不動産投資のリスクはマーケティングの実践で解消しよう

不動産投資には、内外問わず多種多様なリスクや課題が存在しますが、最終的には、所有する不動産の空室対策に行き着くことがほとんどで、満室経営により不動産が持つポテンシャルを最大限発揮できるかどうかが、重要になってきます。

ここでマーケティングにおける『4P分析』を活用することで、不動産投資における課題や問題点が抽出され整理できるため非常に有効な手段として注目されているのです。

不動産投資に興味を持たれているサラリーマンの方であれば『4P分析』について、一度は耳にしたことがあるかと思います。この理論を不動産投資にしっかり落とし込んで実践していきましょう。

不動産投資における4P分析とは?

不動産投資における『4P分析』も一般のマーケティング理論と基本的な考え方は同じです。

『4P分析』とは、Place(立地)、Producut(製品)、Price(価格)、Promotion(広告)の4つの頭文字を意味しています。

これらは、不動産投資に置き換えると以下のようになります。

  1. Place(不動産の立地条件)
  2. Product(物件の魅力-間取りや設備など-)
  3. Price(賃料)
  4. Promotion(広告宣伝-入居者募集-)

これらの要素を紐解きながら、あなたの不動産投資の状況を整理し今後の投資活動に大いに役立てていただきたいと考えています。

Place(不動産の立地条件)は最も重要な要素になります。

不動産投資を始めるにあたり何よりも重要な要素が『不動産の立地』です。”不動産”という言葉にも表れている通り、”動くことのないもの”なので、最初の段階での立地選びが非常に重要になってきます。

駅から徒歩何分かかるのか?で入居者は賃貸物件を探す傾向にある

外部環境的なもので評価をするのであれば、まず第一に『駅から近い』という点が重要になります。理想は徒歩5分以内、現実的なラインとしても徒歩10分以内であることが求められています。

いわゆる『駅近物件』『駅遠物件』に関しては明確な定義はありません。ただ、慣習として駅から10分以内を『駅近物件』、10分を超える物件を『駅遠物件』として扱っている不動産会社が多いようです。

入居者が物件を探す際に「最寄り駅からの距離」で最初に確認をします。多くのポータルサイトでは、1分以内、5分以内、7分以内、10分以内、15分以内、20分以内といった具合に、フィルターされます。

慣習として10分を超える物件を『駅遠物件』と定義する傾向があるため、15分以内、20分以内の物件については、この時点で”足切り状態”にされてしまう可能性が高くなります。つまり”いい物件”であっても見向きもされない状態になる場合があるのです。

実際に、ポータルサイトを確認してみて下さい。最初に『エリア』を選択し、その後『条件』を選択するようになっています。この『条件』の中に、『駅からの距離』の項目が存在しているのが、お分かりいただけるかと思います。

周辺環境はターゲット層と合致しているか?

とはいえ、駅から近いことが必ずしも万人受けするとは限りません。人によっては、駅からの距離よりも重視するポイントがあるということです。

例えば、小さなお子さんがいる家庭では、学校や公園が近く、治安の良い安全な地域の物件を好んで選ぶ傾向があります。高齢者の世帯であれば、駅からの距離よりも、スーパー(大型ショッピングモール)や病院が近くにあるかどうかを重視する傾向にあります。他にも、近隣に大きな工場がある場合には、そこに勤務する従業員が近隣の不動産を好んで探す傾向にあるかもしれません。

このように、想定される入居者の属性を考慮して、購入する不動産のエリアを選定することが重要になってくるのです。

立地の強みをきちんと分析することが重要

不動産投資では立地条件によってその成否が大きく変わってきます。賃貸物件とは、場所や空間を期間で貸す商売ですのでその立地がとても重要な要素になります。

これから物件を購入しようと考えている方、既に所有している方においては、「その物件の立地はどこが優れているのか、どこがウイークポイントなのか」を改めて分析し、魅力と感じてくれる人が、その市場にいるかを考えるべきだと思います。

繰り返しになりますが、入居希望者の中には『周辺施設の充実度』『物件の広さ』『閑静さ』など『駅からの距離』よりも優先したい要素が存在することを忘れてはいけません。

Product(物件の魅力)は清潔感と設備仕様が重要になる

次にProduct(プロダクト)についてです。

Productについては、物件そのものの魅力、間取りや設備についてです。実際に入居希望者は数年間その場所に暮らすことになりますので、間取りや設備、物件そのものに魅力がなければ入居することは考えられません。

この点については、賃料とのバランスが重要で、何が何でも最新で最高の設備を導入する必要はありませんが、そのような物件でも注意しなければならない点がいくつかありますので紹介していきます。

清潔感は物件の第一印象を左右する

人間の心理的な話になりますが、賃貸住宅の内見のために現地を見に行く場合には、最初の30秒で借りる借りない(複数ある場合は候補に入れるか入れないか)の判断をするそうです。

例えば、階段下のスペースにゴミや自転車が散乱してあったり、空室の部屋の集合ポストにチラシがあふれ出ていたり、ごみの散乱や雑草が生い茂っているような物件には内見に訪れた人もいい印象は受けません。

部屋の中についても同じです。

特に、空室期間が長期に渡ると、畳にカビが発生したり、排水管のトラップに溜まっている封水が蒸発して、下水管から臭いが発生したり、害虫が室内に侵入したりします。

これでは、折角、入居希望者を連れてきた仲介業者に恥をかかせてしまいます。

購入を検討している物件も、既に所有している物件も、きちんと清潔感が保てているかどうかは重要なポイントです。建物が古くても管理が行き届いている物件は、一目で分かります。

