高齢者の賃貸ニーズの高騰と賃貸管理会社の役割

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少子高齢化社会の問題は、不動産に携わる人にとって多くの課題があります。

今回は、高齢期のくらしの動向、現役世代の持ち家比率の動向を紐解きながら、考えられるリスクと、私たち賃貸管理会社が対応すべきことをまとめてみました。

賃貸経営者にとっても避けては通れない課題ですので、ぜひ一緒に考えてみて下さい。

1 高齢者の孤独死は年々増えている

内閣府より公表されているデータをグラフにしてみました。これらのデータを、一つずつ確認していきたいと思います。

1-1 自宅内での死亡者数について

東京都福祉保健局東京都監察医務院よりデータ参照

東京都23区のデータになりますが、一人暮らしで65歳以上の自宅での死亡者数の推移を示すグラフです。これを見ると、数値が年々増加していることがお分かりいただけると思います。

このほとんどが、いわゆる「孤独死」だと推測されます。

このような状況は、賃貸経営をされている人にとって、決して他人事ではありません。

孤独死として発見された場合、その物件は「事故物件扱い」となり、その発見状況によっては多額の清掃費用がかかります。さらに、その物件自体が事故物件扱いとなり、賃料にも影響が出ます。

孤独死が自然死であると解釈されたり、心理的瑕疵に該当するかどうかはケースバイケースです。また業界の慣例と実際の判例は別問題として考える必要があります。さらに、孤独死における心理的瑕疵に関して告知義務という観点においては明確な基準がありません。

孤独死問題は、賃貸経営において一定のリスクが伴いますので対策が必要になるでしょう。

1-2 自宅内での自殺者数について

一方で60歳以上の自殺者の数は10年で30%弱減っています。

厚労省・警察庁「平成29年中における自殺者の状況」よりデータ参照

賃貸経営の視点で見ると、自殺者が減っていることは非常によい傾向です。

部屋の中または建物で自殺があった物件は、以降事故物件扱いになります。賃料も大幅に下げる必要がありますし、入居者にとっても心理的瑕疵のハードルがぐっと上がります。(*自然死は気にならないが、自殺はちょっと・・・という人は多いです)

賃貸管理会社の仕事として「入居者の管理」がありますが、定期的な物件確認の際に、通りすがりに世間話や挨拶などのコミュニケーションを取り、社会との接点を持たすことが大切かもしれません。

管理会社によっては、サービスの一環として定期巡回時に高齢者宅に訪問し、積極的にコミュニケーションを取っている会社も実際にあります。

2 高齢者の住宅環境について

高齢者の住宅環境はどのようになっているのでしょうか?

2-1 高齢者の住宅状況

総務省統計局「住宅・土地統計調査」(平成25年)よりデータ参照

総務省統計局のデータを参照してグラフ化してみました。すると、「高齢者のいる主世帯」では8割以上が、持ち家に居住していることが分かります。さらに詳しく見てみると、「高齢者のいる主世帯」のうち、「夫婦のみ」または「高齢者のいるその他の主世帯」が持ち家比率を引き上げる要因となっていますが、「高齢者単身世帯」になると、持ち家比率が約20ポイント程落ちているのがわかります。

このことから、「夫婦の死別」などで単身者となった高齢者は、持ち家の売却等資産整理をし、賃貸住宅に移り住む傾向が強いということが考えれれます。

数値が顕著に動いている点からも、「実際に持ち家に住んでいるが、持ち家を整理し賃貸住宅に移り住みたい」という潜在的なニーズはさらに高くなると考えられます。

2-2 現役世代の持ち家比率は低下している

一方、現役世代の持ち家比率を世代別・年代別に見てみると各世代ともに持ち家比率の減少が目立ちます。特に、40歳代、30歳代は顕著に減少していて、将来の高齢者単身賃貸世帯の予備軍です。(親の住宅を相続するケースもちろんあります)

総務省統計局-世帯の居住状況とその推移-よりデータ参照

グラフを見ると、60代を除く全ての世代が年代の経過とともに持ち家比率を下げています。特に40代、30代はその傾向が顕著に現れています。

このような結果からも、将来高齢者世帯の賃貸住宅は益々高まると推測します。

3 入居者の管理がしっかりできる管理会社が選ばれる時代に

今後、ますます高齢者の賃貸住宅への依存が高まる状況下では、賃貸経営者の対応も変化に迫られています。

今までは、高齢者単身世帯の入居を避ける物件も数多く見られましたが、これからはそのような事も言ってられなくなり、状況も一変するでしょう。

3-1 単身高齢者世帯のリスクとどのように向き合うか

冒頭でお伝えした通り、高齢化社会に伴い自宅での死亡者数は年々増加しています。賃貸経営においては、自然死とはいえとてもリスクが高い状況です。

孤独死や死後なかなか発見されないといった状況を防ぐためにも、管理会社は賃貸経営者と連携を取りながら入居者の管理をしっかり行なう必要があります。

賃貸経営における高齢者世帯メリットとして、一度入居すると長期間に渡り居住する傾向があり、収益面では非常に安定します。

3-2 管理会社の定期巡回が鍵となる

高齢化社会における管理会社の果たす役割は、非常に大きなものになると考えています。特に定期巡回をしっかり行う管理会社を選ぶべきです。

定期巡回には、共用部の清掃やゴミの撤去などの他にも入居者とのコミュニケーションという大きな役割があります。

定期的にコミュニケーションを取ることで入居者の異変、外から見た部屋の雰囲気の変化にいち早く察知することができ、連絡を取ったりすることもできます。

逆に、定期巡回をほとんど行わず、何かあった時だけ対処するような管理会社では、異変や雰囲気の変化に気づくことは不可能です。

そのような場合は、物件の管理や定期巡回をきちんと行っている管理会社への変更をするべきです。

3-3 様々な見守りサービスの活用も効果あり

高齢者の入居者に対して、プライバシーを配慮した「見守りサービス」も普及しています。

大手警備会社のホームセキュリティサービス、朝起きたら電話で天気予報を聞くだけのサービス、スマートホームの活用など様々な「高齢者見守りサービス」が展開されています。

このようなサービスを活用することで、入居者のプライバシーに配慮しつつ監視できるので、非常に有効です。

最後に

超高齢化社会におけるトラブルに対して、過敏になる必要はありません。きちんとした管理会社と連携を取りながら、基本的な管理を実施していくことで安定した賃貸経営が実現できると考えています。