【これって違法!?】親や祖父母から資金援助を受けてマイホームを購入したケース

PR:イーダブルジーの不動産特定共同事業「トモタク」

マイホームを購入する時に、両親や祖父母から資金援助を受けて購入する方もいらっしゃるのではないでしょうか。例えば、頭金を援助してもらったり、家屋の建て替え資金を出してもらったりと、様々な名目と理由で資金を出すような事例は多く耳にします。

このような事例は会話レベルではよく耳にしますが、実態として考えた時に、「それって贈与ではないの?」「贈与税は大丈夫?」「税務署に睨まれない?」といった疑問を持つことはないでしょうか。

子供や孫のためを思い、折角の援助をしたはいいものの、それが法律に反していたら目も当てられません。

そこで、家族間における”マイホームを購入する際の資金提供についてのルール”について解説していきたいと思います。

今まで、この制度を知らずにハラハラしていた方もいらっしゃったのではないでしょうか。制度を正しく理解して活用することで、堂々と資金援助することができますので、ぜひ読んでみて下さい。

親から子へ祖父母から孫へ「住宅資金贈与」の特例

両親や祖父母などの「直系尊属」からの住宅を購入するためなどの資金を贈与する場合には「軽減措置」が適用されます。

これは、豊富な資金を上流から下流に流すことで、不動産市場を活性化させるのが目的なのですが、一定の条件を満たすことで最大3,000万円まで非課税となっています。(*R2年3月31日まで)

贈与を通じて、取得する居住用不動産が省エネ基準に適合しているか否か、特例を受けるタイミングなどの様々な条件によって「軽減措置」にも幅があります。

もう少し具体的に見ていきましょう。

非課税限度額について

贈与金の非課税限度額については、家屋の種類と家屋の新築などに係る請負契約書の締結日によって金額が変わります。

以下、国税庁HP NO4508直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税(2 非課税限度額)より参照させていただきました。

住宅用の家屋の新築等に係る価格の消費税が10%の場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日3,000万円2,500万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日1,500万円1,000万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日1,200万円700万円

上記以外の住宅(中古住宅の個人間の売買など)

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日省エネ等住宅左記以外の住宅
平成28年1月1日~令和2年3月31日1,200万円700万円
令和2年4月1日~令和3年3月31日1,000万円500万円
令和3年4月1日~令和3年12月31日800万円300万円

エビデンス(証明書)関連

証明書などの種類(※1)証明対象の家屋
・住宅性能証明書
・建設住宅性能証明書の写し
1新築をした住宅用の家屋
2建築語使用されたことのない住宅用の家屋
3建築後使用されたことのある住宅用の家屋(※2)
4増改築等をした住宅用の家屋(※3)
・長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写し及び住宅用家屋証明書(その写し)
又は認定長期優良住宅建築証明書
・ 低炭素建築物新築等計画の認定通知書の写し及び住宅用家屋証明書(その写し)
又は認定低炭素住宅建築証明書
1新築をした住宅用の家屋
2建築語使用されたことのない住宅用の家屋

(※1)証明書については国土交通省または地方整備局にお尋ね下さい。

(※2)建築後使用されたことのある住宅用の家屋の場合は、その取得の日前2年以内又は取得の日以降に、その証明のための家屋の調査が終了したもの又は評価されたものに限ります。

(※3)住宅用の家屋の増改築等をした場合に、省エネ等基準に適合させるための工事であることについての証明がされた「増改築等工事証明書」を「住宅性能証明書」又は「建設住宅性能評価書の写し」に代えることができます。

住宅資金贈与の受給者要件

住宅資金贈与の非課税の特例については、次の要件を満たす必要があります。

主な適用条件はこちら

適用条件
受贈者について贈与を受けた時に直系卑属であること。
※配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属ではありませんが、養子縁組している場合は直系尊属に該当する
受贈者の年齢贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上であること
受贈者の所得贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること
過去の適用直近5年の贈与税の申告で「住宅資金贈与の非課税の適用」を受けたことがないこと
使途贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得資金の全額を使い家屋の新築などをすること
居住地・日本国内に居住してること(贈与を受けた時に日本国内に住所がなくても一定の場合適用可)
・贈与を受けた翌年3月15日までにその家屋に居住すること、その後もその家屋に居住することが確実であること
※贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していない時は適用を受けられない。修正申告が必要

適用条件を見ても、決してハードルが高くはありません。

贈与については考え方は様々かと思いますが、祖父母世代、親世代が元気な時点で相続対策や知識をしっかり付けておくことで、選択肢が広がることは間違いありません。

考え方によっては事実上、相続税の基礎控除枠が増えていることと同じになります。祖父母の立場から孫世代を見た場合は、法定相続人にするために最大2人までに限り養子縁組する措置などが必要でしたが、この制度を利用することで、スムーズな対応が実現できます。

また、近年では出生率も1.43%(2018年)と下がっていて、一人っ子世帯が増えてきています。そういった意味でも孫世代への贈与がしやすい環境になっているのではないでしょうか。

このような背景を考えつつ、相続においては事前準備と知識を身に付けることでしっかりとした準備をすることが重要になってくるでしょう。

相続時精算課税制度を活用して控除額アップさせることも可能

最後に、相続の問題とも関連してきますが「相続時精算課税制度」を活用することで、さらに2,500万円までの控除枠を活用することができます。

相続時精算課税制度とは、60歳以上の親から20歳以上の子または孫への贈与に関して、『2,500万円の控除”枠”が使える』という制度です。

※毎年2,500万円の控除枠があるという意味ではありませんので間違えないで下さい。

これは、財産の種類や金額に関係なく、複数年・複数回にわたり財産を贈与されても枠内金額であれば贈与税が発生せず、2,500万円の控除を超えた金額がある場合は、その金額に対して一律で20%の贈与税額が発生するのです。

最終的には相続時に加算されてしまう

相続時精算課税制度によって贈与された財産は、最終的に相続税の計算をする時には精算されます。

相続税精算課税制度の仕組み

相続時精算課税制度によって贈与された財産については、贈与時の評価額で相続財産に加算されます。その上で、贈与財産をも含めた課税遺産総額をもとに計算された各人が負担する相続税額を計算し、相続時精算課税制度で収めた贈与税を差し引いて納付するべき相続税の金額を決定します。

最終的には、贈与分の金額は相続時には精算される仕組みになっていて、相続税の猶予のようなイメージです。

110万円ルールが使えない・・・

相続時精算課税制度については注意点が1つあります。それは、一度この制度を利用してしまうと、その後の贈与者から贈与された財産は、全て相続時に合算がされて、相続税の課税遺産総額として加算されてしまいます。

これは、「毎年110万円までの範囲内で贈与をすることで、時間をかけて相続税の対象となる財産を減らすこと」が出来なくなってしまうことを意味します。

次世代に明るい未来を残す制度活用

「住宅資金贈与の特例」を活用することで、若者世代のマイホーム離れを少しでも解消されると思っています。

もちろん、柔軟な住環境を手に入れたいという意識もあるのかと思いますが、一番の理由は、金銭的な不安ではないでしょうか。

終身雇用制度も崩壊している現代社会においては、以前にも増してマイホームを購入することは、多くの人にとってハードルが高くなっています。

そういった意味では、親世代、祖父母世代に対して、この記事を読んでいただき、必要に応じて行動に移していただけたらと思います。

制度や仕組みを理解して、相続対策と絡めることで資産を有効活用することができるでしょう。