建物を清潔に保つことを最優先事項として捉えるようにしましょう。

ターゲットが単身者かファミリーかによって設備需要は異なる

実際に、入居者はどのような設備を求めているのでしょうか。

全国賃貸住宅新聞が毎年発表している人気設備ランキングで属性別の傾向を知ることができます。ランキング結果は以下の通りになりますが、この結果は『この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる』と言われている設備になるため、既に不動産投資を始めている方、不動産投資をこれから始めようと考えている方にとっては、非常に参考になるデータだと思います。

順位【単身者向け住宅】【ファミリー向け住宅】
1位インターネット無料インターネット無料
2位エントランスのオートロック宅配ボックス
3位宅配ボックスエントランスのオートロック
4位浴室換気乾燥機追い焚き機能
5位ホームセキュリティシステムキッチン
6位独立洗面台ホームセキュリティ
7位24時間利用可能ゴミ置き場浴室換気乾燥機
8位システムキッチン防犯カメラ
9位TVモニター付きインターフォンウォークインクローゼット
10位エレベータ24時間利用可能ゴミ置き場
2020年人気設備ランキング『習慣全国賃貸住宅新聞』より

特に顕著なのは、単身者向けでは、『システムキッチン』が前回12位から8位にランクアップしている点です。これは新型コロナウイルスの流行で、外食が中心だった単身者が自炊に切り替えたり、ちょっとした料理を自分で作るような動きが顕著に表れているものだと考えられます。キッチン周りの設備を充実させることで、自身の食生活を充実させたいという考えなのだと思われます。

一方で、ファミリー向けの宅配ボックスについても、EC需要の高騰と人との接触を極力抑えたいという思いが顕著に表れているのだと思います。

単身世帯、ファミリー世帯ともに1位は『インターネット無料』でした。インターネットに関しては、電気、ガス、水道といった生活インフラと同く、日常生活において欠かせないものになってきているため、無料であることは大きなアドバンテージになることは間違いありません。

入居者自身がインターネットを用意するとなると、月々5,000円~7,000円近くのコストがかかるため、インターネット無料であれば、その分多少高くても契約に至るという心理にたどり着くのだと考えられます。

今後、新たな生活様式が定まる中で、入居者に求められる住宅設備も大きく変わるのではないでしょうか。今後は、技術の発展にともないIoT機器(単身者では15位にランクイン)が日常に普及することが考えられます。近い将来、IoT関連の需要が入居者の間で高まることは間違いなさそうです。

一方、『この設備がなければ決まらない』といった、やや残酷なデータも発表されています。

順位【単身者向け住宅】【ファミリー向け住宅】
1位室内洗濯機置き場室内洗濯機置き場
2位TVモニター付きインターフォン独立洗面台
3位インターネット無料追い焚き機能
4位独立洗面台TVモニター付きインターフォン
5位洗浄機能付き便座洗浄機能付き便座
同6位エントランスのオートロックインターネット無料
同6位備え付き照明システムキッチン
8位宅配ボックスガスコンロ(二口・三口)
9位ガスコンロ(二口・三口)エントランスのオートロック
10位浴室換気乾燥機備え付き照明
2020年人気設備ランキング『習慣全国賃貸住宅新聞』より

単身向け住宅、ファミリー向け住宅ともに『室内洗濯機置場』が必須の設備としてあげられています。これに関しては、衛生上の観点からも必要不可欠なのかもしれません。

単身世帯向けでは、『TVモニター付きインターフォン』『インターネット無料』が2位、3位にあがっていますが、2位の『TVモニター付きインターフォン』については、特に女性単身者のニーズが高いものだと考えられます。3位『インターネット無料』については、単身世帯では必要なWi-Fi環境の整備が求められています。単身世帯では、TVを設置していない部屋も多く、YouTubeやNetflixなどのサブスクリプションサービスの利用が目立つようです。

一方で、ファミリー世帯では2位、3位の『独立洗面台』『追い焚き機能』といった機能が求められます。2人以上で生活する以上は、必要不可欠な設備であることは間違いありません。逆に、『宅配ボックス』については、必要な設備ですが、必要不可欠な設備ではなさそうです。”宅配ボックスがあれば尚可”といったところでしょうか。

これらの表からもお分かりいただけるように、単身世帯とファミリー世帯では必要な設備、求められる設備が異なるということです。不動産投資のターゲットに対して、適切な設備が備わっているかどうかを把握して、必要であれば設備投資を検討します。

Price(賃料)の決定は出口戦略を見据えているか?

空室を埋めるため、高い入居率を維持するために賃料を下げることや入居条件を緩和するといった方法や常套手段ですが、不動産投資の出口戦略を考えた場合に、一概に優れた方法だとは言えません。

賃料の値下げは、不動産投資の利回りに直結します。つまり不動産価格が下落し『出口戦略』にも影響が出るということを意味します。賃料の値下げは最終手段だと理解しましょう。

賃料以外の部分で交渉するのであれば、例えば、敷金・礼金などの初期費用を安くしたり無料にする方法が考えられます。また、2~3ヶ月程度の家賃無料期間、フリーレントも賃料条件という意味では入居者にとって大きなメリットがあります。

一度下げた賃料を値上げするのは非常に難しい交渉になります。このカードは、自分たちの万策が尽きたときに使うものだと理解しておきましょう。

Promotion(広告宣伝)は2つのポイントを意識する

最後は広告宣伝についてです。入居者募集に関する広告は、投資家自身で出す広告、仲介会社が出す広告と様々ですが、この広告活動が極めて重要になってきます。

これまでの3つのP(Place、Product、Price)が上手く出来たとしても、最後の広告活動に失敗すれば全てが意味のないものになってしまいます。

広報活動については、問い合わせ、内見を増やすための広告と成約をするための広告です。

2つの広告を上手に使い分けて戦略を考える必要があります。広告については、別の機会に考えていきましょう。