賃貸管理会社の種別と選び方

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収益不動産の管理業務を管理会社に委託するケースが多いですが、この管理会社も実は様々なタイプに分けられて、それぞれ特徴があります。

投資家の皆さまは、どのような基準で管理会社を選び、業務を委託しているのでしょうか。

タイプ別で見る管理会社

管理会社は大きく分けて5つのタイプに分類できます。

全国チェーン系の大手不動産会社

駅前に店舗を構えていることが多い、全国チェーン系の大手不動産会社は、豊富な資金力と知名度があります。

誰もが一度は聞いたことがある会社ばかりです。

大手企業であるがための安心感からか、情報収集をあまり行っていない投資家は総合的な判断で、このような企業に管理業務を依頼する傾向にあります。

地元の不動産会社

地元の不動産屋とは地場に根付いて何代にも渡り経営をしている会社になります。

不動産免許番号の()内の数字が大きいが、小規模で経営している会社がそれに該当します。

傍から見ると、お客さんが入っている様子を一度も見たことがないが、なぜか事業が継続されている会社です。

これらの会社は、先代、先々代から引き継いできている地主を顧客に持っていることが多く、取引も非常に安定しています。

しかし、現状の取引に甘んじている傾向が強く、時代に応じた対策を検討するといった企業努力を怠っているケースが多いです。

満室経営時は特に問題もなく気にはなりませんが、空室が続いたり、対策が必要になった際には力量(管理能力)に差が出てきます。

PM型管理会社

最近増えてきているのがこのタイプの管理会社です。

PMとは、「プロパティマネジメント」の略で、不動産経営における様々な業務をオーナーに変わって代行するサービスのことを指します。

主な特徴としては、客付け店舗を持たず、地域の仲介会社に客付けを一任している点が挙げられます。

また、インターネット媒体などを通じて積極的に客付けを行うのも特徴で、今の時代に合った合理的な動きをしています。

対応エリアも広範囲に渡り、地域の地場不動産会社との連携を重視しています。

店舗のないPM型には、いかにして、オーナー、仲介、入居者と連携を築いていくかがポイントになり、積極的な営業活動を行なうのが特徴です。

契約形態によるサブリース

サブリースとは、オーナーが所有しているアパートなどを、一棟まとめて借り上げるサービスになります。

特徴としては、サブリースによる契約で家賃収入の保証がされる点です。家賃収入は保証されますが、家賃の保証額は80%-90%になります。

このシステムは、一見するとメリットが多そうに見えますが、注意が必要です。

サブリースの基本的な考え方を説明します。

当初の満室想定(利回り)の賃料が10万円だとします。サブリースの業者が独自の査定をしますので、家賃の査定額が満額の10万円になることは、あまりなく、9万5,000円程度になります。さらに、そこから保証額を算定します。仮に保証額が90%だとしても、8万5,500円になります。

これだと、当初想定していた計画に対して大幅に数字が乖離してしまうのは言うまでもありません。

さらに、定期的な契約の見直しも発生しますので、サブリースに依存しすぎるのも注意が必要です。

建築メーカーによるサブリース

建築メーカーによるサブリースサービスとは、建物を建てたメーカーが数十年に渡り一括して借り上げるサービスです。

「大○建○」や「レ◇パ◇ス」などが有名です。

これらの契約は地主の不動産オーナーに多いのが特徴です。

親の代から相続してしまい、致し方なく地主になった方も多いと聞きます。そういった方は、土地の活用に困っていて、「高い固定資産税を払うのであれば、アパートを建てて、家賃保証を受ける」というパターンです。

収益を追求する意識も薄く、単純に安心を買ってるだけで不動産投資の本質から逸脱してしまいます。

また、定期的な保証賃料の見直しや契約期間に縛りなどがあり、売却時に不利に働くこともあるので、十分注意が必要でしょう。

サブリースに関しては、業者が確実に儲かることが分かっているから提案しています。「家賃保証」という言葉に惑わされず、しっかりと情報を収集して客観的に判断していくべきです。

管理会社はどのようにして選ばれるのか

では、不動産オーナーはどのような経緯で管理会社と契約を締結しているのでしょうか。一般的な話になりますが、意思決定に辿り着くまえのパターンを分類してみました。

親の代から委託している管理会社を引き継ぐパターン

管理会社はコロコロ変えるようなものではありません。

変えるきっかけとしては、何かマイナスなことが発生した場合がほとんどです。ですので、特に問題なく賃貸経営ができていれば、基本的に変更する必要はありません。

先代から取引している管理会社との契約を継続するメリットとしては、物件の特性をよく把握している点、デメリットは管理会社の質が客観的にみられない点になると思います。

長期的に管理している会社の場合、管理の方法が古典的な場合も多く、企業努力をしていない場合もあるので、きちんとオペレーションをチェックする必要があるでしょう。

管理委託費用が安い会社に依頼するパターン

投資家にとって、管理費用は収益に直結するので、管理費が安価であることに越した事はありません。

管理費用は、稼働している物件に対して、3-8%程度で、中央値としては5%だと言われています。

「管理費用の安さ」を売りにしている会社の場合、管理費用を1%に設定していたり、一部屋数百円というところもあります。

安価で良質な管理会社はたくさん存在しますが、管理会社の質が下がると、かえって余計なコストがかかってしまいますので、十分注意が必要です。

管理業務は人手をかけないといけない時や、丁寧な対応が求められる場合もあり、「目に見えない部分」が多く存在しているので、表面上の金額に振り回されてはいけません。

また、管理費用の安さを売りにした時に、それをビジネスとして成立させるには、管理件数で稼ぐしかありません。

そうすると、一人当たりの管理戸数が増えると同時に純粋に管理戸数を追求するのが主な仕事になってきます。

建物の周辺を見れば管理状況がわかる!?

