何がどう変わる?現行NISAとの違いは?『新NISA』について徹底解説!!
前回、解説をさせていただいた『NISA』は、非課税投資期間が2023年までとなっていて、それ以降は非課税投資としてサービスを利用することができません。
これから新たに投資を始める方や投資条件を満たす方は、2024年からサービス移行する『新NISA』についても知っておくとよいでしょう。
ここでは、現行NISAとの違い、変更点などについて重点的に確認していきたいと思います。
NISAとは?
現行のNISAはどのような仕組みでしょうか?
まとめると、年間120万円の投資枠で得た利益を5年間非課税にする制度であり「国が税金の徴収を5年間免除してまで、投資活動を活性化させたい」というメッセージだと解釈することもできます。
『NISA』についての詳細は以前も記事にまとめてありますのでご確認下さい。
現状『NISA』における、非課税運用期間は2023年までとなっています。以降の運用については、『新NISA』に移行されます。
『新NISA』については少し複雑な制度となります。まずは『現行NISA』について整理していきましょう。
3つの種類がある
『現行NISA』には大きく3つの種類があります。
1つ目は、「一般NISA」です。
「一般NISA」は、2014年からスタートした個人投資家の資産形成をサポートするための制度で、20歳以上で、NISA口座を持っていない人であれば誰でも口座を開設することが可能です。
2つ目は、「つみたてNISA」です。
「つみたてNISA」は2018年にスタートした制度で、非課税枠が40万円までしかありません。いっけん「一般NISA」と比べて非課税枠も少なく、税制度における恩恵も少なく感じますが、最長で20年間、合計800万円が投資利益の非課税枠になります。
長期的にじっくりコツコツ投資をしたい人にオススメです。
3つ目は、「ジュニアNISA」です。
「ジュニアNISA」とはその名の通り、未成年者でも口座開設することができる商品です。非課税枠は80万円で、最長5年の非課税期間が付与されます。
口座の引き出しは18歳以上でないと行えないなどの制約も多く、学資保険のような役割も期待されていましたが、実際にそこまで普及していません。2023年に終了予定で、以降サービスの継続はされないことになっています。
新NISAとは
では「新NISA」とはどのようなサービスなのでしょうか?「現行NISA」と比較して少し複雑な制度設計です。
新NISAの制度を理解することで、さらに効率のいい資産運用を実現することができます。
2024年からスタートする新たなNISA
『新NISA』は現行NISAのサービス内容の大部分を引き継ぎ、2024年から新たにスタートする制度です。新NISAの期間は2024年~2028年の5年間です。
現行NISAを契約している方であれば、自動的に『新NISA』に移行されますので新たに契約を結ぶ必要はありませんので、特別な手続きなども不要です。
非課税枠を活用する仕組みが違う
現行NISA同様、『新NISA』においても非課税期間が5年間となり、非課税期間においては変更がありません。
『新NISA』の大きな変更点は、非課税枠が122万円になり、非課税枠のシステム構造が大幅に変更になる点です。
下記の図をもって簡単に説明します。『新NISA』のイメージは、「つみたてNISAとNISAのいところを集めた形」になります。
よく新NISAは住宅に例えられ「2階建て構造」だと言われています。
現状のNISAでは、非課税枠が年間120万円になります。それが、新NISAの場合は非課税額が年間122万円となり、非課税枠が増加します。
まず最初に、金融庁が定めた『長期投資に適した投資信託商品』を20万円分購入することができます。その20万円の枠を使い切った後に、残りの102万円の非課税枠を購入することができるように設定なります。
1階部分の20万円では株式の購入をすることができません。
この102万円の枠では、株式や投資信託に対して自由に投資をすることができます。
1階部分(つみたてNISA):20万円を購入する 2階部分(一般NISA):102万円を購入する
投資期間は、一般NISA同様5年間になりますので、通算すると現行のNISAよりも10万円多く非課税枠利益を確保して投資することができます。
新NISAが開始される目的は?
2024年から新NISAがスタートしますが、その目的について考えていきます。新NISAは前述した通り、『2階建て構造』になっています。1階部分は「20万円まで可能な長期投資に適した投資信託商品(つみたてNISA)」、2階部分は「株式や投資信託(一般NISA)」です。
長期的視点で資産運用をして欲しい
2階建て構成にして、1階部分に長期投資にてきした投資信託商品を組み込んでいる理由は、「非課税枠を短期投資ではなく長期的な投資に活用してほしい」という目論見があります。
1階部分で株式投資を対象外としているのは、短期的に利益の上下が激しいデイトレードなどの短期売買に非課税枠を活用するのではなく、「長期的な視点を持った資産形成をしてほしい」という思惑が感じられます。
投資意欲は削ぎたくない
新NISAの目的に完全に沿った形にするのであれば、非課税枠を全て「つみたてNISA」に適用すればいいと考えるでしょう。
しかしながら、「つみたてNISA」に関しては、金融庁が定めた投資信託にしか適用されず、この場合、いままで一般NISAを利用してきた個人投資家の投資意欲が削がれてしまい、投資から離れてしまう可能性が高くなります。
そこで、2階部分において「一般NISA」の102万円の非課税枠での利用を認め、株式投資や投資信託の利用を認めたのです。
両方といいところ取りが新NISA
以上のことをまとめると、「新NISA」は「つみたてNISA」と「一般NISA」のいいところを上手にまとめたものになります。堅実さと投資性の両輪によって、投資家にとってのメリットを高めた投資だと言えるでしょう。
制度としては少し複雑なものになりましたが、長期的な資産形成を促す側面と従来の一般NISAユーザが継続しやすい側面を持ち合わせた制度だと言えるのではないでしょうか。
時代背景や投資家層の変化に応じて投資商品も変化する
時代背景や経済動向、投資家層の変化に応じて投資商品も少しづつ変化していきます。
不動産投資の世界においても同様だと私は思います。収益性を狙った実物不動産投資から、安定性を意識した不特法投資への意識の変化は着実に訪れるでしょう。
実物不動産投資では、状況に応じて、キャピタル狙いとインカム狙いに分かれていましたが、それに加えて、より資産運用の要素が強い、配当狙いの『不特法投資』も要チェックです。
投資家の意識や経済状況に応じた、様々な選択肢は歓迎するべきことであり、様々な手法を通じての資産運用は将来に渡り積極的に行っていくべきだと私は考えています。