不動産小口投資とは?不動産投資との違いについて解説します

不動産投資において新たな選択肢として注目を集めているのが、不動産特定共同事業の『不動産小口投資』です。不動産小口投資と聞いて、ピンとこない方も多いと思います。

実際、不動産特定共同事業については、不動産投資の長い歴史の中においても、比較的新しい分野にあたります。事実、不動産や金融に携わるような職業の方でも知らない方が多いのが実情です。

今回は、不動産特定共同事業とは何か、不動産小口投資について、不動産投資やJ-REITとの違いについて、紹介していきたいと思います。

まずは不動産特定共同事業について知る

そもそも、不動産特定共同事業とは何なのでしょうか。

不動産特定共同事業を噛砕いて説明すると、不動産に対して特定の人共同に出資して不動産投資事業を行うことです。

このマガジンを読んでいただいたり、多方面で不動産投資について色々と勉強されている方であれば、何となく意味を理解できるかと思います。そして、勘の鋭い方であれば、不動産投資固有のリスクやデメリットなどを解消できるのではないか、とお考えになったのではないでしょうか。

不動産特定共同事業は不動産投資を細分化する

不動産特定共同事業は、投資用不動産を資金的に分割して販売することになります。

具体的には、例えば3,000万円の投資用不動産があった場合、それを一口10万円、100万円といった具合に小口化します。商品には、想定利回りが設定されていますので、投資金額に対して、その利回りが支払われる予定になります。

もし、私が一口100万円、利回り5%の不動産小口化投資に100万円出資した場合は、その出資額に応じた配当金が振り込まれます。この場合は、年間5万円になります。

投資額を細分化するので、その分リスクも細分化される

もし、あなたが3,000万円の不動産を不動産投資として自己資金(金融機関の融資)で購入した場合を想像してみて下さい。

そこには、様々なリスクが待ち構えています。

満室の状況が未来永劫続けば、リターンも十分期待できますが、空室リスクは常に付きまといます。入居率が想定よりも低い場合は、金融機関への返済も大きな負担になるでしょう。最悪の場合、家賃収入から賄えなくなり、自分自身の貯金を切り崩しながら返済をしていくことになりかねません。他にも、自然災害や近隣のクレーム、設備の故障等のリスクも考えられます。

不動産投資を始める際に表面利回りを確認して、それを一つの指標とするわけですが、いざ運営してみると、思う様に利益が出なかったということはよくある話なのです。

ですが、不動産特定共同事業の不動産小口投資では、不動産の所有、管理は事業者の役割になりますので、多少利回りが低くなるとはいえ、その点の心配は一切はありません。

比較的、手堅い不動産投資として、今注目を集めているのはそういった意味もあります。

投資商品として販売するため事業者側も慎重になる

さらに、これは事業者側の視点でお話をしますが、不動産小口投資商品として販売する以上、事業者側としては、元本を毀損しないように、配当を予定通りきちんと支払うように細心の注意を払うわけです。

その理由はとてもシンプルで『投資家の信頼を損なわないため』です。

一度、元本を毀損してしまったり、配当が予定通り支払われなかったりしたら、その事業者の評判は地に落ちてしまいます。

ですので、そのようなことがないように、出資金をきちんと守るための策を講じているケースが多いです。

まず、不動産の選定から始まります。きちんと収益が確保できるような不動産を選定し投資商品を組成します。

次に、事業者側も不動産小口商品に出資をします。これを劣後出資と言いますが、万が一、不動産の評価額が下がったとしても、その評価下落分については、事業者出資、即ち、劣後出資分から消化していくことになるのです。

さらに、家賃保証を付けることで、いかなる状況においても賃料が入ってくる状態にしておきます。

他にも、保証会社などと提携をすることで、万が一、事業者が倒産した場合でも不動産を購入してもらい出資者を保護するような仕組みを用意しておくような契約をしていたりするのです。

不動産特定共同事業の不動産小口商品を詳しく紐解いて見ると、設定されている利回り以上に、保証や対策が手厚く取られている商品が多く、中には『元本保証・配当保証』との違いを説明できないような商品も多くみられるのです。

それが、ローリスク・ミドルリターンだと言われ、今注目を集めている理由なのです。

不動産投資と不動産小口投資の違い

不動産投資と不動産小口投資の違いについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

これまでの説明を聞いた限りでは、不動産投資には全くメリットを感じられないと思われる投資家が多数ではないかと思います。もちろん、不動産投資にもメリットは数多く存在します。少し、不動産投資を軸に探っていきたいと思います。

不動産投資のメリットとは?

私が思うに、不動産小口投資を並べて比較した場合、不動産投資のメリットは『自分で全て決められる』ということだと考えています。

これは、リスクとリターンのトレードオフの話にもなるわけですが、不動産投資では、投資する(所有する)不動産を自分自身で選ぶことができます。不動産小口商品として販売されているアイテムの数よりも、国内で販売されている不動産の数の方が圧倒的に多いわけで、その中からあなた自身が予算の範囲内で自由に好きな不動産を選択することが可能なのです。

投資家によって、投資の目的は様々だと言われています。

資産を増やすために不動産投資をする人もいれば、節税対策のために不動産投資を始める投資家もいます。資産を増やしたい投資家の中でも、インカム型の収入を期待している投資家もいれば、売却益を狙うような投資家もいるのです。

このように、投資家のタイプに応じた不動産を選択して自分自身のペースで運用できるのが、不動産投資の最大の魅力なのです。

不動産小口投資のメリットとは?

一方で、不動産小口投資のメリットは、事業者の様々なリスクヘッジ施策の恩恵を受けながら、プロが運営する不動産投資事業に対して出資ができるという点になります。

投資用不動産が持つポテンシャルを投資の恩恵として最大限受けることはできませんが、それでも、一定の割合で手堅く資産を増やしていきたいという方にとっては、非常に興味深い商品だと思います。

最近では、銀行にお金を預けていても全く増えない時代です。投資に回すことができる金額は人ぞれぞれ違いますし、リターンも大した金額にはならないでしょう。

そういう人は、少しずつでも構わないので始めることが大切です。少しずつ投資した金額がやがて100万になり、500万円になり、1000万円となります。一定額は貯金した方がいいといった説もありますが、不動産小口商品のようなリスクの低い商品に少しずつでもお金を回すことは、貯金と同義だと私は考えています。

リスクを背負いながら事業としてやっていくのが不動産投資

不動産投資と不動産小口投資についての違いをまとめましょう。

それぞれを一言で表現すると、不動産投資は『事業』で不動産小口投資は『積立』ということになります。

今後の資産形成や働き方を真剣に考えていく中で、あなた自身がどのような生き方を望んでいるかによっても、投資先は大きく変わってくるのではないでしょうか。

私の意見で大変恐縮ですが、不動産投資を事業として捉えている方、事業として大きくしていきたいと考えている方は、ぜひ投資用不動産を購入して不動産投資を始めていただきたいと考えています。

不動産投資に興味を持たれている方の多くはサラリーマンの方だと思います。

不動産投資を始めることで事業の基盤を作り、ゆくゆくは、退職して財を成す。

このような方は、不動産投資事業を選択するべきだと私は考えています。

しかし、サラリーマンを続けながら、老後資金の準備や投資による収入の柱を作りたい。このようにお考えの方であれば、不動産小口投資を選択するのが望ましいと思います。

どちらも、正しい情報と知識によって投資をすれば、きちんと利益を上げることは可能です。あなたにとって最適な投資はどちらなのか?流行り廃りで判断するのではなく、自分自身の視点で判断することをおすすめします。