不動産クラウドファンディングの契約形態について~匿名組合契約と任意組合契約とは?~
今話題の投資商品として真っ先に挙げられるのが、不動産クラウドファンディングではないでしょうか。
インターネット上では多くの不動産クラウドファンディングが出回っていますが「どのファンドがどのような目的を果たすために作られているのか」について理解するのは難しいのではないでしょうか。
最近では、投資商品を選ぶ時の選択肢の一つとして、不動産クラウドファンディングが何かと注目を集めていますが、そもそも不動産クラウドファンディングにはどのような契約形態があり、それぞれどういった特徴があるのか。
今回は、『不動産クラウドファンディングとその契約形態について』考えていきたいと思います。
それでは解説していきます。
不動産クラウドファンディングにかかる税金の種類
不動産クラウドクラウドファンディングの取引によって発生する税金はその契約の種類によって大きく異なります。
具体的には、不動産クラウドファンディングでは主に2種類の契約形態が存在し『匿名組合契約』『任意組合契約』のいずれかを締結します。
匿名組合契約の場合、配当金の部類は「雑所得」になりますので、かかる税金は所得税になります。
任意組合契約の場合は、少し複雑です。
任意組合契約とは、不動産クラウドファンディング事業者と共同で不動産を所有(これを共有持分という)し運用します。事業者を含む投資家の中から、数名が委任されて不動産取引に直接携わり、出資比率に応じた収益を組合員に分配するというスキームです。
つまり、任意組合型の不動産クラウドファンディングに出資した投資家は、実際に不動産を所有することになりますので、事業の運営上の収入(不動産所得)にかかる所得税に加えて、固定資産税や都市計画税などの税金がかかります。
なお、匿名組合契約、任意組合契約共に、投資による分配金には所得税がかかり、その税率は20.42%です。
最低出資金額・運用期間・利回りはどう違うのか?
匿名組合契約と任意組合契約では、組成されたファンドの中身が大きく異なります。
最低出資金額を比較すると、匿名組合型のファンドでは、1万円~や10万円~といった具合に少額から投資できる点を売り文句にしています。一方で、任意組合型の商品の場合、一口100万円以上の出資金が必要なファンドがほとんどです。中には、500万円や1,000万円といった金額を最低出資金額に設定しているケースもあります。これは、不動産を所有するという意味では合理的な金額設定なのだと思います。
運用期間についてはどうでしょう。様々な不動産クラウドファンディング商品をチェックしてみると、匿名組合型の場合は、運用期間を12か月に設定しているファンドが目立ちます。なかには、6ヶ月といった短期運用の商品もあります。運用期間を長めに設定しているファンドでも3年くらいで、その場合でも感覚的には「少し長いな~」といった印象を受けてしまいます。一方で任意組合契約の場合、長期投資であることが前提です。運用期間は5年・10年・15年といった期間で、任意組合契約では、ほぼあり得ないような長期投資になります。
利回りについてです。利回りは匿名組合型は3%~6%台後半あたりが一般的な利回りになりますが、任意組合型ではこのような高利回りは期待できません。2%台の商品も数多く存在します。
匿名組合型と任意組合型では投資の目的が異なる点に注意しよう
不動産クラウドファンディングにおける匿名組合契約と任意組合契約では、投資ならびに投資家の目的が大きく異なります。
匿名組合契約の場合、投資対象が不動産投資事業そのものになります。言い換えると事業者に投資するということになります。運用期間は1年のような短期であることが多く、多くの投資家は資産運用を目的として投資をします。
任意組合契約の場合は、より不動産投資に近い契約形態になります。任意組合型の不動産クラウドファンディングに出資する人の多くは、資産運用目的ではなく、節税目的で投資するケースがほとんどです。
事業者と投資家は不動産を共同所有する形式をとるため、現金を不動産に転嫁し節税が見込めます。
目的に合った投資商品を選択することが重要です
不動産クラウドファンディングや面前型の不動産小口化商品に出資を検討している方は、ご自身がどのタイプの商品に対して投資を検討しているのかを改めて確認しましょう。
これまでお伝えしてきたことを纏めると、収入の柱を増やしたい人、高い利回りで配当を受け取りたい人などは匿名組合型の不動産クラウドファンディング、不動産を所有することで資産を圧縮し節税対策をしたい人は任意組合型の不動産クラウドファンディングへの出資が望ましいということになります。
もしあなたが「配当によって収入の柱を作りお金を増やしたい」のにも関わらず、任意組合型の不動産クラウドファンディングを選択したのであれば、それは正しい選択とは言えません。他の不動産クラウドファンディング事業者の商品と比較することをおすすめします。
何のために投資をしたいのか?資産運用が目的なのか?節税対策が目的なのか?
目的に応じて、最適な投資商品を選択することが不動産クラウドファンディングへの投資では重要になってくるのです。