不動産投資とローン | 初心者は日本政策金融公庫を活用しよう
不動産投資をこれからスタートする方は、ローンを組む際に、どの金融機関のサービスを活用すればよいのかと迷っているのではないでしょうか。知人や親族の中で既に不動産投資をしている方がいれば、その伝手を数珠に利用できますが、そうでない場合は、ゼロから金融機関との関係を構築しなければなりません。
これはなかなか大変な作業になります。
そのような方は『日本政策金融公庫』を軸に検討してみて下さい。
日本政策金融公庫は、初心者のみならず、全ての”不動産投資家”にとって利用しやすい、利便性の高い金融機関なのです。
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日本政策金融公庫は全ての事業者にとって頼りになる存在です
世間一般的に高属性と言われるような年収、豊富な自己資金、賃貸経営の実績があるのであれば、金利条件のよい都市銀行や地方銀行を活用して積極的に不動産投資ローンを受けるべきでしょう。
そのような方にとってのプライオリティは、都市銀行や地方銀行になるはずですが、不動産投資の世界でこれから”伸し上がろう”というような『志高き』投資家にとっては、日本政策金融公庫に、まずは相談してみましょう。
まずは日本政策金融公庫で不動産投資のローンを申し込むことを、私はお勧めします。
日本政策金融公庫は属性に左右されずローン審査を受けることができる
先述した通り、日本政策金融公庫は個人の属性に関わらずローンを受けやすい金融機関です。
政府系金融機関ということもあり、地域経済の活性化などを目的にした姿勢によって、起業後間もない法人や個人事業主に対しても積極的な取り組みをしているのが特徴です。
また不動産投資のローンと言えば、物件購入費用としてローンを活用する投資家が多いですが、ほかにもリフォーム費用のローンを受けたり、運転資金を借り入れたりすることも可能です。このように、守備範囲がとても広いため不動産投資ローンに限らず、新規事業をはじめる人や事業資金の確保として考えている人とっても非常に心強い味方です。
これから心機一転、事業をスタートする方は、ぜひ押さえておきたい金融機関だと思います。
日本政策金融公庫でローンを受けるメリットとは?
これから不動産投資をはじめようとする人でもローンを受けやすい日本政策金融公庫ですが、ただお金を借りるというメリットだけではなく、次のようなメリットがあり、サービスの質がとても充実しているのが特徴です。
固定金利でローンを受けられる
日本政策金融公庫では、固定金利で低金利のローンを組むことができます。これが日本政策金融公庫でローンを組むことの最大のメリットといっても過言ではありません。
固定金利とは、ローン期間における金利が一定であることを言います。固定金利では、金利上昇リスクがなく、仮に将来、金利が上昇したとしても投資家の負担が増えることはありません。
金融機関でローンを受ける際に、変動金利から固定金利に変更できる場合もありますが、その代わり金利が高くなってしまうのが一般的ですが日本政策金融公庫の場合は、始めから固定金利であるうえに低金利なのです。
さらに、一般論として『お金の借りやすさ』と『金利の高さ』は比例します。つまり、属性が低い人への貸し出しは、金融機関目線では高リスクな案件となりますので、その分、貸し出し金利が高くなる傾向にあります。
一般の銀行とは違うのが政府系の金融機関です。『借りやすい』うえに『低金利』という非常にありがたい条件で、お金を貸してくれるのです。
女性や35歳未満、55歳以上で新たに事業をスタートする人は優遇される
日本政策金融公庫では、通常の借入期間は最長10年間です。
しかし、女性や35歳未満、55歳以上で新たに事業をはじめる人であれば、条件によっては、借入期間を最長15年
間とすることができ、金利優遇を受けられる場合もあります。
実績を評価するような一般の金融機関では、むしろローン審査が可決しづらい層ですが、政府系の金融機関としての理念のもと、むしろ条件面を優遇してくれるのです。
このような年齢条件に該当するような人は、ぜひ日本政策金融公庫を積極的に利用してみましょう。
建物の法定耐用年数を気にしなくてもよい
金融機関の中には、不動産のローン期間は法定耐用年数までしか許可しないというところが多いのが実情です。
