不動産投資でババを引かない為にレントロールを読み取る力

不動産投資に関して、ある程度の知識を得ることは投資を成功に導く確率を大きく高めます。不動産仲介会社から送られてくる資料は様々なものがありますが、不動産を購入する者であれば、これらの資料をきちんと読み取ることが求められます。

仲介業者から送られてくる資料は様々ありますが、その中でも特に、レントロールをきちんと読み取ることができなければなりません。

これをきちんと読み取ることで、思わぬ落とし穴に気がついたり、購入を考えている不動産の問題点を事前に見つけたりすることができるようになります。

『不動産投資はババ抜きである』というような言葉もありますが、業者に騙されないためにも、きちんとした知識を身に付けておくようにしましょう。

レントロールとは

レントロールとは、その不動産の部屋ごとに「賃料の設定」「共益費の金額」「駐車場の金額」などがまとめられた表のことを言います。

レントロールのサンプル

売主がその物件を売却したいときには、レントロールの数字を出来る限りよく見せたいものです。なぜなら、ここに記載されている数字によって、利回りが計算出来たり空室状況が把握できるからです。

しかし、これらはあくまで数字上の話です。数字の見栄えをよくするために、空室の賃料を高めに設定したり、一時的な入居者を入居率を高く見せたりする場合もあります。

また、支出の部分についてもチェックが必要です。年間経費については案外見落としがちなポイントですので、細かくチェックするようにしましょう。

このように、見せかけの数字によって好条件を演出し、実際に蓋を開けてみると・・・なんてことのならないように、ポイントをチェックしていきます。

レントロールの注意点

不動産仲介会社から送られてくる資料の中で、注意してみるのが、マイソク(物件概要書)・レントロール・修繕履歴・固定資産評価証明書・謄本・物件の画像などです。

その中でも特に注意をしてみなければならないのがレントロールです。

レントロールには、その収益物件の状態が反映されていますが、見せ方を工夫することで、不動産の売却価格を高く設定することも可能です。

購入を検討している方は、注意が必要です。

空室の賃料設定

最初に確認しなければならない点は『空室の賃料設定』です。空室賃料を見ることで、その賃料が相場に対して適正な賃料なのかを確認する必要があります。

当然、想定賃料が高ければ、表面利回りも上がりますので、投資の期待値も高くなるわけですが、実際に家賃が適正でなければ、空室はいつまで経っても埋まりませんし「想定よりも収入が少ない」なんてことにもなりかねません。

そういった物件を購入してしまい、実際に募集をしても入居者がなかなか決まらず、結果的に賃料を大幅に下げて入居者を決めるなんてことになりかねません。

レントロールに空室がある場合は、その賃料を確認して近隣の同等スペックの賃料と募集状況などを確認してみましょう。

それにより、現状の募集が相場に対して適正な価格なのかどうかを把握できます。

表面利回りだけに惑わされないようにしましょう。

各部屋の賃料にバラつきはないか

各部屋の賃料にバラつきはないでしょうか。レントロールで各部屋の賃料を確認すると、同じ間取りにも関わらず、賃料の設定が明らかに異なるケースが多々あります。

千円、二千円の差であれば、特段気にすることはありませんが、万円単位で賃料が違う場合は、何かを疑問に感じるべきです。

ここで想像できるとしたら、契約者の入居時期です。

契約者が長年住んでいる場合は、賃料の見直しが入らず、当初の割高な賃料のままである可能性があります。契約の更新こそあるものの、賃料についてはそのままの価格で契約をしているケースがほとんどですので、その契約者が退去した場合は賃料が大幅に下落する可能性が極めて高いということを頭に入れておく必要があります。

利回り計算のシュミレーションでも、その入居者が退去したときのことを想定して、利回り計算をしておくべきでしょう。築年数によって、賃料相場は下がる傾向にありますので、現在の入居者がどれくらいの期間入居しているのかをチェックしながら検討するのも一つだと思います。

入居時期と属性

現在の入居者の入居時期とその属性についても確認しておく必要があります。

極端な例かもしれませんが、購入を検討している物件で直近に入居者が立て続けに決まっている物件は注意が必要です。

悪意のある例だと、知人や身内の人間に一時的に入居してもらい、レントロールをよく見せたりすることもあります。

そして、売買契約が決まったタイミングで、退去するような悪質なパターンもありますので十分注意が必要です。

これについては、事前に把握することが難しいケースもありますが、入居者の個人情報(家族構成・職業・勤務先・年齢)を可能な限り聞いておくのも対策の一つです。

個人情報や教える必要のない情報なのかもしれませんが、売主に隙を見せないという意味でも、確認はして損はないのではないでしょうか。

支出については注意が必要

レントロールでは、利回りや収入の部分に目が行きやすいですが、支出に関する項目にもちゃんと目配りをしましょう。

支出の項目は意外と盲点で、以下のポイントについては見落としがちなので十分注意して下さい。

インフラ系の料金負担はどちらか?

電気・ガス・水道料金の負担については最初に注目します。

一般的には入居者が電力会社やガス会社と契約をして、入居者が料金を負担することがほとんどですが、稀にオーナーが一括して支払い、それを入居者に対して請求するという場合もあります。

水道代については、大家が一括して契約をしていて、それを入居者に対して請求する場合が意外と多いです。その際には、その料金については利回りに反映されているかどうかを確認して差し引いて計算するなどしましょう。

駐車場は収益を大きく左右する

近隣の駐車場を一括して借り上げ、それを入居者に貸し出しているケースは多いです。このようなモデルの場合は、特に注意が必要で、稼働状況によっては大きく利回りに影響を及ぼしますので注意して確認する必要があります。

その他の設備や臨時的な支出についても考慮する

その他の設備についても注意する項目はいくつかあります。

例えば、受水槽のある物件はメンテナンスにお金がかかります。法律で定期的な清掃が必要になる貯水槽は、容量の大きさによるものの、年間3-4万円程度の費用がかかります。

さらに、故障やトラブルが発生した場合には、速やかに対処する必要がありますので、余計なコストがかかるのです。

個人的には、貯水槽のある物件はリスクを抱えていることを前提に考えた方がいいかと思います。できれば、それがない物件を選びたいところです。

他にも、インターネット設備や共用部の保守メンテナンス、十年単位で訪れる大規模修繕のタイミングについてもきちんと意識をしておくとよいでしょう。

このように、レントロール一つとっても色々な情報を引き出すことができます。

表面上の利回りを見て、飛び込むのではなく、そこに表されている数字を多角的に分析して、気になるところがないかを意識することが求められます。

ベテラン大家さんになれば、ある程度の”勘”が働きますが、初心者には難しい部分です。もうこれは、何度も資料を見て感覚を養うか、学習が必要なのです。