【コロナ真っ只中の人生設計】今改めて、老後2,000万円問題について徹底的に斬る!

金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」が2019年6月3日に公表した報告書「高齢社会における資産形成・管理」の内容が大きな注目を集めました。これらは、いわゆる『老後2000万円問題』として取り上げられ大きな波紋を呼びました。

「公的年金だけでは老後の生活は成り立たない」といった部分が大きく切り取られ、年金の存在意義さえも疑問視されましたが、それはある意味でミスリードだと私は思っています。

そして2020年、新型コロナウイルスの流行により『新しい生活様式』が推奨されました。コロナウイルスの流行を境に、今までの常識の多くにパラダイム・シフトが起きることが予想されます。

今回は、老後2000万円問題を紐解き、今後私たちがどのように暮らしていくべきなのか?を考えていきたいと思います。

老後2,000万円問題とはどんな問題??

そもそも『老後2,000万円問題』の”2,000万円”はどこから来ている数字なのでしょうか?

個人的にも疑問に思い少しだけ深堀りしてみました。まずはそこからシェアさせていただきます。

統計データの確認

まずは、数字根拠の基になる統計データを確認していきましょう。

厚生労働省「第22回安全生命表」、「平成29年簡易生命表」より金融庁作成データを抜粋

2017年の平均寿命は、男性:81.1歳、女性:87.3歳という結果が出ています。平均寿命が何歳なのかが確認できました。

続いて、高齢者夫婦無職世帯の家計支出についてです。上のグラフを見ると、社会保険給付などの収入による平均可処分所得が180,958円で、実際の平均消費支出が235,477円となっていることが分かります。

つまり、社会保険給付だけで生活をした場合、毎月54,519円の赤字家計になってしまうのです。

平均的な老後の生活費はいくらかかるのか?

毎月の平均的な収入と支出が分かれば平均寿命を基に「どれくらいの老後資金が必要か」が分かってきますね。

公的年金の受給は65歳以上~になりますので、そこから20年・25年・30年・35年と生きた場合の老後資金の不足分は”なにかしら”で補わなければなりません。

先ほど、「社会保険給付で平均的な生活をした場合は、毎月-54,519円の赤字会計になる」とお伝えしました。仮に、老後亡くなるまで”平均的な暮らし”をした場合、

20年:54,519円×12ヶ月×20年で13,084,560円の不足 ※85歳まで生きた場合

25年:54,519円×12ヶ月×25年で16,355,570円の不足 ※90歳まで生きた場合

30年:54,519円×12ヶ月×30年で19,626,840円の不足 ※95歳まで生きた場合

35年:54,519円×12ヶ月×35年で22,897,980円の不足 ※100歳まで生きた場合

これはあくまで社会保険料を満額納めた場合で、年金の支給開始年齢が65歳からであると仮定した場合の話になります。また、医療・予防医療の発達などにより、健康寿命・平均寿命はますます伸びていくでしょう。