例えば、木造なら法定耐用年数が22年なので、築年数が22年以上の築古物件ではローンが通らないことがしばしばあります。
しかし、日本政策金融公庫の場合は、法定耐用年数が超過したような不動産に対してもローンを通しますので、築古の高利回り物件と相性がいい金融機関といえるのです。
これは、日本政策金融公庫のローン審査時に考える評価軸が大きく影響しているのです。つまり、購入する不動産そのものの価値ではなく、その不動産が生み出す収益性によって判断がされるということなのです。
不動産投資を『投資』として判断するのではなく、あくまで一つの『事業』として判断しているため、一般の事業に置き換えると仕入れ資金に相当するものとして考えられます。
裏を返せば、新築や築浅で法廷耐用年数が20年以上残っていても、ローン期間は最大10年もしくは5年というように決められているため、キャッシュフローが出にくい場合もあるのです。
このような、日本政策金融公庫のローンに対する姿勢は、私たちが不動産投資をする上でとても参考になることが多いです。具体的には”キャッシュフローが出やすい不動産とはどのような不動産なのか”ということです。
日本政策金融公庫の判断によると、それは『築古の中古物件』ということになります。5年や10年のローン期間において、しっかりキャシュフローを生み出すことができて、利益を残すことができる不動産こそが、不動産投資に向いているのではないか、と考えさせられるということになります。
日本政策金融公庫でローンを受けるデメリットとは?
日本政策金融公庫のローンにもデメリットはあります。
それは、借入期間が最長10年または15年と短く毎月の借入返済額が大きくなってしまうことです。
そのため家賃収入に対する返済比率が高くなり、最悪の場合、返済額が家賃収入を超過してしまいます。これによって毎月の収支がマイナスになる可能性もあるということです。
政策金融公庫が、はじめての不動産投資をするような投資家にとって使いやすく、柔軟であるとは言っても、ローン期間に関する制度に関しては、変えることはできません。
不動産投資の収支をプラスにするためには、返済比率を調整するために『頭金』を入れて借入金額を少なくするか、利回りが高く、高い収益を維持できる不動産を購入する必要があるのです。
日本政策金融公庫にローン申し込みする際には、事業計画書を作成します。この段階で購入する不動産の収支期待値を算出することができますので、実際に購入して運用した後に「こんなはずじゃなかった・・・」ということは起こりにくいと思っています。
日本政策金融公庫でローン申し込みする際の注意点はコレだ!
最後に、日本政策金融公庫にローン申し込みする際の注意点についてご紹介します。
日本政策金融公庫では、『不動産投資にはローンを出さず、不動産賃貸業に対してローンを出す』ということです。
不動産賃貸業というのがポイントになります。賃貸業、つまり、事業に対してお金を貸してくれるというスタンスで、投資に対してお金は一切出してくれないということになります。
ローン審査を通すためのポイントは2つ
- 申込書(創業計画書)への記述や面談の際に『不動産投資』というキーワードは使わず、不動産賃貸業というキーワードを使用すること
- 事業に対するローンなので、事業の計画性が審査される。なので、初めて審査を受ける際には創業計画書の提出が必要である
なお、キャピタルゲインを目的とした不動産投資の場合は、ローン審査が可決されることはありません。
不動産賃貸業をするということでローン審査を申し込みますので、決してキャピタルゲインを狙っているというような話を面談時にしてはいけません。
繰り返しになりますが、これは事業に対するローンです。事業とは、長期間に渡り継続していくことを前提になります。ここでは、収益性の高い不動産を効率よく運用し、計画的に所有物件を増やしていくような提案をしていくことで、面談相手に対して、好印象を与えることができるのではないでしょうか。
この点については、どちらが良い・悪いの話ではなく、金融機関のスタンスの違いであることを理解し、それ相応の対策を取る必要があるということなのです。
不動産投資をこれから始めようと考えている方は、ぜひ日本政策金融公庫という選択肢を上手く活用し、計画的な賃貸経営を目指してみて下さい。