【受給額を最大42%UPする方法】公的年金の受給開始年齢を調整して資産運用効率を高めよう!

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65歳になったら、受給が開始されると考えられている『公的年金』ですが、実はこれ受給タイミングを繰り上げたり、繰り下げたりすることができるのはご存知でしょうか。

年金の制度について

現行の制度では、支給開始年齢は原則的に65歳からとなっています。(ただし、厚生年金に1年でも加入していた昭和36年4月1日(女性は昭和41年4月1日)以前生まれの人の中には60歳~64歳が支給開始年齢の人もいらっしゃいます。)

公的年金は、2階建て構造になっています。ベースとなる国民年金を1階に置かれ、厚生年金が2階部分に配置されます。

それに加えて、任意で加入できる企業年金が3階部分に配置されることで、私たちの年金はより分厚くなっているのです。

日本の年金構造のベース部分(1階2階が公的年金のレイヤー)

年金の制度については、以前書かせていただいたブログをご確認下さい。

https://oo-ya.jp/financial/tax/3683/

65歳が受給開始の年金制度ですが、繰り上げや繰り下げの制度を活用することで、年金を規定より早く受け取ったり、逆に遅く受け取ったりすることができます。

年金の繰り上げと繰り下げ支給について

年金の繰り上げ・繰り上げ支給とは、本来受け取るタイミングよりも早く受け取ったり、遅く受け取ったりする制度です。

繰り上げ支給』については、本来の支給開始年齢よりも早く年金を支給することで、本来の受給額よりも少なくなります。

繰り下げ支給』については、本来の支給開始年齢よりも遅く年金を受け取ることで、本来の受取額よりも多くなります。

請求可能期間請求単位受取額増減
繰り上げ支給60~64歳1ヶ月▲0.5%
繰り下げ支給66~70歳1ヶ月0.7%
(表:繰り上げ・繰り下げ請求について)

具体的に見ていきます。

例えば『受給開始年齢が65歳の人が公的年金を63歳から受給する』としましょう。この場合は24か月の繰り上げ支給になります。公的年金の支給は1か月単位で繰り上げられますので、この場合3年の繰り上げとなり、減額率は18%(0.5%×36か月)です。

一方で、65歳で公的年金を受け取ることができるにも関わらず、68歳時点で受け取りを開始した場合は、3年の繰り下げが生じます。この場合、68歳時点で支給される年金は増額され、(0.7%×36か月)の25.2%が増額されます。

繰り上げ・繰り下げ受給の特徴とメリット

年金受給の繰り上げ、繰り下げによって、受給開始年齢が調整できることは前項でお伝えしました。では、これをやることによるメリット・デメリットについてチェックしていきます。

生涯受給金額

年金は終身(あなたが亡くなるまで)で受給することができるものなので、あなたが長生きすればするほど、受け取る金額は大きくなりますし、逆に早くなくなれば受け取る金額は少なくなります。

このブログでは何度もお伝えしていますが、日本の年金制度は『賦課方式』を採用しているので、損得論を語るのはナンセンスではありますが、損得感情はどうしても出てしまいます。

https://oo-ya.jp/financial/3078/

そこで、生涯受給総額から見た、年金受給総額の損益分岐点を追ってみます。

公的年金の平均受給額は国民年金が56,000円、厚生年金が146,000円、合計202,000円です。この金額をベースにシュミレーションしていきます。

  • 年金受給開始年齢を60歳に繰り上げた場合

この場合、5年間の繰り上げ受給になるので、年金受給額が30%カット(0.5%×60か月)されます。

あくまで平均受給額をもとにした試算ですが、60歳から70%で受給した場合と、65歳で100%受給した場合の累計受給額を追ってみました。

年金受給額累計シュミレーション(60歳vs65歳)

すると、76歳9か月の時点で、公的年金の累計受給額が28,421,400円で並びます。そして、76歳10か月以降は、65歳から受給した方が累計で多くの年金を受け取ることができるという結果になりました。

  • 年金受給開始年齢を70歳に繰り下げた場合

次に70歳まで受給開始年齢を繰り下げた場合の損益分岐点を探ってみたいと思います。

70歳から受給する場合、その分受給額が42%増額(0.7%×60か月)されます。

同様にシュミレーションしてみます。

年金受給額累計シュミレーション(65歳vs70歳)

すると、81歳11か月の時点で、65歳から受給した場合の公的年金の累計受給額が41,006,000円、70歳から受給した場合の累計受給額が41,018,120円になり逆転現象が起こります。