やや皮肉な話ではありますが、自立して、長生きすればするほど老後の生活費はそれに比例してたくさん必要になり、私たちは”なにかしらの対策”をする必要があるのです。

決して他人事ではない「2,000万円問題」

このような数字的な事実を確認することで「老後2,000万円問題」は、非常に的を得た提言である、と言わざるを得ません。

上記試算はあくまで平均的支出の話であり、老後の生活をよりよいものにしたいとお考えのあなたは、その支出はさらに多くなるでしょう。

これらの問題は私たちに追い打ちをかけるように、今後も襲いかかってくるのです。もう少し具体的に確認していきます。

長寿化による生涯支出の増加

WHOの調査によると、日本は世界一の長寿大国だと言われています。今後もその傾向は続き、さらに長寿化することが予想されます。

とある試算によれば、現在60歳の人の25%が95歳まで生きるとも言われています。

『長生き』することは、とても素晴らしいことですが、それ自体が老後資金に影響を及ぼすため私たちは何かしらの対策が必要になるのです。

『人生100年時代』が現実のものになりつつあります。その現実をしっかりと受け止めて、現役世代の段階から、私たちは生活設計をしなければなりません。

年金の支給開始年齢の遅れ

公的年金の支給開始年齢が遅れることも想定しなければなりません。支給開始が70歳~になることは十分予想できます。

なぜなら、日本の公的年金制度は『賦課方式』を採用しているため、高齢社会になればなるほど現役世代の負担が大きくなるからです。

そのため現行の制度を維持するためには、保険料負担を大きくするか、支給開始年齢を遅らせること、もしくはそのどちらも採用することで需給バランスを整えるしかないのです。

当然、支給開始年齢が遅れるようであれば、老後の資金計画も現状の計画通りにはいきません。

個人の自助努力が大切になってきます。

退職金の減少

働き方の多様化、ジョブ型雇用の台頭、終身雇用の崩壊などの影響もあり、今までのような退職金は期待できず、今後ますます減少傾向になることも考えられます。

厚生労働省「就業構造基本調査」より金融庁作成を抜粋

これまでは、終身雇用制度によって、年金だけでは賄うことができない部分を退職金で補い、老後の暮らしを豊かなものにしてきました。

高度経済成長期から2000年代初頭あたりまでは、人口も右肩上がりでした。2004年12月の12,784万人をピークに減少が始まり高齢化率も20%を超えてきました。

人口が増え続けて経済が成長する段階では、”物を出せば売れる時代”でした。なので年齢とともに賃金は上がり、退職金も貰える。このような時代背景だったのです。

ただ、人口が減少曲線に入ると今度は、物余りの時代に移行しますので、差別化と競争による付加価値の強化が求められてきます。

そういった時代背景では、勤続年数に比例する昇給や退職金の減額については当然のことだと考えられます。

上のグラフを見ると年々退職金給付額は減っています。このグラフは平均勤続年数35年以上の者が対象になりますので、時代背景の変化や雇用体系が柔軟になった今、この金額はさらに減ることはあっても増えることはないでしょう。

自分の状況に照らし合わせてみると・・・

様々な時代背景の中であなた自身の状況を照らし合わせてみて下さい。

ここまでの状況の中で「自分は安泰だ!」と心の底から思っている人はそこまで多くないと思います。もし「自分は安泰だ!」余程の優良企業に勤務しているか、貯蓄が潤沢にあるか、もしくは、これからお伝えするような自助努力がきちんとできているか、のいずれかに該当すると思います。

老後2000万円問題については、表面的な情報やメディアの情報を眺めているだけでは、深い情報の入手ができず、十分な対策は取れないと私は思います。

当然ながら、全ての人が『老後2,000万円必要かどうか』なんて分かりません。人によっては3,000万円、5,000万円、1億円必要かもしれませんし、もしかしたら1,500万円で足りるかもしれません。それぞれの人生設計や目指すべき老後の過ごし方によって変わってくる、変数なのです。

まずは、ライフプランをしっかりと考えて老後資金をどのように確保するのかを計画してみましょう。

2,000万円問題にどう備えるべきか?

私たち現役世代の老後は、残念ながら一筋縄にはいきません。。。

コロナウイルスが流行する前と後でも生活様式や働き方が大きく変化してきて、私たちを取り巻く環境は大きく変化することが考えられます。

何か”をきっかけに、昨日の常識が明日の非常識になることも想定しておかなければならないことを私たちは今まさに学んでいると思います。

最後になりましたが、私たちが今からやるべきことや『2000万円問題』に対してどう備えるべきか?について、

私なりの所見をお伝えしていこうと思います。

ライフプランをきちんと立てる

まずは、ライフプランをきちんと立てることが重要です。

計画は計画なので、途中で修正が入るかもしれません。しかしながら、計画を立てないことには修正点にも気付きませんし、正しい方向にきちんと進んでいるのかも判断できません。

定期昇給が期待できないのであれば、現在の給与のまま働いた場合にどうなるかを考えてみましょう。恐らくかなり厳しい現実が数字に現れると思います。

ここで現実から目を背けるのではなく、

  • どうしたら昇給するのか?
  • どうしたら資産を増やせるか?
  • どうしたら長い期間働けるか?

