【住宅ローンを減免】コロナで生活困窮対象に対してセーフティネット用意へ
昨日の日本経済新聞に興味深い記事がありました。
住宅ローンを減免 「コロナで生活困窮」対象
日本経済新聞イブニングスクープ
コロナウイルスの影響で給与が激減し、今まで払えていた住宅ローンの支払いに困窮する方が増えているとのこと。
それに伴い、「住宅ローンの返済を減額・免除する特例措置を用意する」準備をしているという情報が入ってきました。
住宅ローンが支払えない場合どうなる?
様々な事情で生活が困窮し住宅ローンの支払いが出来なくなった場合、最終的には不動産が「競売」にかけられてしまいます。
通常、ローンで購入した住宅には「抵当権」が設定されます。これにより、借りたお金の返済が出来なくなった場合に抵当権を行使することで、不動産を差し押さえ強制的に売却することができるのです。
住宅ローンの滞納から競売までの流れは下図のようになりますが、滞納をしてから2年弱で家を退去しなければなりません。
今回のコロナウイルスによる影響は、通常のパターンでは、なかなか片付けることができないのかもしれません。
セーフティネットの確立による救済
今回のケースだと、仮に住宅ローンの支払いができなくなった場合は状況に応じて法的措置を取るしかありませんでした。
しかし、コロナウイルス関連の特例として、生活難に陥った個人や個人事業主を対象に、住宅ローンの返済を減額・免除する特例措置をつくり、法的措置に頼らず再建できるようなセーフティネットの仕組みを用意していくようです。
住宅ローンの返済期間の延長を要請
今後さらに雇用情勢の悪化が予想される中で、金融庁は金融期間に対して、”住宅ローンの返済期間を延ばすことを要請”したようです。これにより、住宅金融支援機構が長期固定金利の「フラット35」の返済期間を最長で15年延長するなど対応がスタートしています。
住宅支援機構HPより抜粋
なお、住宅金融支援機構では5月から返済期限の延長などに応じるケースが急増し、その件数は、月1千件を超えているようです。減免の対象者については、こうした返済条件の変更だけでは生活を続けることの難しい困窮者が対象となっています。
自然災害扱いになる可能性もあるが・・・
金融庁が全国銀行協会や日本弁護士連合会などと協議を始め、全銀協などでつくる民間団体が自然災害に対応する債務整理の指針を運用しており、これを年内にも改正してコロナで苦境に陥った個人などを加えるとのことです。
ただし、「収入が減っていても金融機関が一時的な返済延期などで対応可能」と判断すれば減免しないと言われていますので、現時点ではそこまで有効なセーフティネットとなるかは懐疑的な目でみています。
減免の対象かどうかや減免の程度、住宅の売却を条件とするかどうかなどは、債務者が金融機関と個別に話し合って決め、財産や債務の総額、収入が途絶えている期間などをもとに判断するようです。
この辺りの”判断基準”がどのレベルになるのか、によって今後の可能性が変わってくる訳ですが、実際に住宅を購入する際は、様々な外的要因を考慮しながら、より一層、慎重な判断が求められるという教訓になるのではないでしょうか。
地震や洪水といった大規模災害では債務減免が認められている
現在の指針を見てみると、地震や洪水といった大規模災害に遭遇し、災害救助法の適用を受けた場合に債務減免を認めることとなっている。
自宅を失ったり失業したりして住宅ローンや事業性ローンの返済が困難になった場合が対象で、これまで498件の実績が過去にあります。
新型コロナでは自然災害のように物理的に自宅を失うわけではないため、従来に適用条件には該当しないため、そのあたりは今後、調整をしていくようです。
弁護士や公認会計士のサポート
債務者に対しては、中立的な立場で財産目録など必要書類の作成をサポートするなど、弁護士や公認会計士らが無料で支援をします。
債務整理のメリット
債務整理は破産や民事再生といった裁判所を介した手続きより生活再建を進めやすいのが特徴です。
今回のケースだと、債務を減免されても信用情報に傷がつくことはなく、金融機関の同意を得れば再び住宅ローンを組むことも可能です。
破産した後に手元に残せる現預金が99万円までなのに対し、債務整理なら最大500万円まで保有できるため、生活再建がしやすいのが特徴なのです。
コロナウイルスの収束の見通しが未だたっておらず、資金繰りに苦しむ個人や企業の支援は今後も必要になってきます。
政府は収入が急減した世帯向けの無利子融資といった支援策も提供している反面、金融機関にとってローン減免は”融資の焦げ付き”となり損失処理が必要になるが、コロナ禍に見舞われた個人などの支援を優先するようです。