個人資産が海外に流出?内需を見定め良質な投資先を選ぶ

先日の「日本経済新聞」の記事で、少し興味深い記事がありましたので、ここで紹介したいと思います。

日本の個人マネー1.6兆円、世界株投信へ 1~8月

2020/9/19 23:00『日本経済新聞』より

記事を要約すると、国内個人投資家の志向が海外に向いている現状が強く見られているとのこと。

本来、日本の投資家は「ホームカントリーバイアス」つまり、投資先が自国中心の傾向が強かった訳だが、インターネットの普及による情報の民主化と電子機器やIT情報通信サービスにおけるグローバル製品の浸透によって、海外企業への投資の抵抗感が薄れてきていると考えられる。

しかしながら、投資の世界においてもグローバル化が進んでいるため、マネーの逆回転が起きれば、その反動としての影響も大きいと警戒している。

ポイントは3つ

ここでのポイントは3つあると考えています。

1つ目は、個人の資金が米国を中心とした海外のITを中心とした成長企業に流出していること。

2つ目は、投資対象のグローバル化が進んでいるため、投資マネーの逆回転が起きれば、その反動による影響も受けやすいということ。

3つ目は、国内の割安な投資先、良質な投資先のポジションが空いているということ。

このようなポイントが考えられます。

個人の資金が海外市場に流出している

情報の民主化が進むことで、個人投資家の資金が海外に多く流出しています。

IT企業を中心にサービフのグローバル化が進んでいることも影響しているようです。

この点に関しては、ドメスティック企業の奮闘を期待したいところですが、低金利の今、成長著しい企業への投資は止むを得ないといったところでしょうか。

株式を公開している企業や投資商品を扱っている企業に関しては、さらに奮闘する必要があるのではないでしょうか。

マネーの逆回転が起こったらどうなる

個人投資家の資金が海外(主に米国)の成長企業に流れていることは前述しました。

ここで懸念しなければならないのが、マネーの逆回転が起こった場合に関してです。

これらの企業への投資が一服した際には、必ずどこかのタイミングで最適化が起こります。

成長企業への投資は、期待感とポテンシャルも含んだ投資となるため、機関投資家などはタイミングを見て、矢継ぎ早に次の投資先に資金を移すでしょう。

そうなった場合に個人投資家はその反動をモロに受ける可能性があるのです。

そういった意味でも、海外の成長企業への投資は十分注意が必要だと私は思います。

国内の投資先にも目を向けるべき

そういった意味で、国内の投資先にももっと目を向けるべきです。

国内の投資先にも、優良な投資先はまだまだ存在します。

投資指標において、PBR、PERが高い割高感のある成長株への投資ではなく、割安な株が国内には多く残っています。

この点については、日本企業については特に多いようで、最近では著名投資家やアナリストからも注目されています。

一度、金利が上昇すると、割高感のある成長株よりもPBR・PERの低い割安株に資金が向かう傾向があります。

割安株を買い戻すマグマがたまっている。まだ3分の1程度しか実現していない

三菱UFJモルガンの古川真氏「日本経済新聞」より

そういった意味では、国内市場に対してもっと目を向けるべきだと考えられるでしょう。

不動産投資市場というミクロの視点で考えると

ここまで、少し小難しい話をさせていただきましたが、もう少し、ミクロの視点で考えてみます。

私たちのフィールドである不動産投資市場というステージでも、まだまだ良質で可能性のあるポディションが残っています。

都心部のテナントに変化

空室ゼロで完全な売り手市場であった都内のオフィスビルは、空室率1%台と極めて好調でした。

しかしながら、新型コロナウイルスの影響もあってか、空室が目立つようになり、直近1ヶ月においては、都心5区全体の空室面積が20万7900平方メートル、これは東京ドーム5個分に満たないくらいの広さに相当します。

都心から少し離れたエリアに注目

在宅勤務やテレワークといった働き方においても業務効率、生産性は変わらないことが実証されており、今後さらに都心部のオフィス需要を満たしてきた渋谷区界隈のIT企業などを中心に、オフィスの解約や縮小なども考えられます。

そういった意味では、今後は都心部から少し離れた場所の物件やコワーキングスペースなどの需要は高まるかもしれません。

実需のニーズにも変化あり!?

また、実需については一部屋あたりが小さくても、間取りの多いマンションなども人気が出るのではないかと個人的には考えていて、テレワークを見越した間取り設計が多く出てくるでしょう。

また、多くのメリットがあった『職住近接』の考え方についても、働き方が多様化することで、都内に住む会社員は準都心、地方に移住する、といったケースも増えてきます。

オフィス、実需ともに、大きな変化が訪れているわけですが、不動産投資の世界においても、世の中のニーズをしっかりとグリップすることで、効率のいい投資が十分可能だと考えます。

最近では不動産特定共同事業の普及など、不動産投資の世界でも新たな投資機会が増えてきています。個人投資家の方々にとっては、足元の投資先をしっかりと見定めて良質な投資先を選んでいただきたいと強く願っています。

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