【流行の投資手法の落とし穴】長期+分散+積立投資の是非について考えてみた

『空前の投資ブーム』多くの方が投資に参加しはじめました。中には、投資未経験者が市場に参入しているケースも珍しくありません。

そのような方の中には、相場に関して頭を悩ましたり、国内(世界)経済についてよく分からず、「今流行りの『長期+分散+積立』投資の商品を購入しておきましょう。これなら間違いありません」といった金融機関の案内を愚直に受け入れてしまいます。

みんながここに投資しているから安心だ!

このような群集心理が働き、”資産形成が必要不可欠である”という世の中の風潮に押される形で投資をスタートします。

長期+分散+積立投資のメリット

『長期+分散+積立』投資は、コア・サテライト投資戦略のコア部分として、資産形成にとって重要な意味合いをもたらします。

合理的な投資手法として広く認知

資産形成にとっても合理的です。マクロ経済、ミクロ経済が長期的に成長していく過程の中で生み出す利益が分配される仕組みだからです。これは企業も経済も成長をすることを前提に捉えられているからで、とても合理的な投資手法ということになります。

さらに、これが複利で回せていければ一層の効果を得ることが可能です。

短・中期的な相場の変動は気にせず投資を継続する

長期投資の場合、短期・中期の相場の変動についてはあまり気にする必要がありません。成長軌道を長期的な視点で見ておけばよく、相場の上下に対して、一喜一憂する必要はありません。

さらに、分散投資によって相場の動きが異なる投資先に対して、資金を分散投資することで、相場の変動や投資先の破綻リスクを軽減することができます。

積立投資については、相場の変動がある中で投資商品を購入するタイミングに頭を悩ます必要がなくなる。

このようなメリットがあります。

安心して投資できると評判の投資手法ではあるが・・・

このように、長期投資の場合、短・中期的な相場の変動やリスクに関して”気をもむ”必要がなく、多くの人にとっては投資するメリットが多いように感じられるのです。

事実、多くの金融商品を扱う会社では、「『長期+分散+積立』投資はいいことずくめである」といった謳い文句で、顧客数を獲得し続けているのです。

この状況には、少し疑問を感じてしまいます。その理由は、先行きが不透明だからです。

長期+分散+積立投資のリスクについて

『長期+分散+積立』投資にもリスクはあります。資産運用とは本来、長期的な視点に立って行うものであると言われています。時間が有利に働きます。

一見、いいことずくめの投資手法ですが、ここには大きな落とし穴があります。

長期投資をどの位置で捉えるのか

長期投資をスタートするタイミングでは、時間があるために様々なことにチャレンジができる状態です。相場は、いいタイミングもあれば、悪いタイミングもあります。

実際に私たちが考えなければならないのは、相場が悪くなるタイミングについてです。

長期投資とは、スタート時点から見た場合の運用満了日を指してそう言います。投資のプロセスの終盤を起点に見ると、それは長期ではなく”短期”での投資になります。

相場のタイミングによっては長期投資もリスクになり得る

このように、相場が下落している時点で、長期投資の終盤を迎えている場合はそれ自体がリスクになり得るのです。

仮にあなたの投資による資産運用が順調に推移したとしても、長期投資終盤戦で経済的打撃を被った場合はどうでしょうか。

相場の下落とともに、投資の終焉を迎えることになってしまう可能性もあります。分散投資や積立投資によってリスクを平準化しているとはいえ、非常に難しい局面を迎えることになるでしょう。

このように、長期投資にも経済サイクルによっては大きな損失を被ることがあり、期待通りの成果を上げることができるとは限らないのです。

過去の時点から現在を予測することなどできない

下のチャートを御覧ください。これは、時価総額で世界トップクラスにいるAmazonの株価の推移を表したものです。

Amazonの株価推移

AmazonがNASDAQに上場したのが2017年5月で1株18$で売りに出されていました。その後ITバブル崩壊後の2001年には、110$近くあった株価が5.5$に暴落、リーマン・ショック時には、100$近くあった株価が34$近くまで落ちています。そして現在の株価は3,200$です。

株価は底値から見て、640倍にまで跳ね上がっています。当時、Amazonの株を100万円分購入してホールドしていたら、含み益は6億円近くになるのです。

ただ、それは今だから言えるのであって、過去から見てこのような動きを予想する人はほとんどいません。これは結果論であって、現在から過去を見て評価をしてはいけません。

『長期+分散+積立』投資も一緒です。このような投資は一見合理的に見えますが、それは結果論に過ぎないのです。

未来への道筋が見える投資商品を選択する

これまでお伝えした『長期+分散+積立』投資については、過去の実績をもとに評価されている商品であると私は思います。

なかなか先が読みづらい変化に富んだ未来に対して投資をする場合は、それなりの専門的な知識が求められます。

アメリカのハイテク産業への投資は、高い確率で上手くいくと言われていますが、その企業や業界に関する知識がないと難しい側面もあります。

一方で、時代の変化や経済状況による影響を受けずらい投資先があるのも、また事実です。例えば、不動産小口化商品への投資がその一つです。

家賃収入をベースにした配当分配は、景気関係なく安定した収益をもたらします。投資期間も1年~3年の商品が多く、どのような状況においても、上手に”逃げる”ことができるのです。

投資は止めるタイミングの見極めが重要だとも言われています。

強い握力で長期的に取り組むことも大切ですが、アウトボクサーのように、当てては逃げるような戦略によって効率のよい資産形成が可能になると考えています。

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