最近よく耳にする「リバースモーゲージ」とは?
不動産に携わっている方なら一度は聞いたことがある「リバースモーゲージ」という言葉。最近よく耳にするこの言葉の意味を解説していきたいと思います。
リバースモーゲージとは?
リバースモーゲージとは、自宅を担保に、そこに住み続けながら、金融機関から融資を受けることができるシニア層向けの融資制度です。
言葉を細分化して見てみると、「リバース=逆」「モーゲージローン=不動産を担保にした借り入れ」となり、借り入れた額を毎月返済する「住宅ローン」とは対照的に、毎月(または一括)お金を借りて、最後(死後)に一括して返済する不動産を担保にした融資制度になります。
リバースモーゲージの特徴
特徴としては、主に以下の3つが挙げられます。
- 金融機関からの借り入れ担保は不動産だが、返済は契約者死亡後となる。
- 毎月の返済は金利のみ(金融期間による)。
- 契約対象者は、55歳~65歳以上の高齢者である。
ここでのポイントとしては、(1)の元金返済制度が、住宅ローンと異なる点です。
毎月一定の元金と金利を返済するのに対して、リバースモーゲージは、金利こそ毎月発生しますが、元金は契約者の死亡時に担保である不動産を売却し、一括返済する仕組みとなっています。
仮に定年退職後も住宅ローンの支払いが残っていた場合、住宅ローンからリバースモーゲージに借換えすることで、月々の返済金額を減額することも可能であると言えます。
リバースモーゲージのメリット
メリットとしては、次のようなものが挙げられます。
自宅を売却することなく融資が受けられる
これが最大のメリットだと言えます。
年金収入や手元資金が少ない場合などは、リバースモーゲージの活用は非常に有効な手段であることは間違いありません。
生活資金以外に利用できる
資金使途については、自由型と限定型があり金融機関により異なります。自由型であれば、生活資金に限らず旅行などの娯楽費、リフォーム資金などに使うことも可能です。
老人ホームなどの入居一時金に充てる人もいるようです。
収入要件などの条件面が比較的緩やか
あくまで所有している不動産を担保に融資をしますので、要件面は比較的緩やかです。
生存中は返済義務がない
契約者本人が、生存中は返済義務がありません。(※利息のみ支払う場合もあります)この点もメリットとして挙げる人が多いようです。
リバースモーゲージのデメリット
デメリットとしては、次のようなものが挙げられます。
対象となる住宅に制限がある
基本的に土地付きの戸建て住宅が融資対象となります。マンションに関しては対象外としている金融機関が多く、地域の制限がある場合があります。
金融機関によっては、地域によりマンションでも利用可能なケースもあるようですが、数は少ないです。金融機関に事前に確認しておく必要があります。
推定相続人の同意が必要
制度の利用にあたり推定相続人全員(子供など)の同意が必要になります。
相続人である子どもが拒否する場合などは利用できないことがあるので注意が必要です。将来の相続も見据えて慎重に対応する必要があります。
「長生き」「金利上昇」「不動産価格下落」のリスク
年金のような形で、定期的に融資を受ける場合、融資額の総額が大きくなります。
また、融資の適用金利は、原則「変動金利」であることが多く将来金利が上昇すると返済額が膨らむ可能性があります。
不動産の担保評価は定期的に見直されるため、評価額が下落して融資限度額を割り込んでしまうと、場合によっては一括返済を求められることもあります。
老後資金の確保の手段として有効
高齢化、長寿化、空き家問題がクローズアップされていますが、リバースモーゲージは、老後資金の確保の手段として注目されています。
高齢者世帯の90%以上が不動産を保有
厚生労働省によると、65歳以上の生活保護受給率が50%を超える状況になっています。一方で高齢者世帯の90%が保有する資産に「不動産」があります。
保有する資産を有効活用することで、自立した生活の糧になるリバースモーゲージは、国からも推奨されている仕組みです。
リバースモーゲージに参入する金融機関も急増し、市場自体も拡大しています。
不動産の有効活用と老後資金の確保の両面において、リバースモーゲージは有効な選択肢の一つになってくるでしょう。