82歳まで生きることができれば、70歳まで繰り下げ受給を選択した方が結果的に多く年金が受給できるということが分かりました。

年金を活かすも殺すも日々の投資

日本人の平均寿命は男性が81.41%、女性が87.45%です。医療、予防医療の進化によって平均寿命もますます延びるでしょう。2021年4月には『70歳就業確保法』が実施されますが、労働による収入と年金収入のバランスを上手に考えること。資産運用を上手に活用して、年金の受給開始を遅らせることで、年金運用もより効果的なものになってきます。

70歳就業確保法によって、高齢者が働きやすい環境になることは間違いありません。ただ、これはあくまで努力義務で受け入れなかったからといって罰則はありません。ですので、働く側も日々の自己投資によって選ばれる人間にならなければなりません。労働による収入を確保することで、年金に頼らずそれ自体を寝かすことができます。

せっかく働く機会があっても、健康な身体を維持できなければ意味がないですね。適度な運動や予防医療などにも積極的に投資をして健康な身体を維持しましょう。健康寿命を延ばすことができなければ、年金の受給を遅らせることのメリットが半減してしまいます。

労働による収入だけではなく、投資による収入など複数の収入の柱を用意しておきましょう。年金をあてにしないくらいまでになることが理想です。これにより、年金の受給開始年齢をギリギリまで遅らすことができるため、年金自体も効率的に運用することが可能になります。

繰り上げ・繰り下げ受給のデメリット

ここまでは主に繰り下げ支給に関する総支給額のメリットについてお伝えしてきました。年金制度については受給タイミングを間違えると制度上の恩恵を受けられなくなる場合があります。つまり、”他の年金に影響を及ぼす”ということです。

障害年金について

障害者年金については『繰り上げ支給時』において注意が必要です。

障害年金は障害の原因となった疾病・負傷の『初診日』の前日における保険料納付状況、その1年6か月後障害認定日』の状態により受給の有無が決定します。

また、障害年金の定義に『事後重症』というものがあります。『事故重症』とはこの障害認定日に障害年金に認定されなかったものの、その後障害の悪化により再請求することを言います。事後重症は65歳まで請求できますが、もしあなたが、年金の繰り上げ申請をした場合は、65歳前であっても繰り上げ請求をした時点で、適用されなくなってしまいます。

繰り上げ請求は、年金を早い段階で受給でき、生活費の足しにすることができます。仮に61歳で繰り上げ受給をしたとします。63歳の時に事故で後遺症を患った場合においても、61歳の時点で繰り上げ受給を申請しているため、障害年金は適用されません。

寡婦年金

『遺族年金』という言葉は聞いたことがあると思いますが、遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金に分かれます。前者は国民年金、後者は厚生年金絡みです。

ここでは、遺族基礎年金の話になりますが、子供のいない夫婦で、夫が死亡した場合のケースで考えます。

国民年金に加入していた夫が死亡した場合に、18歳以降最初の3月31日までの間にある子がいると(ただし生計を同じくしていること)遺族基礎年金が遺族(妻、子)に支給されますが、該当する子のない妻には支給されません。

寡婦年金とはこうした遺族基礎年金の受給権のない妻に支給される年金で60歳~65歳の期間受給できますが、繰り上げ請求した時点で受給できなくなります。

加給年金

厚生年金に20年以上加入していた人が受給する老齢年金では、年下の配偶者がいると65歳(または定額部分発生時)から加給年金が上乗せ支給されます。

繰り下げ請求して66歳~70歳から受給する場合、老齢年金は増額されますが加給年金については増額の対象にはならず、結果的に繰り下げた期間分の受給額を放棄することになります。

年金はあまり気にしない

ここまで年金に関する情報や損得について色々と書かせていただきました。年金については、色々と評価されています。年金については、健康的に長生きすればするほどその恩恵を受ける制度です。

健康的な暮らしを意識しながら、制度を上手に活用することで支払った金額以上の恩恵は受けることができます。

しかし年金に関しては、それ以上の事は気にする必要はないと思っています。それよりも、日々の投資や資産運用を長期的な視点を持って実施することで、現在~将来の資産形成をバッチリやっておくことの方が大切だと感じました。

年金の繰り上げ、繰り下げ制度を上手に活用することで、資産の運用効率を高めてライフプランを見直すきっかけになれば幸いです。


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