【きちんと答えられますか?】不動産の減価償却費とそのポイント

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「減価償却費」というキーワードは賃貸用不動産を購入された方やこれから不動産投資をスタートしようと思われている方であれば、一度や二度は聞いたことがあると思います。

今回は、「減価償却費」について解説していきたいと思います。

減価償却費とは

減価償却費とは、ざっくり言うと、長期間に渡って利用できる設備を、一定の期間において分割して費用として計上することです。

減価償却のイメージ

これは、不動産における家屋、設備、機械などだけでなく、自動車やコンピュータ関連機器などにも適用される制度です。では、不動産の世界において減価償却費はどのような意味合いを持つのでしょうか。

不動産における減価償却費

通常であれば、収入を得るために使った経費については、支出をした地点で全額経費計上されます。経費計上された経費については、不動産所得を計算するうえでは控除されるものとされます。

それと同じ考え方で、建物の購入費用は、収入を得るために必要な経費となりますので、支出をした時点でその金額が全額必要経費として計上されるはずです。

しかし、建物については、長期間に渡って使用することが可能で、時間の経過とともにその価値が下がっていきます。このような資産を「減価償却資産」といいます。

減価償却資産を購入(支出)した時点で全額を必要経費として計上してしまうと、購入した年の不動産所得が極端に小さくなり、実態との乖離が生じてしまいます。

そこで、実態と出来る限り合わせていくために、それぞれ「耐用年数」を設定することで、その期間で経費化していくように設定しているのです。

法定耐用年数

減価償却対象の資産については、それぞれ使用可能期間を設定することで、その期間にわたって、時の経過に応じてその価値が減った分の金額を期間で分配していきます。

この期間については、個人の判断で決めるのではなく税法上のルールに基づいて決定していきます。これを「法定耐用年数」といいます。

減価償却資産の取得金額を法定耐用年数に応じた期間に分けて必要経費にすることを「減価償却」、その金額を「減価償却費」といいます。

減価償却費の計算方法

減価償却費の計算方法については、毎年均等に価値が減るという考え方に基づいた「定額法」と新しい時ほど大きく価値が下がると考えて、減価償却した残りの金額に毎年一定の割合を掛けた金額の減価償却をする「定率法」の2つの考え方があります。

減価償却のイメージ(定額法と定率法)

定額法を採用するケース

建物については、法人・個人問わず必ず「定額法」を採用します。

法定耐用年数については、建物の構造や築年数によって変わってきます。

一例をあげると、新築の住居用の建物の場合、木造が22年、軽量鉄骨(3mm-4mm)が27年、重量鉄骨(4mm以上)が34年、鉄筋コンクリートが47年と言った感じに耐用年数が分かれています。

中古物件については、法定耐用年数-築年数が減価償却期間ではないので注意が必要です。

以前、こんな記事を書かせていただきました。よかったらご確認下さい。

https://oo-ya.jp/financial/tax/776/

定率法を採用するケース

一方で、建物本体以外の付属設備や器具、備品などにおいては定額法と定率法を選択することができます。

これらの選択をする場合は税務署への申請が必要になりますが、選択をしなかった場合は、法人の場合は、自動的に「定率法」が、個人事業の場合は「定額法」が選択されたものとしてみなされます。

減価償却をしないもの

不動産賃貸業において”減価償却をしない”ものもあります。

それは『土地』です。土地は減価償却をしません。

その理由は、土地については長期間使用しても価値が下がらないものなので、減価償却費は発生しないのです。

注意点:修繕費の取り扱い方法

不動産賃貸業においての減価償却で一点注意が必要な考え方があります。

それは「修繕費」についてです。

この修繕費の取り扱いについては、少し特殊な解釈をしますので、考え方に慣れておく必要があります。

修繕費は必要経費??

修繕とは本来、家賃を得るために必要不可欠な作業になります。ですので、支出をした際に必要”経費”として考えるのが基本的な考え方です。

しかし、ここで注意が必要なのは、”修繕をすることで元の状態よりも価値が上がってしまう場合”についての考え方です。

この場合は、追加で減価償却資産を購入したと考えるのが税法上の解釈となるようです。これを「資本的支出」といい、修繕費のように全額を必要経費にすることはできないのです。

いったん、減価償却資産にしたうえで、法定耐用年数の期間で経費算入することが求められます。

ペンキ塗りは微妙なところ・・・

外壁や屋根などにペンキを塗り直す場合を具体的に考えてみたいと思います。

ペンキを塗る目的は、錆びてしまった階段の手すりや屋根を元に戻すためだと考えるのが一般的です。

単純に状態を元に戻すための作業になるので、それは修繕費と考えてよいのではないでしょうか。

しかし、税務署の解釈は少し独特です。

本来、ペンキを塗らなければ、予定通りに資産価値が減少したものが、ペンキを塗ることで建物が長持ちすると考えるようです。

これにより、ペンキを塗る作業については、資本的支出としてみなされることがあります。

要するに、元の状態に戻した部分については「修繕費」になり、長持ちするようになるなど、建物の価値が増加したと解釈される場合は、「資本的支出」となるのです。

解釈の違いを避けるために明確化されている

修繕費と資本的支出の違いを個々の解釈だけで判断するのは、非常に危険ですし、混乱を招いてしまいます。

そこで、修繕費と資本的支出の違いについては、いくつかの判断基準を設けていて定義されています。

解釈の違いによるトラブルを避けるためにも修繕費と資本的支出の区別に関しては理解していただくのがよいかと思います。