不動産投資のニューノーマルとなるか!? | 不動産特定共同事業のポテンシャルについて考えてみる

資産形成の重要性が唱えられる昨今では、投資に関する各種広告やテレビコマーシャルなどが目立つようになり、特に若者をターゲットとした商品が続々と出始めているように見受けられます。

若者を中心に幅広い世代がコミュニケーションインフラとして活用しているLINE証券は、身近なプラットフォームであることによる親近感と購入手数料を無料にすることで、多くのユーザ獲得に力を入れています。

また、SBI証券においては、25歳以下は国内株式手数料を実質無料にすることで、若者世代の投資家の参入を促し、将来の顧客基盤を構築しはじめているようです。

それくらい、今、投資、資産運用はブームとなっていて、売り方、集客、商品組成などにおいても様々なパラダイムシフトが起こっているように思えてなりません。

我々、不動産業界に目を向けてみましょう。

販売手法や集客、商品組成などにおいて、まだまだ古典的な要素が多いと感じている方も多いと思います。しかし、実際には、この業界にも新たなムーブメントが起こっているのをご存知でしょうか。

株式投資や投資信託と比べると、投資人口が低い不動産投資ですので、なかなか世間に広まるスピードも遅いのは事実ですが、ある種のパラダイムシフトが起こっています。

それが、不動産特定共同事業です。

不動産投資の課題点について

不動産投資はメジャーな投資ではありますが、一部の資産家がやるものというレッテルが貼られています。不動産投資は知れば知るほど、一般人の自分にもできるのではないかと思えるのですが、残念ながら多くの人はそのような認識には至っていないのが実情です。

その理由について説明していきます。

不動産投資の心理的ハードル・・・

一般の会社員などが不動産投資を始めるためにはいくつかの超えなければならないハードルがあると私は思います。

投資先の不動産の選定、金銭面の課題克服(自己資金、融資審査)、不動産投資に関する知識などが考えられますが、私が思うに一番のハードルは、高額の融資を受けて始めることに対する『心理的なハードルの高さ』だと思っています。

これが最大の課題になるのではないでしょうか。

「不動産投資に興味がある、だけど融資を受けるとなると二の足を踏んでしまう・・・」

特にサラリーマンの場合、毎月の決まった収入の中から支出をコントロールして余ったお金を貯蓄に回すといった、お金の運用を行っているため『お金を借りてお金を増やす』といった行為に対して、強く抵抗感を示します。

仮に、”激アツ”と呼ばれるような不動産を購入するチャンスがあったとしても、お金を借りることに対して抵抗感を示してしまい、結果的に不動産投資を行わない。といったことは、珍しい話ではありません。

手続きが面倒だし維持管理にお金がかかる

不動産投資を始めるには、様々な書類を用意しなければなりません。

また、運用中においても、維持管理をしなければならず、多くの場合は賃貸管理会社に業務を委託することになります。

当然、空室が発生した場合はそれを埋めなけばならず、管理会社にその業務を委託するとは言え、最終的な責任は投資家に帰属することになります。もちろん、賃料相場の8-9割程度でサブリース契約を締結しない限り、その分の収入は途絶えてしまうことになります。

管理会社もいくつもの”空室案件”を抱えているわけですので、あなたの空室案件を最優先で埋めてくる保証もありません。

運用中の様々なリスクを懸念して、不動産投資を断念する投資家も数多く存在します。

不可抗力な問題

不動産投資では、不可抗力な問題も多く発生します。

具体的には、自然災害や天災です。

特に、日本で不動産投資を行う場合は、自然災害や天災によるリスクも十分考慮しなければならないと私は思います。

ご存知の通り、日本は地震大国です。地震関連の情報を見てみると、向こう30年以内に南海トラフ地震が発生する確率は80%だと言われています。また、東北地方では断続的な地震が今もなお、続いていて余談を許さない状況が続いています。

その対策として、損害保険や地震保険のサービスも充実しているわけですが、そのような状況下において不動産投資をする必要があるのかという考え方が根強くあるのも事実です。

課題が大きすぎて機会損失につながることが多々ある

不動産投資の現場では、これまでお伝えしてきた課題が投資家の中で大きく顕在化していて、それが結果的にお互いの『機会損失』につながっています。

そして、私たちは、いつまでたっても資産運用をスタートできないという負のサイクルに陥ってしまいまうのです。

このような状況は、時間こそが最大の武器である投資の世界において、非常に勿体ない状況にあると考えてられています。

そこで、投資における時間を有効的に活用してもらう意味でも、投資家の裾野を広げるという意味でも、あらたな不動産投資の形として、不動産特定共同事業が普及し始めているのです。

不動産投資の新たなムーブメント

買えないなら小口化すればいい

そこで、ここ最近では不動産投資に対する新たな考え方が浸透し始めています。

買えないなら小口化すればいい」という考え方です。

少し語弊がある言い方かもしれませんが、不動産を小口化して販売することで、金融機関の融資を利用するのではなく、貯金の一部を投資に回す。という考え方です。

これにより、「不動産投資には興味がある。だけど、銀行から借金をしたくはない。」

このような投資家のニーズに応えることが可能になります。

様々な手間を省略できる

不動産投資を始めるときには、様々な間接的な業務が付きまといます。

不動産投資を始める際に必要な、複数の契約書類、登記や税金の支払い。運用中の空室対策、管理業務、トラブル対応、納税。売却時の手続き業務。これらは、とても煩雑で専門性の高い業務です。

