【やり手大家の登竜門】不動産貸付業と事業税について解説します

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不動産賃貸業もある一定の事業規模まで達すると「事業税の課税対象者」になり、税金に関する考え方が少し複雑になってきます。

具体的には、個人で不動産賃貸事業を経営する場合においても、一定規模以上の不動産を貸付することで、「事業税」が発生するのです。

『個人なのに事業税??』と疑問に思われた方もいらっしゃるのではないかと思いますが、個人であろうが事業性の高い大家であるとみなされ、その分しっかり税金が徴収されるということなのです。

今後、不動産賃貸事業で事業規模を拡大していきたいとお考えの方は、ぜひ最後までチェックしてみて下さい。

事業税の対象者はどんな人??

個人事業者で事業税の対象となるのは、事業税で定める「不動産貸付業」「駐輪場業」とみなされる場合になります。

ざっくり言うと、一定規模以上の賃貸不動産を所有していて事業として経営している大家が対象になります。

不動産賃貸と事業税の仕組みについて

事業税が発生する基準は、各地方自治体によって異なりますが、参考までに一例をあげると以下のようになります。

住宅の場合

戸建て10棟以上、区分所有の部屋なら10室以上を賃貸用不動産として保有していること。

住宅以外の場合

棟数が5棟以上、区分所有の部屋の場合10室以上を賃貸用不動産として保有していること。

駐車(輪)場業の場合

駐車可能台数が10台以上あること。

住宅を貸し出す場合の目安としては、「10戸の賃貸用不動産を保有しているかどうか」が1つの基準になるようです。

不動産賃貸業・駐車場業の認定基準については、各都道府県によって異なります大体同じ基準を設けています。東京都主税局のHPより「不動産貸付業と駐車場業の認定基準」を抜粋しましたので、ご確認下さい。

不動産貸付業と駐車場業の認定基準(東京都主税局HPより抜粋)

なお、首都圏地区で比較してみましたが、東京都神奈川県埼玉県千葉県ともに条件はほぼ同じです。※貸付収入額の基準は地域ごとの差があります。

事業税の算出方法

事業税の対象となるのは、まず「課税所得金額」を算定する必要があります。

「課税所得金額」は最初に、総収入-必要経費をおこないます。

所得税の場合は、課税所得金額から青色申告特別控除を差し引くことができますが、事業税ではそれが適用されません。

(所得税)不動産所得の課税所得金額=総収入-必要経費-青色申告特別控除

少しややこしくなりますが、所得税における不動産所得金額に青色申告特別控除を加算した金額が、「事業税における不動産所得の金額」になるのです。

事業主控除

さらに、事業主の場合「事業税における不動産所得の金額」から、「事業主控除」というものを差し引くことができます。これは一律で決まっていて、年額290万円になります。(*事業期間が1年未満の場合は月割)

ですので、所得税における青色申告特別控除前の不動産所得が290万円未満の場合は、事業者であってもその年の事業税は発生しません。

事業税の税率

事業税の税率は、3%~5%と事業内容によって異なります。

不動産貸付業の場合は5%になりますので、不動産貸付業の事業税の計算は以下のようになります。

(事業税)不動産事業所得の課税所得金額=(所得税の不動産所得+青色申告控除額-事業主控除(290万円))×5%

事業税の計算方法

事業税の申告について

ここまで読んでいただいた方は「事業税の計算は大変そうだ・・・」と思われたことでしょう。実際に確定申告をおこない、事業税まで計算して申告するのは、大変です。

しかし、確定申告書を税務署に提出しているようであれば、その情報は、各都道府県税事務所に伝えられ、その情報をもとに事業税の計算は各都道府県税務署でおこないます。

ですので、個人の場合は事業税の申告書を改めて用意する必要はありません。

1つだけ例外があります。

所得税の確定申告書や個人住民税の申告書を提出していない場合は、毎年3月15日(2019年度は特例で4月16日まで)までに都道府県税事務所に事業税の申告を済ませなければなりません。