不動産クラウドファンディングの利回りと現金の流動性について比較考察しました

不動産クラウドファンディングへの出資を検討される際にあなたは何を思うのでしょう。

多くの方が着目するのは、やはり、その『利回りについて』ではないでしょうか。

「そのファンドに自らの現金を出資して問題ないのだろうか」

「現金を出資することでいくら増えるのだろうか」

「出資しないで貯金をしていた方がいいのではないだろうか」

様々な不安が多くの頭の中をよぎります。

ということで「利回りと現金の流動性」について考えていきましょう。

利回りの定義は”報酬”である

利回りの定義は”報酬”である

不動産クラウドファンディングにおける『利回り』とは、微妙なニュアンスこと違えど、言い換えれば『金利』と同義ということになります。

一般的には、金利と表現した方が分かり易いのかもしれませんが、投資家がその利回りを受け入れる判断基準は『時間と流動性』だと私は考えています。

ここで言う『時間』とは、どれくらいの期間において、消費を我慢し、どれくらいの期間において将来の消費のために役立てるのかに関する決断になります。

『流動性』については、将来の消費に役立つもの(現金やそれに該当するもの)をどのような状態で保有するかということになります。

あなたが、現金をいつでも自由に使うことができる状態、つまり流動性のある状態で手元に置いておきたいか、一定期間、手元から離してもいいかということが、不動産クラウドファンディング(株や債券などの投資も同様)に対しての投資判断の基準になります。

ここまで来ると、何となくご理解いただけたかと思いますが『利回り』とは、一定期間だけ流動性を放棄する代わりに得ることができる報酬ということになり、その数値の大小は、「その流動性を放棄することをどの程度嫌がるか」という指標になるのです。

多くの人が流動性を選好する理由

多くの人が流動性を選好する理由

一度、考えてみたいのは「なぜ多くの人が流動性を選好しその報酬を放棄するのだろうか」ということです。

繰り返しますが、利回りとは『現金の流動性を放棄する代わりに得ることができる報酬』です。

不動産クラウドファンディングにおいても同様です。リスクは最小限にとどめられていて、頭では理解できていたとしても、最終的な投資の決断が出来ずにいる人が多くいます。

この点については、私たちのお金の使い道と深い関係があると考えています。

お金の使い道は大きく分けて2通りです。

一つ目は、現在の事業取引のために使われる場合です。これについては、シンプルですが、利息というインセンティブを放棄してでも資金の流動性を保っておくということです。私は”事業取引”と書かせていただきましたが、個人や家庭のお金に置き換えていただいても似たようなことが言えます。俗に言う「不測の事態に備える」ということです。インセンティブを放棄する代わりに、流動性の利便性と得るということです。

二つ目は、富の蓄積として使われる場合になります。つまり現預金として保有しておくということです。金利がマイナスになることはありませんが、どうして多くの人は”ゼロ金利”の状態で現金を持ちたがるのでしょう。これには心理的な要素が多く関わっていて、将来の利回り対する不安から来るものがほとんどです。

不動産クラウドファンディングを例に出しますが、もしあなたが、将来に渡りその運用利回りを確実に得ることができるのが確信できるのなら、富の蓄積手段としては、現金で持つのではなく、不動産クラウドファンディングへの投資ということになるはずです。

でも実際は違います。なぜなら、確定利回り商品ではないからです。これにより、多くの人は将来の不安を払拭するために、現預金という流動性の選考に走るのです。

「儲かるのは分かっているんだけど、今回は止めておこうかな」

このようなセリフは幾度となく聞いてきました。あなたも、似たようなセリフを一度は耳にしたことがあると思います。

これらは全て、将来の不安から来る言葉と流動性選好になります。

流動性選好の落とし穴とは!?

流動性選好の落とし穴とは!?

これまで、利回りの定義と人々が流動性選好をするのかについて記述してきましたが、流動性選好のリスク、つまり資産の大部分を現預金で持つことのリスクについても考えていきましょう。

資産の大部分を現金で持つことには3つのリスクがあることを忘れてはいけません。

1つ目は、インカムリターンがないこと(極端に小さいこと)です。

2021年7月現在の数値ですが、普通預金の金利は0.001%、定期預金の金利は0.002%と実質ゼロ金利です。現金を預金口座に預けておくことで流動性は担保される反面、不動産クラウドファンディングなどに出資する際に得られるようなインカムリターンは期待できません。ですので、継続的に貯金を続けていても元金以上の運用はできず、他人と比べて大きな差が出てしまうということを知っておく必要があるのです。

2つ目は、インフレに弱いということです。

例えば、5年後に物価が10%上昇したと仮定します。現時点で100である物価は、5年後には110になります。しかし、現時点で100ある預金は、5年後も100のままです。この状態では、現時点で100出せば購入できるモノも5年後には買えなくなってしまい、お金の価値は相対的に下がってしまうことを意味します。

「多くの人は将来の不安を払拭するために、現預金という流動性の選考に走る」とお伝えしましたが、これは、配当の不確実性のみならず、出資元金の毀損も含まれています。ですが、インフレによる相対的な価値の現象は、元金の毀損と同じ意味を持つということで、そういった意味での対策も考慮しなければならないのです。

3つ目は、分散投資効果が得られないというリスクになります。

分散投資効果とは、投資商品の相場が上がったり下がったりする中で、そのリスクやリターンを分散することで平均的に高めていこうという考え方に基づきます。

預金一辺倒に陥ると、分散投資による効果を得ることができず、大きな機会ロスに陥る羽目になります。

不動産クラウドファンディングで解消できるリスクがある

不動産クラウドファンディングで解消できるリスクがある

不動産クラウドファンディングには、様々なリスクを解消できる理由があります。

特に、多くの人が「預金」「債券」「株式」といった投資手法に加えて、不動産投資や不動産クラウドファンディングを選択するのには訳があるのです。

それは『インカムリータンの大きさ』と『インフレヘッジ』です。

現金や流動性の高い商品と比較しての特徴的な強みがこれらになります。

そして、現物不動産投資の場合は、金融機関からの借り入れや高額投資という意味で違ったリスクが存在します。さらに、管理や運用といった実務的な手間がかかる点において、誰でも始めることが出来る投資とは言い難い部分があります。

その反面、不動産クラウドファンディングでは、不動産投資のメリットを継承しつつ、そのリスクや手間を解消できるという意味で多くの投資家にとって最適な商品となっているのです。