結果的に本来行うべき管理業務が疎かになり、客付力も弱くなりがちです。

管理業務には適正な料金設定があり、その料金の範囲内でサービスの付加価値をつける企業努力が存在することをご理解下さい。

大手管理会社に依頼するパターン

圧倒的な知名度と安心感がある大手管理会社ですが、実際問題、サービスに不満を抱く方も多くいらっしゃいます。

これは全ての業界において言えることですが、多くの業務が縦割り分業化されていて、オーナーがそれぞれの部署ごとに対応しなければならない点でにおいて、ストレスが溜まりやすいと言われています。

また、一人ひとりが担当している物件数が多く、一つの物件に割くことのできる時間が限られてしまいます。

物件の数に応じて、従業員も増えていくのが理想ですが、実際はそうでないことも多く、負担が大きくなり、放置されてしまいがちな物件も多くあるようです。

知識と経験の浅い新入社員が担当になることも珍しくなく、担当者の質にバラつきが出てしまうのです。

大手企業にも当然メリットはあります。

例えば、圧倒的な資本力と知名度による安心感はもちろんのこと、様々なサービス開発が行われています。

また、提携している工事業者の数も圧倒的に多く、客付け業者からの認知度も高いです。

入居者にとっては、このブランド認知度が有利に働くことがあります。

購入した会社に管理を依頼するパターン

オーナーチェンジ物件の場合、このパターンが多いです。

この場合は、管理専門の部署がきちんと存在しているかを確認すべきです。

売買担当の営業マンが管理を行ってくれるのは、心強く感じますが、売買営業の片手間になる恐れがありますので注意して下さい。

メリットとしては、実際に販売している会社なので、稼働率を高めようと意気込むところです。稼働率を上げ、オーナーに満足してもらう事で、二棟目、三棟目とリピートする可能性が高くなるからです。

デメリットとしては、地場の会社でない場合は、土地勘が薄い可能性が高いということです。

特に、トラブルが発生した際にそれが顕著に現れます。契約時に色々とヒアリングをする事で疑問を解消しておきましょう。

全国チェーンの大手不動産屋、駅前にある不動産屋に依頼するパターン

知名度や安心感は抜群の会社になります。

不動産投資は管理会社選びで結果が変わる

不動産投資には変えられないものと変えられるものがあります。

変えられないものは、立地と建物(部屋)です。

立地と建物(部屋)に関しては、動かすことも変えることも原則不可能です。

リノベーションで間取りや用途の変更は可能ですが、多額の費用が発生するので現実的ではありません。

しかし、客付け方法や建物管理、共用部の清掃、クレーム対応などに関しては、管理会社のスキルと努力で変えられます。

空室が目立っていたアパートが管理会社を変更した途端、満室になることはよくある話です。

清掃やメンテナンスは定期的に実施されているか

管理会社を変更した途端、マンションの共用部が綺麗になり環境がよくなった。と言われることもしばしばあります。

割れたガラスを放置すると次第に建物全体の環境が悪化する

「割れ窓理論」という言葉をご存知でしょうか。割れ窓理論とは、割れた窓が一枚でもあると、管理が行き届いていない建物だと思われて、他の窓が割られたり、ゴミの不法投棄や放置自転車などにより、建物の環境が悪化する事をいいます。

建物自体やその周辺の環境が悪くなると、物件全体の雰囲気が悪くなり空室が目立つようになります。

スラム街を思い浮かべてもらうと分かりやすいと思います。治安のいいスラム街なんてありませんよね??

治安の良し悪しは建物の定期的なメンテナンスと周辺環境の清潔さに依存するのです。

提案力とコミュニケーション能力はあるか

意外と軽視されがちですが、提案力とコミュニケーション能力のある管理会社はいざという時役に立ちます。

自社の利益追求を大前提としつつも、それに加えてオーナーの立場に立った提案がきちんとした手段を通じて行える会社は人気があります。

特に、最近はサラリーマン投資家も多く、平日の日中は連絡が取りづらい方が目立ちます。

そういった方に対しては、メールやメッセージアプリなどを活用し、要点のまとめられた資料を用意するなど、連絡のやり取りが減るような工夫も大切な仕事です。

賃貸経営の代行業者への依頼がベター

賃貸経営をより良くするためには、管理会社のサポートは必要不可欠です。

「現状の賃貸経営に不満や不安がある」「賃貸経営をさらに良い方向にに改善をしたい」と考えているオーナーは一度、プロパティマネジメント業務を行っている会社(もしくは、単独の部署がある会社)に相談されることをお勧めします。

売買事業を行っている業者であれば、売却のタイミングや不動産を買い増す際に新鮮な情報を教えてくれる場合もありますので、おもしろいと思います。

「賃貸不動産経営に対する専門性」と「不動産の収益性に関する専門的な観点」から一人ひとりにとって、より良いアドバイスができる業者をパートナーとして見つけることで、あなたの不動産の持つポテンシャルを開花させてくれることでしょう。