地方創生のカンフル剤となるか?『グリーン住宅ポイント制度』について
グリーン住宅ポイント制度が注目されています。令和二年度の第三次補正予算案の成立を前提とした制度ではあるものの、これだけ大きく取り上げられているため、トピックとして紹介させていただきます。
あなたの住宅は対象になっていますか?
グリーン住宅エコポイントは、全ての住宅に対して一律対象ではありません。
対象となる住宅の種類やその契約内容よってポイントにも違いが出ます。
まずは、対象住宅を確認していきます。
一定の性能を満たす注文住宅の新築
居住するために建てる”新築分譲住宅”になります。
一定の性能を満たす新築分譲住宅の購入
居住するために購入する新築住宅になります。ただし、宅地建物取引免許を有する事業者からの購入に限定されます。完成から一年以内で居住履歴がないことが条件です。
一定の要件を満たす”既存住宅”の購入
既存住宅の定義について。グリーン住宅ポイント制度の対象となる既存住宅は、不動産登記事項証明書において新築と記載された日付が令和元年12月14日以前の住宅に限ります。
対象工事を実施するリフォーム
住宅所有者が施工者に工事を発注して実施するリフォームが対象になります。その際に工事請負契約が必要。リフォームについては1,000万円以上の規模の契約であることが条件です。
一定の性能を満たす賃貸住宅の購入
賃貸住宅の所有者となる方が、施工者に工事を発注(工事請負契約)して新築する賃貸 用の共同住宅等が対象となります。
賃貸住宅とは、2戸以上の住宅を有する住宅のことですが、所有者の居宅が含まれる場合や店舗併用の建物は対象外であることに注意が必要です。
対象期間はどうなっているの?
対象期間は以下の通りです。全て、同じ期間内に”それぞれの契約”を締結したものが対象になりますが、別途定める期間内にポイント発行申請と完了報告が可能であることが条件です。
注文・新築・リフォーム・賃貸住宅
令和2年12月15日(令和2年度第三次補正予算案閣議決定日 )から令和3年10月3日までの期間内に売買契約 (変更契約を除く)を締結したものが対象です。
既存住宅の購入
不動産登記事項証明書において新築と記載された日付が令和元年12月14日以前の住宅で、令和2年12月15日(令和2年度第三次補正予算案閣議決定日 )から令和3年10月31日までの期間内に売買契約 (変更契約を除く)を締結したものを対象となります。
対象住宅によって発行されるポイントは異なります
住宅にも性能の違いがあります。対象となる住宅のタイプによって付与されるポイントも変わってきますので、確認していきましょう。
繰り返しになりますが、ポイントの発行については、令和2年12月15日(閣議決定日)から令和3年10月31日までに締結した一定の省エネ性能を有する新築住宅(持家・賃貸用)と一定レベルのリフォームや既存住宅の購入が対象となります。
対象住宅と発行ポイントを一覧にしてまとめましたのでご覧ください。
住宅を購入するケースについて
新築住宅、既存住宅問わず”購入する場合”に付与される条件についてです。
上の表の注釈※2について、多子世帯とは、18歳未満の子供が3人以上いる世帯のことです。また、※3の三世代同居仕様である住宅の定義として、調理室、浴室、トイレまたは玄関のうち、いずれか2つ以上が複数個所ある住宅のことをいいます。
省エネ基準については、レベルが設けられています。認定長期優良住宅、認定低炭素建築物、性能向上計画認定住宅、ZEH(ゼッチ:ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスとは、「外皮の断熱性能等を大幅に向上させるとともに、高効率な設備システムの導入により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギーを実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、年間の一次エネルギー消費量の収支がゼロとすることを目指した住宅」のこと)に関しては、高い省エネ性能等を有する住宅として認定されます。
上の表の注釈*1については、一定期間、東京23区内に在住または東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県(条件不利地域以外)に在住し東京23区内へ通勤している者が行う、東京圏(条件不利地域を除く)以外への移住を定義します。
*4については、土砂法に基づく土砂災害特別警戒区域又は建築基準法に基づく災害危険区域(建築物の建築の禁止が定められた区域内に限る)と定義されています。
住宅をリフォームする場合について
最後に”リフォームする場合”に付与される条件についてです。これは、持家・賃貸を問わず適用されます。
住宅のリフォームの場合、断熱工事またはエコ住宅設備の導入が必須です。この場合、建物の状況によっても施す工事が異なっていますが、設備を新しくして暮らしやすい住環境を整えることができます。
グリーン住宅ポイント制度の目的について
最後になりましたが、当該制度の目的について。
高い省エネ性能を有する住宅を取得する者等に対して、商品や追加工事と交換できるポイントを発行して落ち込んだ経済の回復を図ることが目的とされています。
新型コロナの影響もあり、需要回復を目論んでいるのは当然ですが、それに加えて、地方創生の大きなチャンス(ある意味ラストチャンス)でもあると思います。
昨今では、働き方の多様化、企業の地方への本社移転なども取り上げられており、地方回帰の意識がかつてないほど強まっています。
”既存住宅を購入しリフォームを行う場合、各リフォームのポイントが2倍加算される”ことからも分かるように『空き家バンク』などを上手に活用し、地方への移住促進と空き家数の減少を並行して目指していきたいという思惑が見えてきました。
この制度自体がどのように活かされて、どのような結果につながるのかは要注目です。