を考えてみるとよいでしょう。

すると、資産形成とはやや逸脱しますが、自己投資などをして、仕事における収入を増やす方法を考えるようになると思います。

当たり前ですが、収入を増やすことが老後資金の確保にも資産運用の元本確保の近道なのです。

”ワークプラン”をきちんと立てる

当たり前ですが、定年退職後もできるだけ長く働くことができ、生活費(余暇・娯楽費含む)を給与所得として確保できれば、老後資金に困ることはありません。

言い換えれば、死ぬまで労働や事業による収入があれば全く問題はないのです。

平均寿命とは『人が亡くなる年齢の平均』を表していますが、それとは別に『健康寿命』という言葉があります。『健康寿命』とは、人が健康で元気に暮らせるまでの寿命のことをいい、健康が損なわれれば、思うように働くことができなくなります。

健康寿命は性別や個人によってまちまちですが、平均寿命-10年くらいだと言われています。

男性であれば、71歳くらいまでは元気に働くことができ、少なくてもそこまでは働くことができるように準備しておいてもいいのかもしれません。

なお、健康寿命についても長寿化によってますます高齢化していくことが予想されます。

できるだけ長く働くことを想定する『ワークプラン』を立てる場合は、日々の運動や人間ドック、予防医療などに努めた自己投資も大切になってきます。

マネープランを立てる

これまでは、どちらかと言うと、”自分自身の健康を維持して出来るだけ長く働くこと、いわゆる『労働集約型』の考えをもって生涯収入を増やし、老後2,000万円問題の対策をしていくことについてお伝えしてきました。

しかし、ここからはマネープランについてです。

マネープランといっても、ここではお金をどのように動かし、あなたの資産を膨らませていくかについてを考えていきます。

いわば、『どのようにお金に働いてもらうか』についてです。

冒頭お伝えした『報告書』には、その資産形成における様々なヒントが散りばめられています。

私たちも『大家の教科書』の中で、投資・資産運用について色々とご紹介してきました。

人間、今はよくても年齢を重ねるにつれて、身体がキツくなってきます。働く時間についても限界がありますし、時間を切り売りするような働き方は年齢を重ねるごとにキツくなります。

しかし、お金はいくら働いても文句は言いませんし、体力の限界なども関係ありません。

できる限り、若いうちから、公的年金以外で賄わなければならない金額をどの程度なのか把握して、資産運用を加速させることをオススメします。

中長期的に使用する予定のない、まとまった貯蓄がある方は、債券投資不特法商品への投資などに投資するのがいいと思います。

https://oo-ya.jp/financial/2410/
https://oo-ya.jp/rssjb/2647/

まとまった金額の元本が確保できない場合においても、長期間に渡り積み立てることができる、積立投資信託積み立てNISAなどの商品を購入することで「時間分散」が可能になります。

不特法投資においてもクラウドファンディング等、1万円~投資可能な手軽な商品も出ていますので、状況を見ながら少しずつ投資するのもアリです。

https://oo-ya.jp/financial/2530/
https://oo-ya.jp/rssjb/2429/

人生100年時代と老後2000万円問題

最後になりましたが、私たちの生活は、現在、色々な意味で転換期を迎えていることに間違いありません。

今回の2,000万円問題については、色々と批判的な意見もあったようです。しかしながら、最終的には自分の将来は自分で守るべきであって、100年時代と言われる人生をどのようにより豊かで富んだものにするのかを考えるべきです。

世の中には様々な投資商品や助言者がいます。そして自分自身でも学びながら長きに渡る資産形成によって経済的にも自立できるような自助努力が必要になってきます。

https://oo-ya.jp/rssjb/2372/
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