リノベーションで対応できないことを把握しておこう

PR:イーダブルジーの不動産特定共同事業「トモタク」

マンションの部屋を、自分のライフスタイルに合わせた設計にしたい人達にとって、リノベーション(以下:リノベ)が流行しています。

しかし、中古マンションを購入し、リノベを進めていくと、トラブルやハプニングに見舞われ、思い通りに工事が進まなかった。といった方も多いのdえはないでしょうか。

実際に、部屋を躯体だけの状態にした、スケルトンリノベーション(以下:スケルトンリノベ)でも出来ないことはたくさんあるのです。

予想外の失敗をしないためにも、あらかじめ、出来ないことや難易度が極めて高い工事を知っておくことはとても重要です。

共用部分の変更はできない

当然ですが、共用部分の変更はできません。

マンションにおける共用部分とは、廊下やエレベーター、建物の外壁などがそれに該当します。

また、ベランダやバルコニーも入居者が専用に使う権利を得ているだけになりますので、こちらも共用部分になります。

意外に思われるのですが、入り口のドアや窓のサッシも共用部分になり勝手に取り替えることはできません。

部屋の熱効率を高めるために、リノベで二重窓にする事が多く見られますが、基本的には、サッシの内側(専用部分)に設置します。

また、勝手に入り口のドアを変更したり、最近流行りのスマートロックなどを勝手に取り付けることはできないので注意が必要です。

水回りの移動は非常に難易度が高いことを知っておく

まず、部屋の水回りの工事で絶対にできない工事があることを知っておきましょう。

水回り付近にPSがある

それは、「パイプスペース」の移動です。

マンションの見取り図などに「PS」と記載されている、パイプスペースは、建物の1階から最上階までを繋いでいる縦管が入っていて、様々な生活排水を下に流しています。

「このパイプをリノベで別の場所に移動しよう!」

なんてことはできないので、覚えておきましょう。

PS(パイプスペース)の位置は絶対に動かせないのです。

キッチン、お風呂、洗面所の移動

通常、水回り設備はPSのすぐ近くに配置してあります。

もし、リノベでキッチンの移動を考える場合は、新たな設置場所から、既存のPS管までを横配管で繋がないといけません。

横配管は床下を通しますが、水は一定の勾配がないと流れないために、PSからの距離が離れれば離れるほど、勾配を確保するために床を底上げする必要があり、天井が低くなってしまいます。

この点も水回り工事の難しいところです。

眺望のいい部屋の場合、熱海などのリゾートマンションを参考にして、外を眺めながら風呂に入りたい。といった希望を持つ方もいらっしゃいます。

しかし、あの様なマンションは設計の段階から、PSの配置などを決めているため出来るのであって、リノベで再現しようとすると、大変な作業になるという事を覚えておいて下さい。