基本的には、不動産会社や専門家に一任することになりますが、書類の確認や公的証明書の取得、様々な意思決定、支払業務などは、自分自身で行わなければなりません。

サラリーマン投資家やこれらの業務に不慣れな方にとっては、非常に”重い”タスクになるのは言うまでもありません。

不動産特定共同事業に関しては、それらの間接業務の一切を事業者が行うため、投資家は非常に身軽な状態でいることができます。

不動産投資で発生する、様々な手間を省略できる点は投資家にとって大きなメリットになるのではないかと考えています。

インターネットで不動産投資を完結

不動産特定共同事業では、インターネットで申込みから契約、決済まで完結できる『クラウドファンディング』というサービスがあります。

このクラウドファンディングは、投資家、事業者双方にとって大きなメリットがあります。

投資家にとっては、少額から投資(不動産投資)を始めることができるという点とインターネットで手続きが完了できるという点の2点です。

一つ目の『少額から投資(不動産投資)を始めることができる』という点については、事業者にとってのメリットにも繋がりますが、インターネットで契約業務まで完結できるため、1万円単位での少額投資が可能になります。

少額から投資できることは、確実に投資家の裾野を広げます。特に、20代~30代前半のような資産形成において、まだまだ成熟していない若者世代の参入を促進することができるという意味で多くのメリットがあります。

二つ目の『インターネットで手続きが完了できる』についても、面倒な書類のやり取りが省略されるという意味で大きなメリットがあります。

クラウドファンディングでは、登録から申込みまでワンストップで完結できます。投資家の視点で見ても、時間の経過とともに、投資熱が下がる傾向にありますので、タイムリーに契約までできるクラウドファンディングは、機会損失を防ぐ役割もあるのではないかと私は思います。

また、ミレニアル世代後半やZ世代と呼ばれる人たちは、インターネットやスマホで何かを申込み、契約することに一切抵抗を示さない世代でもあります。

このように、少額から投資をすることができ、スピーディーに始めることができるクラウドファンディングは、確実に投資の裾野を広げる役割を果たすことになるのです。

不動産特定共同事業のポテンシャル

不動産特定共同事業のムーブメントの波は日に日に大きくなっているのを何となくでも感じていただけたでしょうか。

今後、さらに多くの事業者が不動産特定共同事業へ参入することが予想され、様々な特徴を持った不動産小口化商品が組成されることも十分考えられます。

これは投資家にとっても事業者にとっても歓迎すべきことです。

不動産特定共同事業は、歴史的にも浅く、法的な側面においても大きな変化や改善が見られることが予想され、そういった意味でもそのポテンシャルは非常に高いものになります。

リスクとリターンはトレードオフ

現在では、”知る人ぞ知る”不動産特定共同事業ですが、今後2‐3年でその認知度は非常に大きくなることでしょう。

日本人に多く見受けられる考え方ですが『投資で元本を毀損すること』を極端に嫌う傾向にあります。

リスクとリターンはトレードオフ』であること。これは投資における考え方の原理原則で、そのためにポートフォリオを組んで分散投資を行うのがセオリーだと言われています。

現在、このような考え方を理解していない人が多いようです。

今後、自助努力に対する考え方が浸透していき、投資に関する知識も相対的に向上していく中で薄れていくとは思われますが、それでも、そのような考え方は中々薄まらないと私は思います。

投資のセオリーは当てはまらない!?

そういった意味で、不動産特定共同事業は非常に有利です。それは、商品のリスクヘッジが非常に充実しているからです。

先ほど、リスクとリターンはトレードオフだとお伝えしました。

ローリスクの商品ならばリターンは少ない。ミドルリスクの商品なら、リターンはまずまず。ハイリスクの商品なら、大きなリターンも期待できる。これがトレードオフの考え方です。

ただ、不動産特定共同事業に関しては、場合によっては、ローリスク・ミドルリターンの投資商品になるということをここでお伝えしておきます。

つまり、これまでのセオリーが当てはまらないのです。

ローリスク・ミドルリターンの商品はなぜ組成されるのか?

このような説明を受けると「そんなうまい話があるわけない!」という声が聞こえてきそうです。

実は、不動産特定共同事業向きの不動産があるのをご存知でしょうか。

それは、築年数が古かったり、再建築ができないような不動産だったりと、要するに、金融機関の融資が下りない不動産がそれに該当します。

このような不動産は融資が下りない分、販売価格が安く、値引き交渉が行いやすい。といった側面があり、結果的に高利回りで運用することが可能になります。

高利回りの不動産に対して、リスク対策をしっかり行いファンドとして組成すれば、ローリスク・ミドルリターンの投資が実現できるのです。

不動産投資のニューノーマルとして期待

投資人口が増えていく中、不動産投資においても新たな可能性が模索されています。

金融庁が提唱している『長期・分散・積立』を実施ていく上では、投資先の小口化という考え方はとても重要になります。

これまでも『長期・分散・積立』の考え方に合致した不動産投資としてJ-REITが注目されましたが、市場に出回っているため、株式投資の毛色が強く不動産投資としては扱われてきませんでした。

そういった意味で、不動産特定共同事業ならびに不動産クラウドファンディングは不動産投資のニューノーマルとして、今後大きく台頭してくることでしょう。