中古住宅を購入して住宅ローン減税を受けるための条件とは?-賢い住宅選びのポイント-

住宅ローン控除の改正によって、マイホームの購入を検討されている方にとっては、現在の制度の恩恵を受けるべく駆け込み2021年は住宅販売業界は需要の高騰が考えられます。

住宅に関する様々な制度については、なかなか複雑です。事前にしっかりと情報を把握することで誤った判断をする可能性を抑えることができます。

ここでは住宅ローン減税の基本的な仕組みについて解説するとともに、中古住宅ではどのような条件で適用されるのかについて解説していきたいと思います。

住宅ローン減税とはなにか?

そもそも、住宅ローン減税をご存知でしょうか。住宅ローン減税についての基本をまず最初に押さえておきましょう。

手厚い仕組みについて

住宅ローン減税とは、マイホーム購入者のローン金利負担を減らすことで、住宅購入を促進するための制度です。具体的には、個人が支払う所得税や住民税から引かれるため、税金が減免されることになります。

高金利時代にスタートした制度

住宅ローン減税制度の歴史は意外にも古く、始まりは『住宅取得控除』と呼ばれるものになります。『住宅取得控除』は1972年に導入されました。この制度は、住宅購入後3年間は取得金額の1%分の税金を控除する、というものです。

住宅ローンが控除対象になったのは1978年以降

その後、1978年には住宅ローンが控除対象になりました。現在の「住宅ローン減税」は1986年にスタートし、景気が後退した2000年前後には、最大600万円弱まで控除額が増えましたが、その後国の財源不足もあり最大控除額は160万円まで落ち込んでいます。

その後、紆余曲折、様々な制度変更があり、消費税が10%に増税される際には住宅ローン控除の期間が10年から13年に延長になったりと現在に至ります。

現在の住宅ローン減税

次に、現在の住宅ローン減税の仕組みについて解説していきます。

ゼロ金利政策による金利低下

2020年12月現在、ゼロ金利政策が続いているため、住宅ローンの金利も1%を切るような商品が数多く並んでいます。変動金利を採用すれば0.5%台のローン商品も数多く存在します。住宅購入者にとっては、これ以上ないタイミングとも言われているのです。

金利低下による”逆ザヤ”現象

金利の低下は、住宅ローン控除にも大きな影響を及ぼしていて、本来の住宅ローン減税の趣旨とはかけ離れた思惑が入ってしまっています。

これがどういう意味なのかは、住宅ローン減税のルールを見れば一目瞭然です。

住宅ローン減税は、『毎年12月31日時点の借入残高の1%(上限40万円)を所得税・住民税から直接減額』する制度です。

大家の教科書「住宅ローン減税とは」より抜粋

”借入金利の1%”ここがポイントです。本来の住宅ローン減税の目的は、住宅ローン金利が5%前後の高金利時代において、住宅ローン契約者の経済的負担を少しでも減らすために制度設計されたものになります。

ですので、現在の住宅ローン金利事情においては”制度上の穴”があるのです。

下の図を御覧ください。

低金利時代に住宅ローン減税を利用すると見事に逆ザヤが発生します。

例えば、住宅ローンを0.4%の金利で契約したとしましょう。その場合、1年間に支払う金利は、138,284円です。しかし、住宅ローンの残高に対する1%は、340,655円ですので、この金額が所得税から減税されることになります。

つまり年間で約20万円、13年間で約200万円が想定より多く得をする計算になります。

実際に、住宅ローン減税は”制度上の歪み”が指摘されていて、2022年までに段階的に制度が見直されることが既に決定しています。

https://oo-ya.jp/myhome/3886/

この1、2年は制度の歪みを意識した様々な営業活動が行われ、住宅販売業界の需要は高まる可能性が十分考えられるでしょう。

中古住宅での住宅ローン減税適用条件

これだけ注目されている住宅ローン減税ですから、中古住宅の購入にも上手に活用したいところです。以前と比べて今は、中古住宅のニーズがとても高まっています。

都心部の販売価格高騰もそうですが、住宅を資産として捉える人にとっては新築プレミアムがない分、資産価値の低下が緩やかになる点も魅力のようです。

ですので、中古住宅購入時においても住宅ローン減税を適用したいといころです。

中古住宅で住宅ローン減税が適用されるためには、新築住宅購入時に適用される条件に加えて、中古住宅独自の条件が加えられます。

入居に関する条件

まず最初に、入居に関する条件です。

これは、新築住宅にも言えることですが、住居を取得してから6ヶ月以内に入居していることが条件になります。これは、実際にあなたが住むために住宅を購入しているかどうかを測るためになります。ですので投資目的に購入したマンション等には適用されません。

入居については、取得してから6ヶ月以内、その年の12月31日までに入居していれば翌年から住宅ローン減税が適用されます。

所得条件とローン期間

所得条件についても厳格に条件が決められています。住宅ローンを借りた人の所得額が3,000万円以下で、ローンの返済期間が10年以上であることを満たしている必要があります。

余談ですが、以前のように住宅ローン金利が5%近くあった時代には、住宅ローン契約することによるデメリットを感じる方も多く、金銭的に余裕がある方は一括購入する方も多くいらっしゃいました。

しかし、超低金利の現在では、仮に一括で購入することができる現金があったとしても敢えて住宅ローンを組んで購入し、住宅ローン減税の恩恵を受けた後、繰り上げ返済をするようなケースが主流のようです。

中古住宅独自の条件

ここが一番重要なポイントです。

中古住宅で住宅ローン減税を適用される条件は以下の通りになります。

・木造住宅では築20年以内、耐火受託では築25年以内であること
・親族から購入していないこと
・瑕疵保険の加入
・耐震基準適合証明書
・既存住宅性能評価書

ただし、2005年の税制改正によって、築年数が25年を超えていても、証明書類を添付することで新耐震基準を適合していることを証明できれば住宅ローン減税を受けることができるようになりました。

新耐震基準の証明書類は「耐震基準適合証明書」「既存住宅性能評価書」「既存住宅売買瑕疵保険の付帯証明書」のいずれか一つ以上が必要になります。

この書類があることで、『新耐震基準』に適合していることが証明できるため、住宅ローン減税を受けることができます。

住宅ローン減税を受けることができることは住宅選びの大きなポイントになると思います。制度自体が大きく見直されるタイミングである今だからこそ、住宅選びのポイントの一つにしてみてはどうでしょうか。