トイレの移動はリノベ界のドンである

キッチン、お風呂、洗面所から流れる排水は、不純物も少なく比較的純度の高い水になり、勾配の傾斜も比較的緩やかなものですみます。

しかし、トイレの排水はキッチンやお風呂のものとは異なり、排泄物や紙などが詰まることなく流れる勾配を必要とするため、動かすのは非常に難しいと言われてます。

部屋の中に複数のPS(パイプスペース)がある場合でも、トイレとつなぐ管は別の縦管には変更できないケースが多いようです。

ですので、今のトイレの位置をPS(パイプスペース)から離れれば離れるほど傾斜が必要になり、現実的に難しくなります。

リノベーションにおいて、トイレの位置をあまり変更しない(したがらない)理由はこんな感じです。

トイレの移動は、リノベ界のドンであると言えるでしょう。

スケルトンリノベなら風呂もトイレも自由に動かせます!は半分ウソである

これまでの説明で、水回りの工事の難しさについては、ざっくりでもご理解いただけたかと思います。

よく、雑誌や広告などで「トイレやお風呂の移動も自由自在」といったうたい文句を目にしますが、一言で片付けられる問題ではありません。

あえて言い換えるのであれば、

「天井が低くなり、コストも大幅にかかるのであれば移動も可能」

ということになるのではないでしょうか。

構造を支える柱、梁、壁は壊せない

安全に暮らすための根本である、建物の強度を支える部分は、壊せません。

リノベを検討される方の要望で特に多いのが、

「壁を取っ払って開放感のある広いリビングにしたい」

という要望です。

梁を上手に活かした開放感のある部屋

しかし、建物の構造によって可能な場合とそうでない場合があります。

建物構造の確認は、不動産屋や図面などを通じてしっかり確認しておく必要があります。

ラーメン構造

接合されている大きな柱や梁によって建物を支えている構造のことを指し、マンション構造や一般建築物の多くで採用されている、もっともポピュラーな構造です。

この場合、間仕切り壁は強度に影響しないため、撤去可能です。

ただし、梁や柱は建物の強度に影響します。邪魔だからといって撤去できないので十分注意が必要です。

ラーメン構造のイメージ。
柱と梁で建物を支える構造となっている

余談ですが、、、

ラーメン構造という少し変わった名前の語源は、ドイツ語の「Rahmen(額縁の意味)」からきています。

食べ物の「ラーメン」とは一切関係がないのでご注意下さい。

壁式構造

壁によって建物を支える構造で、主にRC低層マンションに多く見られる構造です。

壁式構造は太い柱や梁がないため部屋自体がとてもスッキリし空間が広く見えますが、撤去できない耐力壁があることに注意が必要です。

壁式構造の建物は、壁を取り壊すことによる、間取り変更などのリノベがしづらいと言われています。

構造上問題のない柱や梁、壁もある

梁や柱、壁式構造における壁の撤去は原則できませんが、全てが建物を支える柱や梁だったり、構造壁であるわけではありません。

梁のように見えて、実は配管やダクトなどを通すために、ふかしている場合や撤去可能な壁だったりもします。

いずれにせよ、図面や現地調査をする中でしっかりと確認する必要があるでしょう。

壊すまで分からないことも多い

図面を見て現地を確認することで、大抵のことはわかります。

ただし、それは“図面通りになっていれば"の話です。

スケルトンにした部屋の内部

組合管理室などで保管されている図面と現状には、大なり小なりズレが生じていることは決して珍しいことではありません。

例えば、新築工事中に現場の事情で設計図とは異なる施工が行われ、図面の更新が行われていない場合も実際にはあります。

電気工事や配管のルートまで詳細に残っている場合もあれば、構造上の重要な図面しか存在していないこともあります。

古いマンションになると、図面自体が残っていない(紛失などによる)場合もあるのです。

なので、実際に壊してみるまで分からないのが実情で、非常にドキドキする瞬間だと言われています。

まあ、これもリノベの醍醐味といえばそれまでですが、予定通りに進まない場合もあるということを理解しておきましょう。

近隣住民の同意も必要

マンションには住民全員が守る必要のある「管理規約」というものが存在します。その中には修繕の際に守るべきルールもあり、大きく分けると以下のようになります。

  • 防音のため使用する床材の制限
  • 近隣住民の同意書をもらう(範囲は様々)
  • 工事を行ってもいい日、時間が決まってる

これらの条件を満たすことで工事がスタートします。

入念な計画で理想の住まいを手に入れよう

入念な計画と準備がリノベ成功の鍵

リノベは、新たに建築をおこなうのではなく、既存の構造物を変更するため、様々な制約の中で進めていく非常にデリケートな工事です。

思わぬトラブルやハプニングもつきもので、新築注文住宅のようには上手くいかないことを理解しておきましょう。

しかし、新築よりも手頃な価格で、自身のライフスタイルに合った、オリジナリティ溢れる住まいを手に入れられるのが最大の魅力です。

また、耐震強化、バリアフリーや断熱改修、エコ住宅設備の導入などの補助金制度も充実していています。

繰り返しになりますが、私たちの生活は多様化しているのにも関わらず、住まいの間取りや形式はどれも画一的なものばかりです。

以前は、自分仕様の住宅づくりは注文住宅にしかなく、それは一部の富裕層にしかできない特別に贅沢な選択でした。

しかし、中古住宅を活用したリノベが一般的に普及する中で、誰もが自分仕様に家を作ることができるようになり、それによって、私たちの生活の質を飛躍的に向上させることが可能になりました。

「自分自身の理想の住まいとは何なのか」を今一度考え直し、画一的な固定観念にとらわれることのない、計画が必要なのではないでしょうか。