不動産クラウドファンディング | 利回り何パーセントなら買いか!?
不動産クラウドファンディングの市場規模は2020年度で約1,840億円の市場規模を誇り、増えたり減ったりを繰り返しますが、今後も中長期的には伸びていくことが予想されています。
多くの不動産事業者が参入、テック系企業の参入も目立っており、今後も要注目のビジネスモデルです。
不動産クラウドファンディングとは
不動産クラウドファンディングとは、インターネットを通じて不動産投資事業に投資する人を募り、その資金で事業を運営し、配当を出資割合に応じて分配する仕組みです。
不動産クラウドファンディングは、不動産特定共同事業法に準拠しています。インターネットで申込みから出資金の入金まで完結できるクラウドファンディング形式と資料請求や申込みを郵送、面前で行う面前取引の2つのパターンがあります。
– | ラウドファンディング | 面前取引 |
---|---|---|
資料請求 | オンライン | オンラインまたは電話 |
申込み | オンライン | 面前または郵送 |
本人確認 | オンライン | 面前または郵送 |
振込 | オンライン | オンライン等 |
配当金確認 | オンライン | 郵送 |
書類受け取り | オンライン | 郵送 |
さらに、契約形態について主に2つのパターンがあります。
1つ目は匿名組合契約、2つ目は任意組合契約です。
匿名組合契約とは、一般的な商取引における契約形態です。事業者と出資者は1対1で契約を締結します。このため、出資者は他にどのような投資家が当該事業に対して出資しているのかを知りません。
不動産クラウドファンディングにおける匿名組合契約は、出資先の不動産を所有することはありません。当該、不動産投資事業に対して出資をすることになります。つまり、1対1の匿名組合契約が無数に存在します。
一方で任意組合契約は、出資者が共同で出資して事業を営むことを目的とした契約のことをいいます。任意組合契約については、出資先の財産は組合員の共有の財産になりますが、債務も組合員に帰属します。
任意組合契約の場合は、実際に不動産を所有するため、不動産クラウドファンディングの実務においては、不動産登記に関する手続きなども発生するため『手軽さ』という意味では、少し薄れてきます。
不動産クラウドファンディングの特徴について
不動産クラウドファンディングの特徴は具体的にどのようなものがあるのかをチェックしていきましょう。
元々、不動産投資は投資のカテゴリ中でも1、2を争う知名度を誇る人気の投資商品です。
現在、新たな投資先として注目を集めている理由は、不動産投資という敷居が高い投資に対して、クラウドファンディングのシステムを活用することで、そのハードルを下げたことにあります。
不動産クラウドファンディングであれば、1万から不動産投資を始めることができます。そのため、不動産投資には興味関心があるが「一度に大きな金額を投資するようなリスクは負えない」「金融機関からの借り入れはしたくない」「賃貸管理の事業ができない」といった理由によって敬遠していた層を見事に取り込んだのです。
他にも、賃貸経営に関わる業務を行う必要がない点、事業の安定性、相場の変動が少ないといった特徴を挙げることができます。
このような特徴をメリットとして感じる一般投資家が非常に多く、ファンドによっては、発売後数分で完売するような商品も数多くあるのです。
全ての不動産クラウドファンディングが優れているとは限らないのでご注意を
不動産クラウドファンディングの特徴について説明させていただきましたが、全ての不動産クラウドファンディングが優れているわけではありません。優れた商品もある反面、見劣りする商品も実際にはあります。
その見分け方は複雑ですが、一般の投資家が考え方の一つの指標として判断できる材料として挙げられるのが『利回り』です。
「利回りは高ければいい」という考え方は少し安直すぎると私は思います。一般的な考え方として利回りが高いということはその分リスクが高いことを理解しておかなければなりません。
【(年間家賃収入÷物件価格)×100】が利回りの計算方法になります。
家賃収入に関しては、既に定まっているものですので、購入時に交渉することは難しいです。ただ、物件価格に関しては、交渉次第で動かすことが可能ですので、この部分の交渉次第では同一条件の投資先でも利回りを高くすることが可能であるとも同時に知っておきましょう。
ここで申し上げておきたいことは、事業者の商品仕入れ能力によって組成するファンドの利回りは変動するということです。
1%前後の利回りの違いについては、その事業者の不動産仕入れ能力の違いである可能性も十分考えられます。その点を判断するために、当該事業者が不動産特定共同事業以外にも不動産売買事業を行っているかなどをチェックし、日頃からの不動産仕入れルートが確立されているかを把握してみてはいかがでしょうか。
地方の不動産をファンド組成している場合は狙い目!?
多くの不動産クラウドファンディングをチェックしていると、その多くは都心部やそのベットタウン、地方の中核都市の不動産を組成したファンドが中心となっています。
地方の不動産が少ないのは、なんと言っても空室リスクです。
物件価格を安く購入できるというメリットはありますが、一度空室が出てしまえば、都心の物件よりも入居者を見つけるのが難しいため、多くの事業者は二の足を踏んでしまいます。ただ、タイミングよく入居者が決まってしまえば、すぐに退去することは考えにくいです。しばらくは安定した稼働が見込まれます。テナントであればなおさらです。
さらに、マスターリースを締結しているようであれば、利回りも高く、賃料収入も保証されているため、投資家にとっては非常にオイシイ投資先になるのです。
そういったクラウドファンディングが存在するのであれば、運用期間を確認した上でぜひ投資をしてみて下さい。
都心の物件を組成した2%-5%の不動産クラウドファンディングよりも、地方の7%-9%前後の物件の方が魅力的だと私は思います。ただし、マスターリースが付いていることが条件になりますが。。。
理想の利回りは何%なの!?
「何%の利回りなら買いなのか」とよく聞かれますが、それは「状況による」としか答えようがありません。
一般的な投資商品であれば『リスクとリターンはトレードオフである』と言われるように、リスクが高ければその分利回りも高くなります。3%、5%、7%といった形でロー、ミドル、ハイとリスク分散されます。
これらの数字を基準に考えながら、投資先の不動産の所在地、事業者の仕入れ力、マスターリースの有無などを確認しながら、総合的に判断してみて下さい。
不動産クラウドファンディングの場合、都心やベットタウン周辺であれば5%前後、地方の物件であれば8%前後ではないでしょうか。ただし、地方のファンドはマスターリースが条件で、それが有れば、かなりの高確率でお宝ファンドだと考えています。