長寿大国と言われている反面、お金に関する教養が諸外国と比べて乏しく、長生きすること自体がリスクであると言われています。
「老後の準備」と言われるとなかなか実感が沸かない、私たち現役世代ですが、頭の片隅に置いておくだけでも変わってきます。
長生きによるリスクがどのようなもので、どのような対策によってリスクヘッジができるのかについて考えてみたいと思うのです。
「長生きリスク」とはどういったものか?
『長生き』は本来、大変喜ばしいものなのですが、反面、老後に予想外のお金がかかるといったリスクがあります。
具体的には、病気やケガによる通院、介護のリスクがそれにあたります。高齢者になると、どうしても身体に自由がきかなくなり、病気やケガが原因で介護が必要になることもあると思います。
生活資金以外にも介護資金などが、老後には必要になってきます。
では実際に、老後資金についてどのように準備していけばいいのかを一緒に考えてみたいと思います。
老後の住まいについて
もしあなたの住まいが「持ち家」であるとします。
多くの人は、持ち家を”終の住みか”にしたい!と考えているのではないでしょうか。
もし、そうであればリフォームの計画もしておくべきでしょう。健康な時に建てた家は、健康な現役世代が暮らすことを前提に作られた家です。もしあなたが高齢者になって身体が不自由な状態になったときには、暮らしにくい家になっているでしょう。
入居者が要介護認定になった場合には、バリアフリー環境の構築が必要になりそれなりの資金が必要になります。
例えば、手すりの設置、段差をなくしスロープ工事¥、介護用のお風呂の設置などがそれにあたります。
このような状況を想定して資産形成をしなければなりません。
マンションであればどうか?
余談ですが、マンションの場合の多くはバリアフリーに対応してるケースが多く、長期的な視点で見たときには、有効だと思います。
マンションの場合、室内に階段がなく、段差も少ないです。自宅で介護をするなら、戸建てよりもマンションの方が使い勝手がよいと言えるでしょう。
老後資金の問題
もちろん、「長生きリスク」の中での最大の問題は老後の生活費です。終身雇用の崩壊による退職金の低下、年金受給開始年齢の高齢化などにより、これらをあてにした生活は難しくなっています。
この難しい状況の中で、私たちはどのように暮らしていくべきかをしっかりと考える必要があります。
上手に制度を活用して資産を守る
老後の資産を上手に守るために、ぜひ検討していただきたいのが、公的な制度の有効活用です。
介護保険の有効活用
持ち家を介護仕様にリフォームする際に知っておきたいのが介護保険の活用です。実は介護に関するリフォームをした場合に、リフォーム費用を介護保険で賄うことができます。
具体的には、上限額を20万円として工事代金の最大90%が支給されます。他にも、介護向けリフォームを支援する自治体もあります。介護者がリフォームをする場合に介護保険でカバーしきれない部分をサポートする助成金などがあります。
具体的には、「高齢者住宅改修費支援サービス事業(高齢福祉課)」などがあり、要援護高齢者のいる世帯に対し、日常生活を容易にするため住宅改修費用の一部を助成するといったものです。(*千葉市高齢住宅改修サービス事業より抜粋)
ちなみに、介護保険認定を受ける場合は、”要介護認定”が必要です。お金が給付されるまでに、ある程度時間がかかるので、要介護認定になったら早めに、役所に相談するようにします。
退職金でリフォームはどうなのか・・・?
定年退職により入った退職金で老後(介護)に向けたリフォームをする場合は、推奨できないと考えています。その理由は、介護保険の給付の恩恵を受けることができないからです。身体が元気なうちにリフォームをしてしまうと、不確定な未来にお金をかけてしまうことになりますし、助成金も受けられないからです。
私はある意味、最高の資産運用とは生涯現役で働くことだと思います。労働などによる収入を投資に回しながらいつまでも今の健康状態をキープすることを考えましょう。
老後にマーホームを上手に活用する方法
介護には大金が必要になります。公的施設である「特別養護老人」の場合は月額10万円前後で暮らすことができます。他にも「介護付き有料老人ホーム」「ロングステイ」「ショートステイ」などがあります。どれも、1か月利用した場合の利用料は、”それなり”にかかるということです。
あなたが万が一介護認定を受けて、要介護状態になったときのことを想像してみて下さい。あなたが、十分な預金や換金化できる資産を持っていれば、ここで話は終わりです。しかし、多くの方はどのように介護費用を賄えばよいのでしょう。。。
リバースモーゲージとリースバック
ここでは、マイホームを上手に活用して介護資金を上手に活用する方法をご紹介します。
一つ目は「リバースモーゲージ」です。これは、所有している住宅を担保に老後資金を借りることです。
自宅を担保にしてお金を借りることですから、そのまま自宅に住み続けることができます。しかし、この「リバースモーゲージ」はなかなか”シブイ”制度であることにも注意が必要です。
”シブイ”というのは、制約が多いという意味ですが、都心部などの地下の高いエリアの住宅しか融資対象になりません。さらに、融資上限額は、資産価値の50%程度だったり、地下の下落によって担保割れのリスクも伴います。
一方で「リースバック」についても確認していきましょう。この「リースバック」は最近非常に注目を集めている仕組みです。
この制度は、自宅を売却したうえで、買い主と賃貸借契約を締結して家賃を支払いながら継続して住み続ける仕組みです。
この利点は、売却時点で不動産価値が確定されて現金化されます。自宅の所有権は相手に渡りますが、金利や資産価値の目減りに関して気にする必要はなくなります。
ご自身の財産を整理するという意味でも有効な手段であり、近年大きな注目を集めています。
老後資金にはマイホームを上手に活用する
住宅ローンを完済したマイホームは、立派な資産になります。
老後資金に不安がある方は、リースバックの活用で手元資金を確定させ充実させることができます。
マイホームは退職金の代わりとしての位置づけで考えることもできますし、老後の資金としてあてになるかを考えながら購入を検討することも大切です。
先述した助成金の活用や施設を利用した場合の資金なども考慮しながら、あなたの老後は一体いくら必要なのかについて考えるきっかけになればと思います。
投資や貯蓄、マイホームに関する考え方や知識を身に付け、上手に老後に向けた資産運用を行っていきましょう。