『東京離れ』が進んでいる事について私が思うこと

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政府ならびに東京都は、企業のテレワーク導入を要請していて、いわゆる「テレワーク7割の推進」が経済界に対してされているところです。

実際に、東京都では、支給率を100%としたテレワーク助成金を受け付けることで、中小企業のDX化や業務のオンライン化を推奨して、通勤ラッシュの緩和による『三密を避ける』試みがされています。

皮肉にも、テレワークや在宅勤務が普及するに比例して、都内で生活することに疑問を感じている人が増えてきているようです。

この件については賛否両論ありますが、実際どうなのかを一度考えてみたいと思います。

東京離れが進んでいる!?

実際にテレビやネットニュース、YouTubeなどを見ていると、『東京離れ』『田舎暮らし』『2拠点生活』といったキャッチーな言葉をよく目にします。

このようなキーワードは非常に耳障りのいいものです。事実、若者を中心にサブスク型のコリビングサービスを利用している人が増えてきています。

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テレワークの普及で通勤が不要になり、職住近接であることのメリットが薄れてくるわけです。今までは、「通勤時間に時間をかけることが無駄である」ような風潮がありましたが、テレワークが普及することで「都心に高い家賃で狭い部屋に住む必要がない」という考え方が出始めるのも事実です。

さらに、地方や田舎にはのんびりとした雰囲気があり、リラックスした雰囲気で生活することができ、精神的にも安定するのではないでしょうか。

地方で暮らすことのリスク

これまで、テレワークが普及することで都心に暮らすことのデメリットについて色々述べてきましたが、『地方で暮らすことのリスク』についてもしっかりと考慮しなければいけません。

ここでは『仕事面の問題』と『周辺環境』『地方自治体の財政状況』について考えていきたいと思います。

仕事はあるか?

これまで、地方や田舎暮らしのメリットをお伝えしてきましたが、それはあくまで定職に就くことができて安定した収入があることが前提になります。

当然ですが、地方に行けば行くほど求人数も減ってきます。あなたが希望するような仕事があるかどうかもわかりません。

田舎暮らしを満喫しながらテレワークで働くというのは、仕事があることが前提となります。完全テレワークであればまだしも、定期的に出社することが義務付けられている会社であれば、田舎暮らしは現実的ではないのかもしれません。

現実的に考えて、田舎暮らしが可能な人は、完全テレワーク化が成立する会社に努めている会社員かフリーランスになるでしょう。もしくは、そのような仕組みが作ることができる人になるのではないでしょうか。

周辺環境に応じた生活が可能か?

実際に地方や田舎に生活すると、周辺数km以内にスーパーやコンビニ、ドラッグストアなどの生活必需品を販売している店舗が存在しない地域も珍しくありません。

最初は、「周囲が騒がしくなく夜も静かでいい」と感じるかもしれませんが、段々と不便を感じてきます。徒歩圏内に”何もない”ことはそれはそれで不自由です。

私の知人がこのような話をしていました。

知人の田舎は四国のとある田舎町。

本人は社会人になり上京しそれ以来、東京で暮らしていますが、母親は田舎で暮らしています。

近所には何もなく、近くのスーパーまでは通常なら歩いて20分程度。高齢になった母親は車を運転するわけでもなく、徒歩で片道30分以上の道のりを往復しているそうだ。

当然、体力的にも厳しいものがあり、頻繁に買い物に出かけることはできない。食材を買うのも老体にとっては一日がかりのお仕事だ。

今の時代、スマホを使えば、ネットスーパーやAmazonなどで簡単に食品や日用品を手にすることができる。が、母はスマホはおろかパソコンを使うことができない。。。

息子は、休暇を利用して定期的に様子を見に帰省するようだが、その自宅には、災害用の備蓄食材のような量の保存食が山のようにあるという。

帰省しての最初の仕事は、賞味期限切れの食材を廃棄する作業であるとのこと。

ダンボールにして実に8箱くらいになるというから驚きだ。

母も高齢になり、このような周辺環境での生活は年々厳しくなるとので、東京に呼び寄せることを決めたようだ。

都内在住の息子と地方在住の母親のはなし

このように、田舎暮らしは高齢者にとっては非常に厳しいものになります。”何もないこと”が仇となり、不自由な生活を強いられているのです。

そういった意味では、東京は日本一高齢者に優しい街だと言えるでしょう。

自治体の財政状況はどうか

地方や田舎に暮らす上で、確認をしなければならないのは、その地域の自治体の財政状況です。

基本的にその地域に暮らす人や会社の税収によって、その自治体は運営されているわけですが、税収が少なければ公共事業等も縮小され、生活インフラ、バリアフリー等も充実してきません。

また、地域によって住民税が若干変わってきます。基本的にはほぼ一律ですが、その辺りも把握しておいてもいいかもしれません。

まあ、正直言って、田舎暮らしをするのであればその辺りは期待しない方がいいかもしれません。

高齢者が住みやすい街東京

東京と言えば、若者の街、高校を卒業したら上京して夢を叶える街、といったイメージがありますが、実は高齢者にとって非常に住みやすい街なのではないかと思いました。

西東京の外れの地域を除けば、徒歩圏内に何でも揃っています。住まいや駅、公共機関においてもバリアフリー対応しているところが非常に多く、高齢者にとっては非常に住みやすい街なのではないでしょうか。

なので、先程の例を含めて、今後も高齢者の転入は増え続けるでしょう。

人口動態から見る人口の変化と高齢者の割合

 国立社会保障・人口問題研究所の人口動態統計を見てみると、2015年からの30年間で人口は約2000万人減るという予想が出ています。人口の上位5都府県、下位5県を図にしていますが、東京都以外の地域は全て減少する予想になっています。

2015年と2045年の人口(上位5位・下位5位)

また、下の図は2045年における75歳以上の人口の割合を示していますが、割合で言えば東京は再開位です。ただし人数は約227万人と人口が多いだけに最も多い地域になります。

2045年の75歳以上の人口の割合

統計上のデータから見ても、東京に人口が集中し、若者・高齢者ともに転入してくることは間違いなさそうです。ただし、このデータはテレワークが普及し出す前に発表されたデータであることを前提に考える必要があり、多少の誤差は出てくるでしょう。

若者の転出、高齢者の転入の動きは考えられる

今後、東京は高齢者にとって魅力的な街になり、地方は若者にとって魅力的な街になるのかもしれません。地方に魅力を感じる若者については、基本的にUターンになると思います。

一度は東京に転入し、あるタイミングで地方に回帰する。このような流れになるでしょう。

とはいえ、これは”仕事ありき”の話であって、現実的に勤め人が圧倒的多数を占めますから、企業の働き方に対するスタンスによって大きく状況は変化するでしょう。

『東京離れ』は進まない

本記事のタイトルが”『東京離れ』が進んでいる事について私が思うこと”ですので、私の所見をお伝えしますと、そんな事はないということです。

これは、人口全体の話になりますが、仮に若者世代の離れが多少進んでも、それは”アーリーアダプター層”に限定されますし、一般的に普及することは考えにくいと思います。

また、高齢者の転入はかなり期待できると思っていますので、総じて『東京離れ』は考えにくいでしょう。

このようなキーワードは、バズりやすい部分もあるので、そういった側面でも頻繁に出てくるのではないかと斜に構えて見ています。

人口は経済圏と密接に関連しています。東京(首都圏)のGDPは世界1位です。都市別に見ても2位のニューヨークを抑えて1位に輝いています。それだけ、日本の経済は東京に集中していて、今後もしばらく東京離れはおきないと私は考えています。