壁芯とは?マンション購入を検討している人への注意点
マンションの販売図面には、広さを表す「専有面積」という項目があります。
例えば、不動産情報の詳細を見ると、専有面積=74.39m2(壁芯) と記載されているのをよく目にしますが、皆さんはこの「壁芯」という言葉がどのような意味を持つかご存知でしょうか。
区分所有建物、いわゆるマンションの一室の購入を検討されている方は目にする機会も多いと思いますのでチェックして下さい。
なぜわざわざ「壁芯」と書くのか
マンションの販売図面(以下の写真のようなもの)を細かく見てくと、○○㎡(壁芯) という部分を目にしますが、この「壁芯」とはどういった意味があるのでしょうか。
以下の販売図面をご覧下さい。
専有面積とは
まず、専有面積について考えてみます。
専有面積とは端的に言うと、マンション一室の広さを表していますが、なぜ「壁芯」という言葉が出てくるのでしょう??
どうやら、これには法律が関係しているようです。
家の床面積の算出方法は2通りある
床面積の算出方法は2通りあり、それぞれ面積は異なります。
基本的な考え方としては、「壁芯」と「内法(うちのり)」による解釈です。
壁芯面積・・・家の内壁の中心を基準とした広さになります。
内法面積・・・家の内壁の線を基準とした広さになります。
ですので、実際の家の広さ(居住スペース)としては、内法面積ということになり、図面に記載してある面積よりも狭くなります。
法律によって算出方法が異なる
では、どうして算出方法が2通りあるのでしょうか??
これには、床面積の定義は各法律と深く関係しているからです。
建築基準法上の「床面積」の定義
建築基準法では床面積の算出は以下のように定められています。
床面積 建築物の各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。
建築基準法施行令 第二条第一項三号より
ですので、建物を立てる際に行なう、建築確認申請に用いる際は「壁芯面積」で算出することになります。
不動産登記法上の「床面積」の定義
一方で、不動産を登記する際の床面積の算出方法は異なります。
建物の床面積は、各階ごとに壁その他の区画の中心線(一棟の建物を区分した建物については、壁その他の区画の内側線)で囲まれた部分の水平投影面積により、平方メートルを単位として定め、一平方メートルの百分の一未満の端数は、切り捨てる。
不動産登記法施行令 第八条より
このように定義されており、面積の算出は「内法面積」で算出することになります。
区分マンションについては、算出方法が2パターンあるので理解しておいて下さい。
なお、戸建て住宅においては、登記上においても「壁芯面積」を採用しているので算出方法の違いについて理解が必要です。
「壁芯面積」と「内法面積」の違いによる注意点
区分マンションにおいて、面積の算出方法の違いがあるのはご理解いただけたかと思います。
これらの違いは、実際どのような場面において反映されるのでしょうか。
実生活においては影響なし
実際問題として、壁芯面積を基準に部屋の広さを想像したと仮定します。
「壁芯面積」はあくまで、壁の中心を基準にした面積の算出方法になりますので、壁芯面積によって部屋が狭くなることはありません。
壁芯面積だけを見て登記面積を把握していなくても、間取図が小さく変わるわけでも、実際の部屋が狭くなるわけでもありません。
ただし、賃貸物件から賃貸物件に引越しをする際、同じ広さの部屋を実際に内見した際に若干狭く感じる可能性はあります。
それは、賃貸物件の床面積の表記方法は「内法面積」の場合と「壁芯面積」の場合があるからです。
税制優遇措置や減税措置に関しては要注意
「壁芯面積」と「内法面積」について、最も注意が必要なのは、床面積に規定がある、「税の優遇」に関してです。
住宅ローン控除や、不動産取得税・登録免許税の軽減措置を受けようとする場合の条件として、「自己居住用」であることと同時に「床面積が50㎡以上」であることが条件となります。
不動産取得税・登録免許税については床面積=課税床面積となっており、共用部分のうち按分された面積が加算されていれば多少の差異をカバーできることもあります。
しかし、住宅ローン控除の場合は「床面積=登記面積」と決められているため、登記面積を確認しないまま購入すると住宅ローン控除の申請時に不適合物件であることに気付くことはよくある話です。(本来は販売業者がきちんと説明するべきなのでしょうが・・・)
新築不動産物件のカタログに記載されている面積が50㎡以上(壁芯)だったけど、登記面積を確認すると50㎡未満だった。。。
このように、床面積が”キワドイ”物件については特に意識しておきましょう。
一つの目安として、2LDK(50㎡強)程度の新築もしくは築25年以内のマンションを購入して住宅ローンを利用し、住宅ローン控除を受けようと考えている方は「床面積」には特に注意する必要があるでしょう。
細かいところを見落とすと損する場合がある
いかがでしょうか。
このように細かなことではありますが、知っていることで、大きな損をしないで済む可能性もあります。
不動産は様々な法律などが入り組んでいるため、複雑で分かりづらい部分もあります。
不動産の購入を検討されている方の多くは、一生のうち、数少ない大きな買い物になると思います。
適切なアドバイスによって、あなたのマイホーム購入をサポートさせていただければ幸いです。
マンション購入、不動産購入に関して、疑問や不安が少しでもあれば、私たちにご相談下さい。
悩みが解消するまでサポートさせていただきます。